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目覚ましなしで、連日5時、6時に起きているとはいえ、いざ早起きせねば、と思うと、たとえ目覚ましをセットしても心配で夜中に何度も目が覚めてしまう。白夜のアラスカ、起きるたびに明るいもんだから、「え、もう朝!」と何と、ヒヤッとしたことか…。こんなところが、いかにも小心者である。 そんなわけで、けさの5時半の目覚めは、寝不足のようで不快であった。 朝6時、ホステルを出る。当然ではあるが、この家の主人のおじいちゃんや、そのドラ息子の見送りもない。客が少なく、アットホームなこのホステルに4泊もしたせいか、なんとも去るのが名残惜しい。時折、親子で言い争いをしていた騒々しさがあったが、今はとても静かでそれが寂しくもある。 庭の温度計はけさも華氏60度。ちゃんと動いているのだろうか…。 ここ数日、身軽に歩いていたフェアバンクスの町を、重い荷物を背中だけでなく、両手にもかかえて、アラスカ鉄道の駅へ向かった。ひんやりとしていたはずなのに、30分歩いて駅に着く頃には汗がにじんでいた。 しかし、続々と人が集まってきてターミナルの雰囲気が出てきたのは、それから30分もたってから。 ちょっと早く来すぎたようだが、そんなヒマそうに待っているボクに向かって「こっちへこい」と言う老人がひとり。ついて行ってみると、小さな倉庫のようなところで、模型のアラスカの大地にアラスカ鉄道を走らせている。聞いてみると、ファンのサークルのようなもので、観光客などに楽しんでもらっていると言う。こんなもの、と言っては失礼だが、模型に大人がのめり込んでいるのは、どこか微笑ましい。
まだ夏の観光シーズンには早いせいか、車内は結構すいている。スピードもゆっくりだ。車両は所々2階になっていて、そこは屋根がガラス張り。展望が抜群なのだ。しかし、紫外線カットのためか透明のガラスでないのが少し残念である。しかし、そんなフィルターのようなものを通さなくても景色を楽しむ方法はある。車両の連結部分にいくと、最初から窓がなく、ボクらとアラスカの雄大な景色をさえぎるものはなにもない。風とも景色もと一体だ。そこで写真を撮る人が結構多く、カーブに差し掛かった時などは、車両と雄大な風景を撮ろうと、みんな一斉にデッキから顔を出していたりする。もちろんボクもやった。 この他にも、食堂車のような広いテーブルを持つ車両があったり、多少退屈ではあるがそこそこ優雅にのんびりと過ごすことができる。 タルキートナを通過するころになると「マッキンリーが見えてきた」とアナウンス。夏のわた雲が広がっている遥か彼方に雪をかぶった山並が地平線に広がった。いいなぁ、アラスカ鉄道に乗って良かった、と思う瞬間である。 「ムースが見えているぞ」というアナウンスが聞こえたのか、彼は森の中へ急いで駆けて行った。 アンカレッジが近づくと、線路わきにタンポポの綿毛が目立つようになってきた。2週間前、デナリに向けて北上する時は黄色の海だったのに、今は白い海に変わっている。本当に季節の流れが速い。 アンカレッジには、定刻より少し前の夕方8時過ぎ着いた。預けた荷物はフォークリフトにのせられて、駅舎となりの広場に次々と運ばれてくる。雨が降っている時はどうするのかなぁ、なんて心配しながら、荷物を待った。 そして、なつかしのオンボロ・ユースホステルに戻ってきた。 |