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現在日本では、糖尿病患者が増え続けており、これからも増えるものと思われます。
CGMと言う検査ができる今、2型糖尿病で見られる血糖異常は、
空腹時血糖(FGP)
食後血糖 (PPG)
MAGEで評価される血糖変動の3要素です。
主に日本人の2型糖尿病の発症パターンは
①インスリンの初期分泌低下を感受性の亢進で代償していたものが、
②感受性が低下してきて、それを分泌増強で代償するようになり、
③β細胞の疲弊が起こり、
④とうとうインスリン分泌低下を来たしたという風に発症してきます。
ACCORD、ADVANCE,VADTの各トライアルのデーターがでてからは、今までの管理目標値が大きく変わることになった。強制的に血糖を下げることにより(強化治療群)、早期に低血糖を起こすこととなり、却って、データーが悪化してしまったのである。(心筋梗塞や脳梗塞を起こす確率が2倍になってしまったのです。)そのため、総死亡は22%増加してしまった。
低血糖の影響
低血糖により拮抗ホルモンの分泌が増え、反跳性の高血糖(ソモジー効果)を来たす
1.交感神経が刺激され、不整脈や狭心症・心筋梗塞を誘発する
2.脳浮腫 痴呆の進行、認知機能の低下。(1.26倍増加)
3.血液凝固脳の亢進を来たす。
4.炎症を惹起し血管内皮障害を起こす。
従って糖尿病の治療は、低血糖、体重増加のない、薬物療法を目指す事が重要と考えられる。
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糖尿病治療薬
医者は糖尿病に対してどのようなことを考え治療しているか、
糖尿病の何に気をつけて、薬を使っているかをまず知っておいてください。
糖尿病で気をつけているのは、平均血糖、食後血糖、そして空腹時血糖の3つです。この3つをコントロールすることで、患者さんのQOLを高めていこうとするものです。糖尿病薬はいくつかの大きいカテゴリーがあり、それぞれに薬の特徴的な作用を持っています。
では今までの糖尿病薬の作用をもう一度整理をしてみましょう。
Ⅰ.SU剤: 膵臓のβ細胞膜上のSU受容体に結合しインスリン分泌を促進する。
グリペンクラミド(オイグルコン) 作用時間12-24時間
グリクラジド (グリミクロン) 作用時間12-24時間
グルメピリド (アマリール) 作用時間12-24時間
トリブタミド (ラスチノン) 作用時間 6 -12時間
これらの薬は平均血糖を下げる効果が強い。使うときの注意としては、
1.インスリン分泌が保たれていること。
2.インスリン抵抗性があまりないこと。
この中でグリミクロンだけは、心臓のSU受容体に作用しないと言われています。
Ⅱ.グリニド系:速効型インスリン分泌促進薬、 これもSU受容体に結合しインスリン分泌を促進するが服用後短時間の血糖を下げる。
テナグリニド(ファスティック) 作用時間3時間
ミチグリニド(グルファスト) 作用時間3時間
レパグリニド(シュアポスト) 作用時間4時間
これらは、食後血糖を下げようとするときに使います。注意としては
1.食直前に投与すること
2.肝腎障害のある患者では低血糖に注意
Ⅲ.α-グルコシダーゼ阻害剤:消化管表面にある、糖のα-グルコシド結合を加水分解する酵素を阻害する。従って二糖類の分解ができずに吸収が遅れる
これらも食後血糖を下げようとするときに使います。
1.アカルボース(グルコバイ) 作用時間2-3時間
2.ボグリボース(ベイスン) 作用時間2-3時間
3.ミグリトール(セイブル) 作用時間1-3時間
特徴は、
1.食後高血糖を下げる。
2.単独では普通低血糖を起こさない。
3.腹満などがおこる事がある。
Ⅳ.BG剤:肝での糖新生を抑制する。他にも糖吸収抑制、インスリン感受性の改善、筋への糖の取り込み促進などがある。
ミトコンドリアのAMPKを活性化させるが最近では、胆汁酸の吸収を抑制し、それが小腸下部からの、インクレチンの分泌を促進するとも言われています。
メトホルミン(メトグルコ) 作用時間6-14時間
ブホルミン(ジベトス) 作用時間6-14時間
これらは平均血糖を下げるときに使います。特徴は
1.肥満症例には特によいが、非肥満例にも効く
2.乳酸アシドーシスを起こしやすい。
Ⅴ.チアゾリジン:脂肪細胞の核内受容体型転写因子PPARγに結合し、グルコースの消費を促進させ脂肪細胞の分化を促進する。これが脂肪細胞を小型化し、TNFαを減少させ、アディポネクチンを増加させ、インスリン抵抗性を改善する。
チアゾリジン(アクトス)作用時間20時間
平均血糖を下げる時に使います。特徴は
1.インスリン抵抗性を改善する。
2.水分貯蓄傾向がある。
3.骨折のリスクと膀胱がんのリスクがある。
*PPARーγは、peroxisome proliferator-activated
receptor gamma(ペルオキシゾーム増殖促進 受容体ガンマ、ペルオキシゾーム増殖薬活性化受容体γ)のこと。
特にPPARーγ2は、脂肪細胞の分化のマスター遺伝子で、脂肪細胞や、マクロファージに発現してい 。る
Ⅵ.DPP-4阻害剤
小腸粘膜に局在する細胞からインクレチンというホルモンが分泌され、インスリンの分泌を促進する作用を持つ。
これがDPP-4により速やかに分解されてしまうので、これを阻害すれば血糖が下がるだろうという理論である。
インクレチンの作用は主に
1.膵保護作用
2.血糖依存性のインスリン分泌亢進
3.α細胞からのグルカゴン分泌抑制などです。
もともとインクレチンは、細胞調整機能を行っているホルモンである。インクレチン小腸上部のK細胞と下部のL細胞から分泌されます。(各々GIP、GLP-1と言います)
GLP-1はβ細胞のG蛋白共役受容体に結合して、C-AMP濃度を上昇させインスリン分泌を促進させる。また、β細胞のアポトーシスを抑制したり、増殖を促進するというデーターもあるなど主に血糖コントロールに関与していますが、他にGLP-1の膵外作用としては心筋細胞に働きC-AMPを上昇させ、NOの発生、陽性変力作用を示す。中枢神経には、神経保護作用や、学習促進能力、食欲抑制、消化管運動抑制などがあります。
GIPはむしろ胃酸分泌抑制、骨代謝促進、脂肪細胞に作用して糖の取り込み、LPL活性を高めて脂肪蓄積などに関与しているとされています。
シタグリプチリン(ジャヌビア) 作用時間T1/2 12時間
リナグリプチン (トラゼンタ) 作用時間T1/2 100時間
アログリプチン (ネシーナ) 作用時間T1/2 17時間
ビルダグリプチン(エクア) 作用時間T1/2 2時間
アナグリプチン (スイニー) 作用時間T1/2 3-5時間
サキサグリプチン(オングリザ) 作用時間T1/2 6.5時間
テネグリプチン (テネリア) 作用時間T1/2 20-24時間
トレラグリプチン(ザファテック)作用時間T1/2 19時間
DPP4阻害剤は食後血糖を下げる時に使います。特徴は
1.血糖依存的にインスリン分泌を促進
2.グルカゴン分泌を抑制する
3.体重が増加しにくい
4.腎機能障害に注意(トラゼンタは胆汁排泄なので使用可)
5.SU剤との併用で低血糖をおこすことがある
この薬は今までの薬にはない主な違う特徴が3つあります。
1.生理的であること。もともとこのインクレチンは、細胞機能調節を行っているホルモンである。
2.SU剤はATP感受性カリウムチャンネルを使うので、SU剤に無効な場合有効なことがある。
3.グルコース濃度依存症であるので、食後高血糖を下げつつ低血糖になりにくい。
などの作用が知られている。以上のことから
食前・食後も高血統低下作用、低血糖の少ないこと
α細胞からのグルカゴンの分泌抑制をもって血糖を下げること
β細胞保護作用
高い安全性などがあり薬としてもコンプライアンスが高く低血糖が少ない特徴があります。
DPP-4というジャンルの薬が売り出されて、糖尿病で新しく解ったことがあります。膵臓ランゲルハンス島にはα細胞からグルカゴン、β細胞からはインスリン、γ細胞からソマトスタチンを分泌しています。
日本人はもともとβ細胞の量が少ないのだろうと言われていますが加齢とともに能力がさらに低下し、2型糖尿病では発症した時はすでに膵臓β細胞の能力の80%は低下していると言われています。
そこで今言われているのが、βcell Massという概念です。食事や生活環境が
Immunologic triggerとなって、徐々にβ細胞が破壊されていき、それに伴ってインスリンの分泌能力も徐々に低下してきます。残り20%を切るようになるとPre-diabetic,糖尿病予備軍となります。
食事をするとβ細胞からインスリンが分泌されますが、同時にα細胞からのグルカゴン分泌が抑制されます。
糖尿病では、その食後のグルカゴンの分泌低下があまりないことがわかってきました。
つまり食後の抗インスリン作用が継続します。インクレチンはα細胞に作用し、グルカゴン分泌を抑制しています。これも食後高血糖を抑制しているようです。
最後に、まだイベントの集計が少ないのですが、アメリカでは心イベントの低下を示すデーターが出てきています。これから期待できる薬だと思います。
最近、CGMという検査ができるようになり、HbA1cにも質のいいものと悪いものがあると考えられるようになりました。
今までのように、HbA1cを下げればすべて良しとするものではないように考えられるようになってきています。
大規模臨床試験では、いわゆる質の悪いHbA1cの方を強く下げた時、却って低血糖などが起き予後が良くなかったという結果が出てしましました。
この結果から、最近では下げすぎや、血圧や、コレステロールのコントロールするほうが良いとされてきています。
これからは、グリニドや、αグルコシターゼ阻害剤、DPP-4などが、見直されるようになると思います。
Ⅶ.SGLT2阻害剤
これまでの糖尿病の薬とは違うアプローチで作用するので、大変興味があります。
血液は腎臓の糸球体でろ過され、原尿となります。
原尿の中には、水分、糖、塩分、アミノ酸などが出てきます。
これを、尿細管で必要なものを再吸収しています。
尿糖は、SGLT2が90%以上、SGLT1が残りを吸収しています。
SGLT2阻害剤はここで糖の再吸収をブロックして、糖をそのまま体外に排泄してしまいます。その為、血糖が下がります。(約1%のHbA1c降下作用があると言われている。)
しかし、SGLT2をブロックすると残ったSGLT1が働き、40%程度は吸収されると言われています。正常人では、血糖が約180mg/dl 以上になった時、尿糖が出てきますが、SGLT2阻害剤を投与した時には、血糖が37mg/dl でも出てきます。
SGLT1は主に腸にあり、グルコースや、ガラクトースを吸収しています。
ブドウ糖毒性というのがあります。
ヘキソサミン経路が糖毒性を起こす経路と言われていますが、幾つか例を挙げます。
GIPは高血糖の時は、効果が落ちると言われています。
インクレチン関連薬もしかりです。
SGLT2も高血糖の時は多く発現し、尿糖の吸収も亢進していると言われています。
単純に血糖を下げるだけでも、糖毒性が改善されていきます。
大体1日でどの位糖が排泄されるかというと、(HbA1cが5)くらいの時は60g/day,
(HbA1cが8)くらいの時は144g/dayくらい排泄されるようです。これは経口接種カロリーとしては、160-500カロリー位となります。
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T1/2 |
スーグラ |
イプラグリフロジン |
11.7~14.9 |
フォシーガ |
ダパグリフロジン |
8~12 |
ルセフィ |
ルセオグリフロジン |
8~11.2 |
デベルザ(アプルウェイ) |
トホグリフロジン |
5.4 |
カナグル |
カナグリフロジン |
10.2~11.8 |
ジャディアンス |
エンパグリフロジン |
9.8~11.7 |
長所
① 今までの薬のようにインスリンの作用によらない血糖降下作用がある。
従ってインスリン抵抗性のある患者にも効果が上がる可能性がある。
② 食事療法がなかなか守れない人には、疑似食事療法ととらえられる。
③ 低血糖を起こしにくい。
④ 血糖が下がるため、脂肪が動員され、体重が落ちる。(6か月で3キロと言われている。)
⑤ 脂質改善
⑥ Hyper filtrationが起こり、糸球体内圧を下げ、GFRを改善する可能性がある。
欠点
① 尿の浸透圧が上がり、利尿作用をきたす。――脱水、
② 腎機能が悪いと、効果が少ない。
③ 尿糖が増えるので、感染を起こす機会が増える。(尿路、性器)
④ 脂肪動員されるため、ケトン体が増加する、
⑤ 骨代謝マーカーがわずかに変動する。
⑥ サルコペニアの危険性
SGLT2を投与すると体重減少するというDETAがあります。しかも内臓脂肪が減少しています。この原理は、血中glucose を脳が検知していて、低下を感知すると脳が脂肪を燃やしている為と言われています。
ラットにSGLT2 を投与しても、体重減少は見られません。投与されたラットは、より食事を増やすからです。従って、きちんと食事制限は守らなければいけません。現時点で最もこの薬が合うと思われるのは体重増加タイプ(メタボリックタイプ)の2型糖尿病で体重を減らすことによりメリットが大きく、また比較的若い方で脳梗塞・腎障害などの合併症も少なく、食事療法がやや不十分で、HbA1c7~8程度に効果を発揮するのではと考えています。
最近のSGLT2阻害剤のわだいてして、夜間低血糖発作の減少、血圧低下作用、HDL増加作用などが、いわれており、さらなる研究が待たれるところである。
#SGLT Na/glucose
co-transporter
#GLUT facilitated glucose transporter 促進拡散型
#SGLT1 とSGLT2 Na勾配を利用して輸送する。2個のNaと共役するSGLT1のほうが、SGLT2より140倍も濃縮力がある。但し2倍のNaを流入させる。
Na+/K+-ATP ase
目標はHbA1c7%以下。食後2時間の血糖は、180以下
血糖依存性に作用するGLP-1は食後高血糖を抑制し、低血糖を起こさないとされます。
これがDDP-4阻害剤が期待されるようになった理由です。
GLP-1は心筋保護作用もあるようです。
脳に作用し、脳保護作用、食欲抑制、胃排泄抑制、インスリン合成亢進、β細胞のアポトーシス抑制、グルカゴン分泌抑制など色々な作用が見つかっています。
DPP-4阻害剤のパートナー
食事、運動などの生活習慣改善と1種類の薬剤の組み合わせで効果が得られない場合、2種類以上の薬剤の併用を考慮する。作用機序の異なる薬剤の組み合わせは有効と考えられるが、一部の薬剤では有効性および安全性が確立していない組み合わせもある。詳細は各薬剤の添付文書を参照のこと。
インスリン抵抗性があると考えられる場合は、BG、チアゾリジンを
インスリン分泌促進系としてはDPP-4阻害剤、SU、速効型インスリン分泌促進薬を
食後高血糖に対しては、αGI、速効型インスリン分泌型がよいと思われる。
現在、色々な糖尿病薬が、ありますが、今話題の、DPP-4阻害剤からみた、パートナー薬としては、どれが良いのでしょうか。
DPP-4阻害剤+αGI 食後血糖を下げ、低血糖になりにくい Good!
αGIによるGLP-1分泌亢進もいわれている。
DPP-4阻害剤+グリニド SUよりは良いのですがやはり血糖曲線を平行移動させるので、
低血糖の可能性は否定できない。
DPP-4阻害剤+SU 血糖は下げるが、MAGEは増大する。幅が大きくなり、低血糖を起こす。
インスリン抵抗性が増大している人には、向かない。
DPP-4阻害剤+BG 現在は最もエビデンスのある組み合わせです。
BGで血糖値を下げ、DPP-4で食後高血糖を改善するといわれています。
メトホルミンには、インクレチン作用もあると言われております。
DPP-4阻害剤+TZDはメタボリック症候群にはとても良いとされています。
DPP-4阻害剤+SGLT2阻害剤 早朝血糖値をDPP-4阻害剤で安定させ、食後高血糖をSGLT2阻害剤で低下させるという考え方で使用を勧められる。
DPP-4阻害剤+インスリン 時効型インスリンを使うとMAGEは低下すると言われています。
ク案高齢者におけこうれいしゃ高齢者における内診療案内治療方針院内設備アクセス 高齢者の糖尿病コントロール
60歳を超えると5~6人に一人が糖尿病であると言われています。
世界の人口の12分の一は糖尿病と言われています。
昨年、高齢者糖尿病患者の血糖コントロール目標が日本糖尿病学会より発表されました。
その中で基本となる、高齢者の評価についてお話をしたいと思います。
なぜ高齢者は今迄の血糖コントロール目標ではなく別枠でくくられる事になったのか?ということですが、
高齢者の多様性にあります。
高齢者糖尿病者では老化のため、ADL低下、サルコペニア、フレイル、認知機能低下、などが加わり、血糖コントロールが難しくなります、また低血糖を起こしやすくなり、合併症も予後に大きく作用するようになります。また意欲の低下、生活習慣を変えられないなどがあります。
さらに高齢者は一人ひとりADLの程度、フレイル度合、認知機能低下度合、転倒及び骨折リスク、重症低血糖リスク、既存疾患の種類とその重症度、などが異なっているため、個々に程度に合わせ、血糖のコントロール目標を設定するべきとなりました。
従って高齢者を今までの血糖コントロール目標を用いて、治療することは妥当ではないということになりました。
次に高齢者糖尿病の血糖コントロール目標の票を見てください。
認知機能が正常で、ADLが自立していれば カテゴリーⅠ
軽度認知症があり、手段的ADLが低下していれば、カテゴリーⅡ
中等度認知症化、基本的ADL低下していれば、 カテゴリーⅢ(臓器障害あるものも入る)
としています。
さらに使用している薬によって、目標の設定を二段階に分けています。
ここで重症低血糖を起こす薬剤としては、インスリン製剤、SU剤、グリニド薬などがあげられています。
さて、高齢者の 特徴について、お話していきましょう。
#高齢者になると
高齢者になると、インスリン分泌とインスリン感受性の両方が低下してきます。
高齢者になると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や、脳卒中、認知症、CKD,を起こしてきます。
高齢者になると、ADL(Activities of Daily Living)が低下し、筋量が低下、転倒骨折が起こりやすくなります。
高齢者になると、癌や、糖尿病の合併症など多病の方が多くなります。
さらにこれらが、罹病期間、体力などが、高齢者は個人差が大きいものなのです。
糖尿病があると周辺症状が多くなるのですが、HbA1cが7以上で急に多くなります。
アルツハイマーの発症は1.5倍、脳血管障害は2倍と言われている
さらにHbA1cが8.2%以上では有意に認知症が多くなるという統計があります。
しかし、逆に血糖をコントロールすると、認知症の発症を抑えられるというDATA もないのが事実です。
糖尿病を治療することにより何年か先の合併症が発症・悪化するかもしれないという「‘将来の危険性の低下’」を期待できますが、その一方で治療を強化することにより‘「現在のQOLの低下」というマイナスの影響が生じ得ます。 そのバランスを判断する必要があります。
今はHbA1c が低いほうが合併症の発生が低いと言われていますが、HbA1cが低い群に脳卒中、転倒、骨折、重症低血糖の発症が多くなってしまう事実があります。重症低血糖は、認知機能を障害するとともに心血管イベントのリスクともなり得ます。
ナーシングホームでの死亡率を調べたところ、HbA1c 8~9%のところが最も低かったというデーターがあります。(生存曲線のJカーブ)
高齢者糖尿病治療の目標は何等かの指標を用いて、高齢者糖尿病者を分類して治療する必要があるということですので、そこで患者の特徴や健康状態、とくに認知機能やADL(Activities of Daily Living)多臓器障害の評価に基づいて、個別に治療目標を設定することになりました、
高齢者症候群とは?
では、高齢者とは?老化とはなにか?
今、健康保険でも基本的な日常生活能力、認知機能、意欲などを評価すると、病院総合評価加算もできるようになっている。評価の必要性を認められているということです。
加齢とは年齢が増してゆくこと、では老化とは?生理的機能の不可逆的減退である。
この過程が個人個人様々な方向で、様々なスピードで進行していきます。早い人もいれば、ゆっくり進む人もいます。
高齢者の三角形
1. 認知症と神経症
鬱
戸惑い、物忘れ
妄想、幻覚
頑固、ボーとする
イライラ、不眠、凝り
MMSE10点未満で障害がふえる。15点で病院を受診するレベルである。
2. 歩行、パーキンソン症候群
つまずき、フレイル
転倒、チョコチョコ歩き
杖なし歩行5m未満で障害が増える。
椅子から尻が上がらなければ、廃用性萎縮である
3. 自律神経と睡眠
頻尿(神経因性膀胱)
便秘
大人の寝言、いびき
過眠
サルコペニア
加齢とともに筋肉量が低下し、機能が低下した状態。(サルコ=筋肉 ぺニア=減る)
一応、一次性、二次性、疾患に伴う、栄養に関するものなどがあるとされる。
骨格筋の再生能力の低下。運動ニューロンの損失。オートファジイの加齢による異常。GH,IGF-1などのホルモン低下、栄養障害などが原因とされている。
筋肉量が減少すると、転倒や要介護、合併症、死亡のリスクが高まる。
60歳以上の8-40%とされている。
加齢に加え低活動、低栄養、疾患が、原因である。
筋肉量と筋機能,身体パフォーマンスから評価される。
1.筋肉量=下腿周囲長(♂34㎝未満、♀32㎝未満)、BMI 18、5未満、生体電気インピーダンス法(BIA)
二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)♂7.0㎏/㎡ ♀5.4㎏/㎡ 以下
2.筋力=握力(♂26㎏未満、♀18㎏未満)
3.身体機能=歩行速度(0.8m/sec)
最近ではサルコペニアと肥満が重なるサルコペニア肥満が問題になっている。
筋肉のため、良質の蛋白摂取と運動が良い。
フレイル(frailty)
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態 とされています。
身体的障害や死亡に対する脆弱性が高くなる。 筋力、持久力、生理機能の減衰
評価
1、 体重減少(年間4-5kまたは5%以上の)
2、 疲労感
3、 筋力低下
4、 移動能力低下
5、 活動レベルの低下
のうち3つ以上で該当する。
サルコペニアとフレイルは概念が一部重複している。
共通しているのは、筋力低下と移動能力低下。
違いは筋肉量の測定。
予防としては、サルコペニア予防と持病のコントロール、感染予防などである。
体を構成している細胞は限られた回数しか分裂できません、(ヘイフリックの限界)
人ではおよそ50回と言われています。
染色体末端にあるテロメアは細胞分裂ごとに短くなっていき、限界まで来ると増殖しなくなり、老化します。
さらに活性酸素による酸化、糖化蛋白質による細胞障害などが細胞の老化を引き起こすとされています。
高齢者の全体像の評価として 例えば
簡易総合機能評価(長寿チェックリスト20)
• 名前 ID 年齢 評価日( 月 日)
• ADL低下の有無 あり なし
• 物忘れの有無 あり なし
• うつ症状の有無 あり なし
• 意欲低下の有無 あり なし
• 転倒リスクの有無 あり なし
• 嚥下障害の有無 あり なし
• 排泄障害リスクの有無 あり なし
• 難聴の有無 あり なし
• 5種類以上の服薬の有無 あり なし
• 週に2回以上の外出の有無 あり なし
• 要介護状態になった場合、介護者の有無 あり なし
• 介護支援専門員の有無 あり なし
• 介護サービスの利用の有無 あり なし
• 経済的な問題の有無 あり なし
• 食事形態 あり なし
• 3か月以内の体重減少の有無 あり なし
• 居住環境 あり なし
•自宅 施設 その他
• 自立又は要介護認定区分 あり なし
• 要支援・要介護
• 身長 cm、 体重 kg、 BMI( )
• その他の課題( )
• 患者又は家族への結果説明の有無 ( あり なし )
認知症の物差しMMSE
30-24点正常、23-20点軽度、20-10点中等度(ある程度の監督)10-0点高度
設問 |
質問内容 |
回答 |
得点 (30点満点) |
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1(5点) |
今年は何年ですか? |
年
曜日 月 日 |
0/1 0/1 0/1 0/1 0/1 |
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2(5点) |
この病院の名前は何ですか? |
病院 県 市 階 地方 |
0/1 0/1 0/1 0/1 0/1 |
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3(3点) |
物品名3個(桜、猫、電車) |
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0~3 |
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4(5点) |
100から順に7を引く(5回まで)。 |
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0~5 |
|
5(3点) |
設問3で提示した物品名を再度復唱させる |
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0~3 |
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6(2点) |
(時計を見せながら)これは何ですか? |
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0/1 0/1 |
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7(1点) |
次の文章を繰り返す「みんなで、力を合わせて綱を引きます」 |
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0/1 |
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8(3点) |
(3段階の命令) |
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0/1 0/1 0/1 |
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9(1点) |
(次の文章を読んで、その指示に従って下さい)「右手をあげなさい」 |
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0/1 |
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10(1点) |
(何か文章を書いて下さい) |
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0/1 |
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11(1点) |
(次の図形を書いて下さい)
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0/1 |
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認知症の薬
1.コリン系の薬
アリセプト
レミニール
リバスタッチパッチ
2.グルタミン酸系の薬
メマリー
ADLはとても重要な概念であり、ADLとは移動、排泄更衣洗面などの日常生活動作のことを言います。
ADLが自立しているという場合、普通は介護を必要としない状態であると考えることができます。
今回ADLを手段的ADLと基本的ADLに分けている。
基本的ADLとは日常生活活動を示し(移動、階段昇降、入浴、トイレの使用、食事、着衣、排泄など)、
手段的ADLとはより複雑な活動を意味するとしている(買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理、交通機関を使っての外出など)。
老年医学会では
基本的ADLの質問は
Barthel Index,、Katz Index、DASC-21などをあげている。
手段的ADLの質問は
Lawtonの尺度、老研式活動能力指標、DASC-21
などをあげている。
4.Lawtonの尺度:電話をする能力、買い物、食事の準備、家事、洗濯、移動の形式、服薬管理、金銭管理の項目からなる。
5.老研式活動能力指標:手段的ADL(交通機関を使っての外出、買い物、食事の準備、請求書の支払いなど)、知的能動性(書類を書く、新聞を読む、本・雑誌を読むなど)、社会的役割(友人への訪問、家族や友人からの相談、病人のお見舞いなど)の13項目からなる。
〒289-1115
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