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　姿勢、手の形

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メダカ　：　若芽先生、きょうは何についてのお話でしょうか。

若　芽　：　今日は姿勢とか手のフォームについて話してみようかな。

メダカ　：　姿勢ですか？

若　芽　：　メダカ、君には姿勢の重要性が分かっていないんじゃないか？

メダカ　：　いえ、先生、そんなことはありません。

若　芽　：　今、嫌そうな顔をしたぞ。

メダカ　：　そんなことはありませんってば。

若　芽　：　まあ、いいや。で、メダカ、姿勢について気をつけることはなんだね。

メダカ　：　姿勢を良くすることです。

若　芽　：　だからどういうふうに良くするのか具体的に言いなさい。

メダカ　：　えーと…。背筋を伸ばして、椅子に浅めに座る。

若　芽　：　良いね。でも、背筋は伸ばしすぎない方がいいぞ。

メダカ　：　えっ？　そうなんですか？

若　芽　：　うん、バレエをやってる訳じゃないからな。背筋を伸ばしすぎると上半身の重心が上に上がってしまってバランスが悪くなって身体が安定しない。そうなるとしっかりした音が出ないじゃないか。少し伸び上がってからすっと力を抜いて、体重が腰に乗るようにする。一度感じを掴んだら、二度目からは別に伸び上がったりしなくていいぞ。ちょっと、メダカ、やってみなさい。

メダカ　：　先生、これでいいですか？

若　芽　：　そうそう、そんな感じ。腰に体重が乗っているかね？

メダカ　：　と思いますが。

若　芽　：　両足もちゃんとかかとまでつけてな。足がつかない小さな子は踏み台を使わないといけないぞ。

メダカ　：　先生、腕はどうでしょう。

若　芽　：　肩からブランと腕を下げた状態で肘から先を前に上げる。肘は身体にくっつけてもいけないし開いてもいけない。力を抜いたときに自然にある場所が肘の位置だ。腕を動かせば肘はついていくからそれを無理に固定する必要はないよ。

メダカ　：　先生、手の形ですが。

若　芽　：　手のひらの内側にできるだけ空気を掴むようにする。これは以前テレビの「ピアノのおけいこ」という番組で中村紘子先生がおっしゃっていたから絶対正しい。

メダカ　：　はあ。

若　芽　：　具体的には指の付け根の関節が一番高くなるようにする。ソフトボールを握ったような形がいい。これは前にピアノの先生向けのセミナーで聞いたことだけど。そうするとすべての関節が外側に出るだろう？　関節がへこむとダメだよ。中学生の男の子とかだったらバスケットボールでもいいかもしれない。

メダカ　：　はあ。

若　芽　：　若芽は学生時代、親指の付け根がへこんでしまういわゆるマムシ指というので苦労したが、ちゃんと直ったから指の矯正は無理ではないと思うよ。小指も付け根からちゃんと立つようになったしな。

メダカ　：　先生もいろいろと苦労されたんですね。

若　芽　：　まあね。

メダカ　：　小さい子は指の形がメチャクチャな子が多いと思うんですが。

若　芽　：　小さい子の指がへこんでしまうのはある程度仕方がないことだと思う。手の骨格が出来上がるのは小学校５．６年らしいから幼稚園の子供にきちんとした手の形をさせるのは無理だ。

メダカ　：　でも、どんな指の形でもいい、というわけにはいかないでしょう？

若　芽　：　それはそうだ。両腕を身体の横にブラーンと下げて力を抜いてみると指の関節はみんな内側に曲がる。つまり力を抜けばいい形になるんだ。これは小さい子でも同じだ。力が入っているから指がへこんでしまう。力を抜いてもへこんでしまう場合は既に指にクセがついているってことだな。

メダカ　：　ああ、なるほど。

若　芽　：　無駄な力が入らない状態でピアノの音が出せれば手の形はきれいになると思うんだがな。

メダカ　：　よく手首を振ってピアノを弾いている子を見ますけど。

若　芽　：　小さい子は手首を振ってピアノを弾くものだ。どうしてかというと、指に力がないから音を出すためには腕や手首を振るのが簡単だと経験的に学習しているわけだ。その結果、手首を振ることによって指で支えきれない力が作られてしまうので、それを支えようと指に力が入るという訳だ。そこでピアノの先生が注意しなかったりあるいは大きい音で弾けと要求したりすると、ずっと手首を振って弾きつづける。で、気付いた時には簡単には直らなくなっている。

メダカ　：　どうすればいいんですか。

若　芽　：　小さい子には大きな音は出ないものだと、ピアノの先生も保護者も本人も理解することだな。手首を振るなと言うよりは、きれいな音で弾けと言う方が効果がある場合もあるよ。

メダカ　：　前回のお話（ピアノのレッスン室１）の音をよく聴くということが大事になってくる訳ですね。

若　芽　：　そうそう。

メダカ　：　今日はここまでです。では皆さん、さようなら。

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