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2004年のパシフィック・クレスト・トレイル(以下PCT)踏破に味をしめて、2年連続で渡米、そして、超ロングトレイルを歩くことにしました。めざすはアパラチアン・トレイル(以下AT)です! ATは、アメリカ東部のジョージア州とアメリカ北東部のメイン州を結ぶ全長2,174マイルの山道。PCTと、ロッキー山脈の中を南北に貫いているコンチネンタル・ディバイド・トレイル(以下CDT)とともに、トリプル・クラウンと称され、アメリカのハイカー憧れのトレイルのひとつになっています。 私がPCTで出会ったハイカーの多くがATを踏破しているという事実でも、そのことを強く実感することができますが、その人気は、歩くハイカーの数でみると、圧倒的にATがまさっているといえます。
この数字は、1シーズンでそのトレイルを歩いたハイカーの数、いわゆるthru-hiker(スルー・ハイカー)の数と、トレイルの全長です。全長が短いとはいえ、PCTの3倍を越えるハイカーがATを踏破しています。踏破をめざして歩き始めたハイカーの数、つまり途中でリタイアした人もあわせると、PCTの8倍を越える2000人余りのハイカーがATにチャレンジしているのです。と、比較はしてみましたが、訪れるハイカーの数は、トレイルの難易度や、景観の違いなどによる個々の好みに依存するところが大きく、少々ナンセンスであるともいえます。 しかし、確かにいえることは、普通に歩いたら半年近くの時間を要するこの遊びを、年間数千人が楽しんでるという事実です。日本にいるとなかなか想像できませんよね。 日本で、どんなに山登りが好きでも、どんなにディズニーランドが好きでも、どんなにパチンコが好きでも、それに半年間(24時間休みなく)没頭する人なんて数少ないのではないでしょうか。 「そんなのあたりまえ!」、「学校がある!」、「仕事がある!」、「人間関係がある!」 もっともなことです。 日本の社会の常識にあてはめれば、それは現実からの逃避としかみなされない行為かもしれません。また、アメリカにおいても常識といえないかもしれません。しかし、アメリカには、その価値観を認め支える文化が存在しています。 それは私のPCTの旅の様子から少しは感じとってもらえるのではないでしょうか。 超ロングトレイルを歩くことは、自分の楽しみであることは言うまでもありませんが、それだけにとどまりません。ゆく先々でトレイル沿線の住人や他のハイカーのもてなしを受け、私たちハイカーを気づかう言葉に見送られ、彼らの期待を背負って歩く旅でもあるように思います。 言い換えると、私たちハイカーは、信者に期待をたくされた巡礼者かもしれません。 トレイルで感じる心地よさ…、荷物が肩に食い込んでも、体の肉がすっかり落ちても、自分の汗の臭いが鼻を突いても、同じ食べ物にうんざりしても、やわらかな日射しを浴びているような心地よさを感じるのは、そんな背景があるからかもしれません。 そんなわけで、今年も、多くの人々の優しさにふれるため、超ロングトレイル歩くことにしました。
2005年1月2日 |