■ 世界でいちばん天気の悪い場所、それは Mt.Washington です! ■
July 26, 2005
DAY.109


missing


 朝7時すぎ、モーテルを出ると見事なうろこ雲が広がっていました。広〜いハイウエイの路肩をガソリンスタンド目指し歩き、コーヒー牛乳とタマゴサンドの朝食をとったあとヒッチハイクを開始しました。

 トレイルヘッドまで運んでくれたのは、ロードアイランド州からキャンプにきている Ed (←)。ガソリンスタンドにコーヒーを買いに来た帰りでした。歩き始めようとしたとき、きのう町まで連れていってくれた Tom (→)がやってきました。偶然の再会です。彼はシャトルバスの運転手だったのです!

 きょう歩く Presidental Ridge は、アメリカ歴代大統領の名前がつけられた山々が連なっています。その稜線に向かって高度をあげていくと、眼下に、けさスタートした U.S.HWY.302 号線が見えてきました。山肌に見えている細〜い傷のような線は線路です。  稜線に出ると、ず〜っと向こうに Mt.Washington が見えてきました。一番高く見えている山です。この日のうちに、あの山を越える予定でスタートしたのですが、あまりに遠くに見え、ゲッソリです。ちなみに、森の中に小さく見えている白い点は Mizpah Spring Hut です。

 Mizpah Spring Hut へ向かう途中の森の中、木道のわきに、突然ライチョウが現われました。物々しく羽ばたき、大きな音をたててハイカーの注意を惹きます。周りを見渡すと、赤ちゃんの鳥が数羽、木の陰に隠れていました。親鳥はおとりになっていたのです。
 今回のハイキングで、こういった場面に何度も遭遇しました。野生の中で、子供を育てながら生きていくことは本当にたいへんです。

 (←)ゆくてに見えかくれする Mt.Washington を目指して稜線を歩きますが、なかなか近くなりません。
 南へ向かって歩いているハイカー・Christopher に出会いました(→)。彼も私・"Mr.Beer" のことを、雑誌を通じて知っていました。

 ちょっといっぷく。来た道を振り返ります。これまで歩いてきた AT は、山の頂上を繋いでいたのですが、森林限界を越えたこの Presidental Ridge では、小さな頂上を巻くようにトレイルがつけられています。天気が崩れた時の避難のための配慮かもしません。  Mt.Washington の頂上に向けて、いよいよ最後の登り! …というところで、この看板がハイカーの前に立ちはだかります。「ここから先の天気は、アメリカの中で最悪。これまでに、大勢の人がここで命を落としている。天気が悪い時は戻ること!」と、脅しのようなメッセージです。

 Lakes of the Clouds です。この池のほとりには山小屋があり、大勢のハイカーや観光客で賑わっていました。が、もう午後3時を回っていて、登っていくのは私くらいです。  麓へ続く尾根から立ち昇る黒い煙。山火事か? …と思いきや、なんとこれは、蒸気機関車の煙でした。Mt.Washington は、ニューイングランドでも屈指の観光地で、麓から頂上まで観光用に機関車が走っているのです。汽笛の音も響き渡っていました。

 頂上まであとひと息。頂上には、大きな鉄塔やいくつもの建物が見えています。  これが、ニューイングランドで一番高い山・Mt.Washington の頂上です。

 Mt.Washington は知る人ぞ知る、世界で最も強い風を観測した場所なのです。時速231マイル(←)、秒速に換算すると約103メートルです。そんなわけで「世界でいちばん天気の悪い場所」という看板を掲げているのです(→)。でも、きょうは幸い、いい天気に恵まれました!

 Mt.Washington の頂上を発つと、トレイルはすぐに線路を横切ります。大勢の観光客を乗せた蒸気機関車が「シュッシュ、シュッシュ」と音を立て、慎重に斜面を下っていきます。  登りの列車は、とんでもなく黒い煙を噴いていました。風向き次第で、ハイカーは息もできないほどの状態に陥り、窒息寸前です! 満員の乗客に見つめられた私は、 まるでサファリパークのシマウマのよう?

 Mt.Washington を出てから2時間半、休まずに一気にここまでやってきました。眼下に見えているのは Madison Spring Hut。空きベッドがあることを祈り、下ったんですが…。残念、超満員でした。先着していた "Montana Lush" 他、スルーハイカー数人は、山小屋のお手伝いをして、食堂の床に眠らせてもらうとのことでしたが、私は管理人にテントサイトまで下るよう勧められ、ここから20分ほど急斜面を下りました。が、そこも満員で、林道跡のようなナナメの隙間にテントを張り、なんとか夜をやり過ごしました。あすの朝、同じ道を戻ると思うと憂鬱です。

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happy trail