「瓶」と「缶」の味の差は?
前項で樽も瓶も缶も中身は一緒である。ということを述べたが、では何故味の差を感じるのか。業務用樽生の場合、サーバーの扱いひとつで味が変わってくることは前項でも述べたが(詳しくは別項にて)、「瓶」と「缶」とではどうであろうか。
「缶よりも瓶の方がやはりウマい」というのはよく聞く言葉である。
「缶はどうしても金属臭がする」などとまことしやかに言う人もいるが、缶の内側はコーティングが施されているので、金属の味が流出するということはあるまい。ただ、それでも気分的にガラスの方が品質に影響を与えにくいような印象はある。だって飲むときだってガラスの容器で飲む訳だし。
厚いガラスの瓶と、極薄でかつ比熱の低いアルミ合金の缶とでは、外気温による影響の差というのも考えられる。
実はビール工場では缶は紙容器に入れるため、周りについた水分を温風であらかじめ乾かしてから入れるのだという。ビール工場で聞いた話だ。このような工程が味にいい影響を与えるはずがない。濡れたままでもプラスチックケースに入れられる瓶は、その点でも出荷前から既に有利ということになる。
家庭で消費されるビールは年々瓶から缶の方に以降しつつあるというが、味の点からも、またリサイクルという観点(ビール瓶はリサイクルの優等生なのである)からも、瓶ビールがもっと見直されても良いのではないかと思う。