「驛(うまや)の食卓」
横浜は日本のビール発祥の地である。有名な外人墓地にはあのコープランドが眠っているのだ。
そんな横浜に自家醸造ビール(いわゆる地ビール)を飲ませる店がある。横浜ビール株式会社が直営する「驛(うまや)の食卓」だ。
ここは1階に醸造所があり、そこで作ったビールをそのまま供給しているという鮮度抜群のシステムだ。そのせいか、店内には麦汁の匂いがほんのりと漂っている。
レストランは2階にあり、和製イタリア風手料理(!?) をウリにしているらしい。確かに「トマトの揚げだし」や「マグロの胡麻味噌マリネ」といった和洋折衷の料理が色々ある。この店オリジナルという「ケサディア」はピザ生地の間に4種のチーズとネギをはさんだものであり、ビールにピッタリ。
さて問題のビールは……あるはあるは全部で8種類。季節によって入れ替わりがあるらしいが、当日メニューにあったのは次のラインナップ。もちろん全部生きた酵母の入った生ビールだ。
すっきり&マイルド(ピルスナー)
ドライハニー(オリジナルエール)
横浜クラシカル(インディアペールエール)
やさしい小麦のビール(ヴァイツェン)
フルーツ&ハニーエール(果物は季節替り。当日はオレンジだった)
セピアビール(アルト)
北鎌倉の恵み(湧水仕込み特別限定醸造アルト)
UMAYAブレンド(ハーフ&ハーフ)
ジンジャービア(限定醸造)
地ビールというのは割高である。「こりゃ全部飲んでたら財布の方が大変だぞ」と心配していたら、なんと! うれしいことに「1時間半飲み放題1700円」というコースがある。ジョッキで3杯飲めば元が取れる計算だ。やったね。
で、片っ端から飲んだのだけど、どれも個性的で楽しい。「北鎌倉の恵み」は本格的なアルトで深い味。「フルーツ&ハニーエール」はほんのりとした甘みが女性好みかもしれない。「ジンジャービア」はやっぱりどこか「カナダドライ」に似た味(笑)。
中でも「横浜にはじめて上陸したビールをレシピ通り忠実に再現」したという「横浜クラシカル」が気に入った。ホップの利いた力強い味で、「ああ、今ビールを飲んでいるんだなぁ」ということをしみじみ実感させてくれる。何故この味が現代の量産ビールに引き継がれなかったのか!
すっかりいい気分になって、店を後にして駅まで歩いたんだけど、街並に東京とはどこか違った情緒が感じられる。酔ったせいかな? でも横浜の文化って東京とは違った良さがありますね。(2004.5)