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6時20分。寒い朝。アラスカに来て一番寒い朝かもしれない。テントの外でココアを入れる。サンダルの素足がかじかみそうだ。オレンジ色の朝日が射し込んできた。無風。 8時30分。ダラ〜っとしたペースで撤収を完了しザックを背負う。きのうまでザックに入っていたベア・キャニスターがないせいかだいぶ軽く感じる。 日射しを浴びていても寒く、雨具をはおい、フリースの手袋をして、ビジターセンターに向かった。 歩きながら目に入ってくる緑は、ここデナリに着いた時よりも濃くなっているように見える。茶色のツンドラを見なれたせいかも知れないが、アラスカの季節の足の速さの反映かもしれない。 午後1時45分、ここデナリへ送ってくれたドライバーと同じ彼がやってきて、ボクは、ガラガラのバンに乗ってフェアバンクスに向かった。 フェアバンクスまでは2時間半ほどのドライブであったが、このデナリ・フェアバンクス間の道路は不快極まりなかった。というのも、道路そのものがデコボコなのだ。そこを時速60マイルを越えるスピードでぶっ飛ばしているもんだから振動が強烈だ。こんな道路を往復しているバンは、イスのネジが緩んでいるのか、キーキーなってやかましい。クッションが効いているとはいえ、ボクの体のホネの継ぎめも崩れてしまいそうだ。 冬にもなれば、マイナス何十度にも下がるこの大地ではアスファルトが痛みやすいのは良くわかるが、数少ない道路である。なんとかならないものだろうか。
フェアバンクスにつく直前にネナナのビジターセンターで荷物をおろした。毎日アンカレジ・フェアバンクスを往復しているこのバンは、宅配便の仕事も兼ねているようだ。さて、フェアバンクスについたボクがまっさきにしなければならないことは、宿を探すことだ。例によって行き当たりばったりなのだが、すでにlonely planetでメボシをつけておいたBoyles Hostelの近くでおろしてもらい、カーリーヘアのドライバーに地図を見ながら行き先まで教えてもらっていた。それなら、ホステルまで送ってくれればいいのに、なんても思ったが、教えられた通り素直に歩いてその場所へ向かった。 が、なかなか見つからない。アメリカでは住所をつかんでおけば、ストリートの表示がちゃんとあるので容易にそこへたどり着くことは可能なのだが、今回は、めざすホステルが見つからない。 廃業したのか…、と不安になり、その辺りを何度も行ったり来たりした。別のホステルに行こうと思っても、それには、郊外の何もないような道をトボトボと何十分も歩かなければならない。と、こんな感じで途方にくれていると、それが見つかった。 なんと普通の民家のような門構えだ。そこに小さく看板がぶるさがっていた。
中は本当に普通の民家。日本の家のようなコンパクトさだ。靴を脱いで中に入るスタイルも日本風。マスターはおじいちゃん。ただでさえなかなか英語が聞き取れないのに、相手がおじいちゃんともなるとさらに困難だ。レシートを書く時に「ペンを貸してくれ」。 「きょうは何日だっけ?」 コントのようなやりとりを続け、4泊分の手続きを終えた。 そんな彼は日本贔屓で、日本の地図も部屋には張ってある。日本人の客が良くやってくるのは「地球の歩き方」にも載っているせいかもしれないが、こんな小さな規模にもかかわらず日本語のパンフレットをつくっている企業努力によるところも大きいのだろう。彼はlonely planetに自分のホステルが紹介されていることを知ると無邪気に喜んだ。ボクは、そんな彼に玄関に出てもらってポーズをとってもらった。 この日の客は、ボクと、やはり日本からのハセガワくん。彼はデナリからここへやってきて、このあとバスでカナダのホワイトホースに向かうと言う。 ボクはといえば、あすから丸3日間は、このアンカレッジでのんびりと過ごす。 その日は、米を炊いて、マッシュポテトのサラダをつくって夕食とした。 |