乳がんの原因の一つには女性ホルモンがわざわいしているらしく、乳がんの治療を
      受けた人の殆どは、女性ホルモンの抑制剤を5年から10年間服用しなければならない。

      私も「ノルバディクス」という薬の服用を始めた。
      すぐに、生理に異常を見るようになった。
      殆どの人は生理が止まってしまうらしいが、私は生理痛のひどさと、生理不順、おりものの
      量が極端に増えた。

      「ノルバディクス」の作用を調べると、卵巣から出る女性ホルモンの抑制を行う、と記されて
      いる。
      乳房のガン再発には効果を発揮するものの、子宮の働きは活発になり、筋腫も大きくなる
      可能性があるらしい。
      そして子宮ガンの発生も服用しない人より高くなるという。

      日常生活にも支障をきたすほどの症状で、婦人科を受診することになった。
      診察の結果、9月末に受診した時には、筋腫の異常は見られなかったのに、筋腫が大きく
      なっており、筋腫分娩の状態にあると説明を受けて、すぐ手術を受けなけれならなくなった。    

      その手術は5分から10分で、入院期間も1週間という説明だった。
      乳がんの手術を受けて、やっと退院した矢先、またしても入院という二度目の展開に、ガック
      リ力が抜けてしまった。

      不快な症状を取るためには、仕方ないと心を決めて入院したのは、2000年11月の28日
      だった。
      筋腫の摘出手術が行われたのは、翌日の29日だった。

     この手術はお腹を開腹するのでなく、膣から筋腫を切り取るというもので、部分麻酔の状態で
     会話を交わしながら行った。
     手術時間は、最初の説明の5分から10分とは異なり、30分くらいに思われた。

     回復は早かった。
     1週間後退院して、すぐにまた次の生理が始まった。
     すると以前と全く同じ症状が出た。きつい生理痛。月経過多。不正出血。

     通院中に、11月末の手術の際、切り取った細胞の検査結果が判明し、それは、なんと肉腫で
     あると告げられた。
     筋腫でなく「肉腫」。

     しかし、この時点では、肉腫が、ガンと等しい悪性腫瘍であることをまだ私は知らなかった。
     医者は速やかに手術をするように薦めた。

     乳がんに次いでまたしても・・・。落胆は大きく、家に帰ると涙が出て来た。
     夫から励ましの言葉が聞こえてきたが、気落ちした私の心は、なかなか癒されなかった。

     もう一度大きな病院で診察を受けようと、夫と鹿児島市内の病院を受信した。
     やはり結果は同じだった。また、車で1.5時間の鹿児島市内までの距離は、病後の体には
     負担が大きく、かなり疲れてしまった。

     都城の病院のMRI検査を、キャンセルした私に医師から、私の病状についての詳しい説明
     をもう一度行いたいとの電話が入った。

     担当医が若い女性医者から部長医師に変わり、手術を早く行うように、説得された。
     通院や家族のことを考えると、家に近いところがいいと結論を出して、都城の病院で再び、
     手術を受ける覚悟をした。

    インターネットで肉腫を調べると、ガンと同じ悪性腫瘍であるとガンセンターの記録にあり、
     あらためて肉腫が悪性であり、ガンと等しい病気であることを再確認して、気持が暗くなった。
     6ヶ月も経たない間に、二つものガンの宣告を受けるとは・・・。
     私の病気は、「子宮内膜間質肉腫」、というものであり、珍しいものらしく、事例は少ないと
     記述されていた。

     2001年の年明けも体調不快なまま明けた。
     出血の量が多く、夜もぐっすり休むことが出来ず、下腹部は腫れぼったい。
     なんとか正月のおせちの用意をして、新年を祝った。
     病院からの電話連絡で、正月明けにすぐに入院、そして手術の計画が告げられた。

    
 2001年1月8日、
     生理痛がひどく、病院からもらった痛み止めの「ボルタリン」が効かなくなって、休診の病院で
    、緊急の診察してもらい、座薬で痛みを止めた。
     休日の薄暗い病院のベットで1人、心細く寝ていると、出先から夫が駆けつけてくれた。

     当直の婦人科の看護婦さんが、「入院予定は明日だけれど、もう、このまま、入院したほうが
     いいのじゃないの」と言ったが、入院の準備も万全でなく、気がりなものもあったから、夫に支
     えられて、家に戻った。



                                         
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