2.平成25年度事業報告

(1)「法人本部」事業報告

   当法人は、主に知的障害者を対象とした障害者福祉サービス事業所を経営する社会福祉法人
  
   であり、設立21年目を迎えている。この間、3園を中心に障害を持った利用者の生活介護と支
   援事業を通して一人でも多くの利用者が自立し、地域で仲間と一緒に心豊かに生活していける
  
  よう支援を続けている。しかし、ここ12年、入所者が激減しており、宇治市内の知的障害者
  
  通所施設の通所枠も大きく増加していることなどから厳しい経営環境にある。
  
  
この中にあって、法人事務局の設置や専任職員の配置、規則、規程等の見直しをはじめ施設長会
  
  議の定例化、施設事務の集中化などに取り組み、そしてこれまでの施設中心の経営から法人を核に
  
  した効率的な経営を一歩一歩進めてきた。


  法人としてのその主な取組みは、次のとおりである。


 1)グループホームの設置・運営及び資産の有効利用について

   府営住宅槇島大川原団地に併設のグループホームの建設は、府の工事が約1ヵ月遅れたが、来
 る510日に竣工を迎えることになった。当法人としては、これまでに施設名称を「グループホ
 ームまきしま」とし、職員も4月には雇用手続を終え、51日から雇用することにした。一方、
 入居者は、243月に実施した全利用者を対象にした調査結果をもとに選考を進め、今年1
 29
日に外部委員を含めた入居者選定委員会において最終候補者6名を選考いただいた。府との賃
 貸契約が済めば、エアコンの設置や備品搬入を進め、利用者とその保護者の施設見学や職員研修
 を実施し、入居可能な利用者から順次受け入れていくことにしている。

   又、旧渡辺製袋の土地と建物は、日中一時支援事業やその他の事業の主拠点若しくはサブ拠点
 として利用者使用を図ってきたが、昨年3月をもって一定のその使用形態が終わったので、本格
 的に跡地利用を進めていくことにしていた。すでに1階を菓子工房や居宅介護の事業所あるいは
 相談支援事業所に活用し、2階と3階をグループホームに建て替える予定で京都府へ補助金申請
 をしたところである。あいにく補助金をめぐる環境が悪く、ここ数年、補助金獲得は難しい状況
 にある。

   又、法人としては、事業拡大を期すため昨年8月に笠取のグループホームに隣接の土地を購入
 し、同月30日付で登記をした。当面、68-1及び69-1の2筆については、宇治市からの要請で
 引き続き野外活動センターの臨時駐車場として貸与することにしている。現在、志津川福祉の園
 保護者の間でグループホームとしての活用の動きがあ

2)施設事業の支援について

  槇島福祉の園では、245月から就労継続B型事業による給食事業を実施し、宇治川福祉の
 園の昼食も取り込んで拡大して実施している。この2年、2施設の給食事業を着実に進めるとと
 もに弁当づくりもお馴染みさんからの注文配食が主であるが、頑張って取り組み、近隣事業所等
 の従業員にも喜んで食してもらえる給食事業者を目指している。

   又、志津川福祉の園では、養蚕事業が苦節10年にわたる取り組みにより、ようやく業績を出せ
 るところとなってきた矢先に取引企業が事業縮小することになったことは悔やまれるが、他法人
 ではやっていない珍しい養蚕事業であり、これまで蓄えてきた経験や技術を生かせる時が必ずや
 ってくるものと期待している。すでに工芸繊維大学関係者からの動きがあり、就労支援事業とし
 て復活を期したいとしている。そのときには、就労支援事業として多くの利用者がこの事業に関
 わることができることとその指導・支援職員の育成を進めるとともに手狭な作業環境の整備も進
 めることにする。
 
  又、宇治川福祉の園では、土曜日課を月2回実施し、保護者要望に応えている。

 法人としては、こうした各施設の新しい取り組みやこれまでの事業をさらに充実したものとす
 るために各施設としっかりと連携しながら進めていくこととしている。


   3)施設等のメンテナンスについて

  平成54月に槇島福祉の園の前身である山城福祉の園が設立されて21年になる。その施設
 や基幹備品の傷みが進んできており、改修や取り換えの時期を迎えている。槇島については、昨
 年の夏に2階の作業室と食堂のエアコンの取り換えを実施している。又、他施設でも同じような
 箇所が出てきている。利用者の利便に対応できる施設とするための一定のメンテを進めていくこ
 としている。


4)財務運営について

  平成21年度の経常収入が339,432千円であったが、22年度が373,899千円、23年度が
 383,829
千円、24年度が415,379千円、25年度が381,667千円であり、24年度までは順
 調に伸びていたが、25年度は落ち込んだ。経常収入の対前年度の伸び率を見てみると、22年度
 が10.15%、23年度が2.66%、24年度が8.21%と順調であったが、25年度は8.12%の減
 となった。一方、主な支出である人件費支出は、平成21年度が193,889千円であったが、22
 年度が213,737千円、23年度が228,387千円、24年度が265,426千円279,670千円であ
 り、年々増加している。その対前年度の伸び率を見てみると、22年度が10.24%、23年度が
 6.85
%、24年度が16.22%、25年度が5.37%となり、人件費支出の伸び率が経常収入の伸び
 率を上回ってきている。

  又、事務費と事業費の支出状況は、21年度が71,119千円、22年度が78,204千円、23
 年度が80,107千円、24年度が88,763千円、25年度が79,402千円となり、25年度は落ち
 たが、年々増加してきた。

  事業費の光熱水費のうち電気料金だけを見てみると、約9,000千円支出しており、今年4月か
 らの消費税増税分だけで270千円上がることになるので、間もなく電気料金が10,000千円にな
 る。こうして一つを取り上げてみても大変な状況にある。

   これまでの経理感覚を今一度見直し、相互に知恵を出して経費節減に努めるとともに休園日を
 できるだけなくするなどの対応をして増収を図っていかなければならない状況にある。

 

年度

21

22

23

24

25

経常収入

自立支援費

243,505

275,503

278,892

306,729

319,891

利用料

15,578

16,621

30,213

29,377

22,038

経常支出

人件費

193,889

213,737

228,387

265,426

279,670

事務費

46,094

49,120

46,560

58,093

43,118

事業費

25,025

29,084

33,547

30,670

36,284

収支差額

5,925

183

611

18,083

17,143

上記の表は、主な経常収入と主な経常支出に係る収支を表にしたものであり、これだけで厳しい状況が見て取れる。

5)職員体制の強化と処遇の改善について


 平成264月当初で当法人の職員数は、正規職員が29名、常勤の嘱託職員が30名、非常
勤の嘱託職員が16名の75名体制であり、例年と比べて大きな変化はない。老人福祉施設の離職
率が20%を超えるという現状を考えると他法人への就職による離職状況は、この3月に12
あったが、安定した体制を維持できているといえる。しかし、課題は、新陳代謝が少ないことに
より、新卒の職員の採用が少ないということと体系的な研修が日々の繁忙な業務の中でなかなか
受講できていないことにある。課題が明らかであるので、活力ある職員体制を確保していくため、
一層努力をしていくこととする。又、当法人にとって、職員全体のレベルアップを図っていくこ
とが、緊急の課題となっている。

 この4月の人事において、4名の嘱託職員を正規職員に登用するとともに槇島が1名、志津川が
1
名、宇治川が3名の計5名の中堅職員を主任に昇格させた。このことによって、一つに新卒の正
規職員を採用する環境整備を図り、二つに利用者支援現場のリーダーとしての役割を担ってもら
うとともに多忙を極めた副園長の業務の軽減を図り、もって職員体制の強化を図ることとした。

 又、職務手当を新設し、雇用関係が殊の外厳しい職種の人材確保と同一給料表であるがために
生じていた基本給の乖離の是正を図ることとした。


6)法人、施設、事業等の情報開示、PRについて

 事業報告とその決算資料については、新経理規程ではこれまで以上に積極的に開示していく
ことが求められている。又、法人や施設の運営方針や就労支援産品のPR、職員募集情報など各
種メディアを活用して活発に発信していく必要がある。

 その一歩としてホームページの作成などを進めてきたが、ここ数年でインターネットの利用環
境が劇的に増加しており、より見やすいものに作り替えたり、就労支援産品の包装デザインやロ
ゴ、新しいパンフなど目で訴えるものの作成などより充実したものを検討していくこととする。


7)新会計基準への移行とその適応会計ソフト等の導入について

 平成27331日までに新社会福祉法人会計基準へ移行することが厚生労働省から通知され
ており、当法人としては、1年早くに取組んで26年度予算から移行することにしていた。

 そのため新会計システムを4社の見積もり合わせの結果を踏まえ、使い勝手を考慮して(株)
日立システムズの「福祉の森」に決定し、26年度予算から本格稼働をさせた。


8)地域との連携について

 当法人の「理念」に「障害者の地域理解を得るため、地域に開かれ、地域に根差し、地域とと
もに歩むよう努める。」と記されている。

 この「理念」に沿って園と地域を繋ぐ催しとして、この間、槇島と宇治川福祉の園の後援会が
主体になっていただいて実行委員会形式で開催いただいている「わくわくまつり」が20回の節目
を迎え、大いに賑わった。又、志津川福祉の園では、後援会を主体とする実行委員会形式で開催
いただいている「わいわいカーニバル」や「夏まつり」、「陶器まつり」を賑やかに開催いただ
いた。又、「グループホームかさとり」では、お寺と隣接していることから、お寺の催しを共催
することで地域との連携を図ってきている。

 今後、「グループホームまきしま」の開設に伴って、団地自治会の一員として地域連携に繋
がる行事等に積極的に協力をしていくことにしている。


 ア 資産(土地及び建物)等の状況

 ▽ 法人所有物件

(平成26331日現在)

 

所 在 地

(土地の場合)地目

(建物の場合)構造・用途

面積(u)

取得(新築)

年月日

担保の状況

提供先

抵当権設

定年月日

1.基本財産

(1)土地

 

 

 

 

 

(2)建物

宇治市志津川西山15-2

同       16-2

宇治市西笠取辻出川東67-1

同         67-5

同         67-6

 

宇治市槇島町石橋13-6

 

宇治市志津川西山15-2

 

宇治市槇島町石橋13

 

宇治市西笠取辻出川東67-1

 

山林

山林

宅地

宅地

宅地

 

RC2階建

作業所他

RC2階建

作業所他

RC3階建

作業所他

木造平屋建

グループホーム

1,264

607

1,222.82

99.21

50.44

 

626.4

 

836.49

 

1,105.47

 

253.81

H7.10.16

同上

H19.3.12

同上

同上

 

H5.3.15

 

H8.6.3

 

H15.5.9

 

H22.3.25

 

 

2.運用財産

(1)土地

 

 

 

 

 

(2)建物

 

宇治市槇島町石橋10-8

宇治市西笠取辻出川東68-1

同         69-1

同         70-1

同         70-2

 

宇治市槇島町石橋10-8

 

 

宅地

雑種地

雑種地

雑種地

雑種地

 

鉄骨2階建

作業所他

213

1,418

877

515

505

 

251.46

H22.10.28

H25.8.29

同上

同上

同上

 

H22.10.28

京都中央信金

 

 

 

 

 

京都中央信金

 

H22.10.28

 

 

 

 

 

H22.10.28

 

▽借用物件

(平成26331日現在)

 

所 在 地

(土地の場合)

地目

(建物の場合)

構造・用途

面積(u)

相手方

借地料等の年額(円)

1.土地

 

 

 

 

 

 

 

 

2.建物

宇治市槇島町石橋13-6

同       22-3

同       22-6

宇治市志津川南組56-4

宇治市槇島町石橋13

同       15の一部

同      22-2の一部

同      23-5の一部

 

宇治市神明宮東23-2

 

宇治市志津川南組56-2

宅地

宅地

宅地

山林

学校用地

学校用地

学校用地

学校用地

 

RC造ビル

菓子工房

木造平屋建

作業所

900

135

115

6.61

514

141

754

152

 

17.76

 

16.5

宇治市

宇治市

宇治市

掛川仁一郎

宇治市

宇治市

宇治市

宇治市

 

尾崎昭彦

 

掛川仁一郎

0

0

0

24,000

0

0

0

0

 

840,000

 

100,000

 

イ 借入金の状況

(平成26331日現在)

借入先

理事会

承認日

目的

借入金額

契約日

借入

期間

利率

残高

25年度償還額

元金

利息

合計

福祉医

療機構

年月日

7.3.14

志津川福祉園建設

千円

64,000

年月日

7.11.13

20

3.15

千円

6,400

千円

3,200

302,400

3,502,400

福祉医

療機構

14.5.29

宇治川福

祉園建設

47,500

15.3.24

20

0.90

21,330

2,370

213,300

2,583,300

京都中央

信用金庫

14.5.29

宇治川福

祉園建設

29,000

15.3.25

20

1.35

13,028

1,452

184,952

1,636,952

京都中央

信用金庫

21.9.9

GHかさとり建設

20,000

22.3.31

20

1.35

16,016

996

240,687

1,236,687

京都中央

信用金庫

25.5.30

笠取土

地取得

20,000

25,8,29

20

1.35

19,412

588

178,632

766,632

合計

 

 

180,500

 

 

 

76,186

8,606

1,119,971

9,725,971

  ウ 法人への寄附

2541日から26331日まで)

寄付目的

件 数

金額(円)

法人運営のため

3

650,000

 エ 参考資料