付点
メダカ : 若芽先生、今日の「ソルフェージュの教室」も、ちょっと変ですね。
若 芽 : なにが?
メダカ : 「付点」ってソルフェージュの話じゃないでしょう? あ、付点のリズムの話ですか?
若 芽 : いや、違う。付点音符とは何かの説明だ。
メダカ : じゃあ、やっぱり変ですよ。リズムなら、ソルフェージュですけど。
若 芽 : まあ、メダカ。そう堅いこと言わないで。この前の音符の名前の続きなんだから仕方ないだろ?
メダカ : 全く、いつになったらマトモな「ソルフェージュの教室」になるのか、僕は心配ですよ。
若 芽 : まあ、いいじゃないか。さて、始めるか。メダカ、付点4分音符の長さは?
メダカ : 付点4分音符は、4分音符を1拍とした場合、1拍半の長さになります。
若 芽 : そう。じゃあ、付点だけの長さは、どうなる?
メダカ : 付点だけの長さですか? ええと、1拍半から4分音符の1拍を引くんですから、半拍ですね。
若 芽 : つまり、8分音符と同じってことだな?
メダカ : ええ、そうなりますね。
若 芽 : それじゃあ、付点8分音符の長さは、4分音符を1拍と数える場合には何拍だね?
メダカ : 付点8分音符ですかあ? ええと、3/4(4分の3)拍ですね。
若 芽 : てことは、付点はどれだけの長さなんだ?
メダカ : うー。3/4(付点8分音符)−1/2(8分音符)だから、1/4拍です。
若 芽 : 4分の1拍ということは、16分音符だよな。
メダカ : そうですね。
若 芽 : 付点4分音符の付点は8分音符と同じで、付点8分音符の付点は16分音符と同じだってことは、全然統一されてないじゃないか。
メダカ : えーっ! そんなの僕に言われても困りますよ。そういうモンなんですから、しょうがないでしょうっ。
若 芽 : 果物屋に買い物に行ったら、特別セールをやっていた。
メダカ : はあ? また、いきなり変なこと言い出すんだから。
若 芽 : 果物一個に付き、その果物を半分おまけします。と言うセールなんだ。
メダカ : はあ。
若 芽 : りんご1つ買った人は何をどれだけおまけしてもらえるんだ?
メダカ : そりゃあ、りんご半分でしょう?
若 芽 : じゃあ、スイカ1個買った人は?
メダカ : スイカ半分ですよ。
若 芽 : みかん1個の人は?
メダカ : みかん半分に決まってるでしょう! 先生、いったい何を言いたいんですか?
若 芽 : だから、付点もそういうことだって。
メダカ : え? 話が全然見えませんが。
若 芽 : (溜め息) 別の日に果物屋に行ったら、また特別セールをやっていた。今度のセールは、スイカを買った人に買った分の半分をおまけします、ってヤツだ。
メダカ : はあ。
若 芽 : スイカ1個を買った人のおまけは?
メダカ : スイカ半分ですよ。
若 芽 : じゃあ、スイカ2個買った人は?
メダカ : え? そりゃあ、1個でしょう。
若 芽 : どうしてわかるんだ?
メダカ : だって買った分の半分がおまけなんでしょう? なら、2個の半分なんだから1個ですよ。
若 芽 : その通り。じゃあ、スイカ半分買った人は?
メダカ : 1/4(4分の1)個です。
若 芽 : 1/4個買った人は?
メダカ : 1/8ですよ。先生もしつこいですねえ。
若 芽 : ほら、付点と同じだろ?
メダカ : え?
若 芽 : 付点っていうのはさ、付いている音符の半分の長さなんだ。だから、付点音符はいつも、付いている音符の1.5倍の長さになるんだよ。
メダカ : ああ、なんだ、そういうことを言いたかったんですね。僕だってそのくらいのことは知ってますよ。
若 芽 : あー? じゃあ何? 今まで、トボケてたって言うの?
メダカ : そんなつもりはなかったんですけど、先生の話って突飛すぎるんだもん。
若 芽 : あ、そうっ。若芽が悪いって言うわけだな。
メダカ : そんなこと言ってないじゃないですか。機嫌直してくださいよ。
若 芽 : さよなら、メダカ。
メダカ : あー、先生。待ってくださいー。では、皆さん、また来週。
前 / 次