キリンのチルドビールシリーズ第四段(と言っても、最近は「ホワイトエール」が店頭から姿を消してしまって少々寂しいが)。
「ゴールデン」と言えば、かつてキリンで1992年に発売した「ゴールデンビター」を連想させる。山下達郎の「アトムの子」をバックに流したコマーシャルと、独特の缶のデザインは今でも記憶に残っている。「円熟ホップ・三段仕込」というのを売りにしていたのだが、あまり売れなかったようで、短命に終わっている。
思うに、ホップを売りにしたビールは他にもあったが、どれも皆、今ひとつのような気がしないでもない。ホップは確かにビールの味の大きな魅力の要素ではあるが、それはやはり麦汁とのバランスの上に成り立つものなのではないだろうか。
つまり、ホップの香りや苦味を受け止めて生かすには、モルトのしっかりした味があってこそであって、副原料の多いスッキリ嗜好のビールでは、ホップを強めても、それだけが浮いてしまうように思うのである。
そういう意味で、このチルドビールシリーズは麦芽100パーセント・酵母入りというホップを生かす条件が整っていると言えよう。
「ゴールデンホップ」はその条件を生かし、チェコ・ザーツ産のファインアロマホップの爽やかな苦味と香りの魅力を十分に引き出したビールのように思える。ちょっと苦味の利いた美味しいピルスナービールを飲みたい時に、是非チョイスしたい一本だな。