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旅立ちの日。なのに、体調は最悪だ! 激しいセキで、夜も眠れない。それが何日も続いている。それは、単なる風邪ではなく、たぶんザーズでもない。原因は…。 ニュージーランドから帰り2週間余りの間、何も運動せずに次の旅に出かけるのは、体力的に少々不安だった。それに、せっかくの自由な時間を垂れ流ししておくのも惜しく、連休明けを待って、道東のオンネトーに出かけた。 そこには「雌阿寒岳にでも登って麓の温泉につかり、体の動きを確認しよう」といった目的があったのだが、それが裏目に出てしまったのだ。 夜のテントサイトで、ガソリン・コンロが故障。メシが炊けない。しかたなく、周辺の木を拾い集めて、焚き火にコンロ代わりになってもらったまでは良かったのだが、その煙がのどに襲いかかり、それ以来、セキがとまらなくなってしまったのだ。 体のチェックに行った先で、体調を崩すとは情けない。でも、コンロの故障がアメリカの山の中でなくて良かった、という見方もできる。 ボクは生まれながらに、悲観的な性格の持ち主だったのだが、会社を辞めてから、こんなふうに徐々に考えが前向きに変わってきている。それは、裏を返せば「脳天気」ということにもなるのだろうが、それも考え方次第。ここは、良かったということにしておこう。 札幌はタンポポのシーズン。 千歳を飛び立った飛行機から見下ろすと、ニュージーランドに向かったひと月半前の冬枯れが、遠い昔のように思えるほど、瑞々しい緑が広がっていた。そして、成田の滑走路わきには、シロツメグサの白いジュウタン。どの春を見ても心がなごむ。やっぱり春はいいもんだ。 初めて乗った。フェアリンクという会社の飛行機。小さな小さな飛行機だ。あまり今回の旅の目的とは関係ないが、印象に残ったので、少し話をしよう。 この飛行機には、席が50席くらいしかない。狭い機内にスチュワーデスはひとり。機内のパンフレットを見ると、とても新しい会社らしい。機体はカナダ製で、アメリカなどでは、プライベイトの飛行機として結構出回っているという。機体を正面から見ると、ミッキーマウスの耳のように、胴体のななめ上のほうにジェット・エンジンがついている。 小さいだけあって、気流の乱れに敏感に反応しているような揺れが乗り心地にも影響している。だが、エンジン音が実に静かなのが快適だ。大きな飛行機の「ゴ〜」という低い音に対して、この飛行機は「キ〜ン」と比較的高い。 札幌-成田間をはじめ、結構マイナーな路線を飛んでいるスキマを狙った航空会社のようだが、パンフレットからは情熱が伝わってきて、ボクにはいい印象だ。 と、こんな感じで、今回はサンフランシスコへ行く国際線よりも、新進気鋭の国内線のほうが印象に残る空の旅だった。 アメリカの空港の入国審査は、いつからこんなに厳しくなったんだ! 今回もボクは食べ物を大量に持ち込んでいるので「食べ物を持ってますよ」といつも通りに申告をした。X線を通したあと、荷物一式を広げることになった。 ボクの前にいた日本人は、食料で満たされたスーツケースを広げ、検査官になにやら文句を言っている。なぜか、カレールーが大量に入っていて、その日本の典型的おばちゃんは「以前は良かったのに、どういうことぉ?」と嘆いている。カレールーは持ち込めないのか。でも、ルーそのものよりも、その量が問題なのでは?と、おばちゃんにいってやりたいほど、スーツケースの中味はカレールーであふれていた。 ボクはというと、米とか味噌の顆粒とかコーヒーとか、コンパクトなもので、特にもめることはなかった。いつものことながら「生肉はないなっ!」と何度も念を押されたが、「これが全てです!」と素直に申告すると、かなり時間はかかったものの全ての持ち込みが許された。 こんなわけで、空港に迎えに来てくれていたホゼをかなり待たせてしまった。1か月ぶりの再会。固い握手。ニュージーランドの日々が甦った。しかし、ニュージーランドの晩秋の寒さは、ここサンフランシスコには、かけらも見当たらない。ホゼがいうには、異常なほどの暑さらしい。 「ドライブに行こう!」 寝不足とはいえ、抜けるような青空には逆らえず、助手席ではしゃいだ。ゴールデン・ゲート・ブリッジからミュア・ウッズと、海岸に沿って北上するドライブを楽しんだ。特大ハンバーガーを御馳走になると、ヤツが襲ってきた。睡魔だ。しかし、それには逆らえず、ボクは助手席でいつの間にか眠ってしまっていたのだ。運転しているホゼには悪いことをした…。申し訳ない。 ホゼの家に落ち着く前に、アウトドアショップへ行った。一番の目的は雌阿寒岳で故障してしまったコンロを買い直すこと。安い! ガソリンコンロのMSRドラゴンフライと、TEVAのスポーツサンダルがあわせて$130。日本で買う値段と比べると、アメリカ製品は半額近い安さだ。しかし、ヨーロッパの製品などは、日本で買うのとさほど変わらず、日本製品も関税がかかっているせいか、日本で買うのと同じくらいか、それよりも少々割高な印象だ。 ホゼの家につくと、ベットに吸い込まれて、翌朝まで激しく眠り続けた。 |