21世紀は災害の世紀といわれています。このたびの東日本大震災でも明らかになりましたように、東北地方の太平洋沿岸で超巨大地震が起こることは、想定外でしたし、その結果、2万7千人もの死者・行方不明者を出す巨大津波が襲来することも想定外でした。ましてやその結果、福島第一原子力発電所の6基の原発中4基までが大事故を起こし、25年前のチェルノブイリ原発事故と同程度のレベル7の原子力災害を引き起こすなど、誰が想像したでしょうか。地震を含めて全ての大災害は想定外のところで起こっています。
たとえば、過去30年間で10人以上の死者を出した地震は、全て想定外の場所で起こっています。いつ、どこで、どのような災害が起こるか、ほとんどわからない時代に私たちは生きています。それゆえに、私たちはどのような災害が起こっても、それをより軽く受けながし、迅速に回復する「災害弾力性」を持つ必要があります。この社会には、完全な安全はありません。したがって、完全に安心できる状況はどこにも見つかりません。私たちには災害に備える覚悟が必要です。
どのような災害が発生しても、それに耐えうる社会や個人を創っていく必要があります。これらを具体化することが「安全・安心センター」の設立の目的です。
略歴
東京大学文学部心理学科卒。同大学院博士課程中退。文学博士(東京大学)。東京大学助手を経て東京女子大学文理学部助教授、教授。同大学を定年で2011年3月末退職(東京女子大学名誉教授)。フルブライト上級研究員、日本リスク研究学会学長等を経て、現在はJournal of Risk Research(Associate Editor)、International
Committee on Disaster(Board Member)、東京女子大学名誉教授、東京女子大学評議員、日本リスク研究学会名誉会員、京都大学防災研究所巨大災害研究センター運営協議委員、活タ全・安心研究センター・代表取締役。
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