1995年 【概観】

 この年は事実上の発泡酒元年と言える。前年の1994年10月に地域限定発売をしていた日本初の発泡酒、サントリーの「ホップス」が、2月にはついに全国発売となったのである。また、これを追ってサッポロが4月に「ドラフティー」を発売。

 当時、酒税法ではビール類は、麦芽比率67%以上のビール、同じく67%未満25%以上の発泡酒、同じく25%未満の発泡酒と3段階に分けて課税していた。ホップスは麦芽比率65%、ドラフティーは25%未満の発泡酒である。その税率は、ちょうど1994の5月に酒税法が改定になったばかりで、以下のようになっていた。

  67%以上のビール………………1リットルあたり208円→222.00円(普通のビール)

  67%未満25%以上の発泡酒……1リットルあたり143.43円→152.70円(ホップス)

  25%未満の発泡酒………………1リットルあたり78.30円→83.30円(ドラフティー)

 税率ではドラフティーの方が有利だったものの、味の点ではやはりホップスの方がビールに近い味だった。もっとも、どちらも「ビールの類似品」的な味の範疇からまだまだ脱するだけの水準には達していなかったが。

 ところが、大蔵省(現・財務省)が突如として発泡酒の増税をぶち上げる。

  67%以上のビール………………1リットルあたり222.00円(変わらず)

  50%以上の発泡酒………………1リットルあたり222.00円

  50%未満25%以上の発泡酒……1リットルあたり152.70円(変わらず)

  25%未満の発泡酒………………1リットルあたり83.30円→105.00円

 なんと今度は麦芽比率50%以上を発泡酒であっても「ビール」と同等にみなす、というのである。つまりはホップスが狙い打ちにされた訳だ。サントリーは急遽麦芽比率25%未満の発泡酒の開発に着手せざるを得なくなる(それが翌年の発売の「スーパーホップス」である)。

 言うまでもなく25%未満の発泡酒の増税はドラフティーがターゲットである。

 それにしても1994年に増税したばかりだというのに、その翌年に発泡酒が売れ始めると、またぞろそれを狙ってすぐに増税とは。

 無節操とはこのことである。そしてこの愚は2003年に再度繰り返されることになる。

 

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