《キリン ラガー ブルーラベル》〜その存在意義は?〜

 昔、キリンの青ラベルと言えば、熱処理ラガーの赤ラベルに対して、非熱処理の生ビールを指していた。缶やラベルのデザインが実際青を基調としていたのである。

 キリンの「ブルーラベル」はブルーというよりはライトブルー、つまりは水色を基調としたデザインで、かつての青ラベルとはまったく異なる商品である。

 昨今の健康志向を反映してか、「糖質50%オフ」を売りとした「ラガー」なのだとか。

 同社のホームページによれば、「ビール好きな人が満足できる本格感をもつすっきりした味わいに糖質50%オフ(当社比)の特長を兼ね備えたユニークなラガー」とのことである。またぞろ「すっきり」志向か(苦笑)。しかしすっきりした味わいをラガーに求める人ってあんまりいないんじゃないかな。なぜなら、ラガーの魅力は「豊かなコクと爽快な苦味、のどごし(同社のホームページより)」であったはず。 なんでこのビールを「ラガー」ブランドで出す必要があったのだろう? 一方では苦味の強いクラシックラガーも平行して作っているし、迷走しとるな、「ラガー」ブランド。

 グラスに注ぐと、思ったよりも泡がきめ細かい。糖質を50%オフにしたからといって、別に麦汁濃度が低いわけではないらしい。なんといってもこれは「発泡酒」ではなく、「ビール」なのだ。味は糖質をカットしたせいか、ドライのような辛口傾向。「豊かなコクと爽快な苦味、のどごし」なんてまるで感じられない。しつこいようだが「ラガー」ブランドで出す必要なかったんじゃないかな。

 キリンラガーの(味ではなく)ブランドのファンで、健康志向の人が飲むビール、というところか。該当する人間がどの程度いるのかわからんが。

 それにしても、かつての「青ラベル」のコクのある鮮烈な旨さを知っている世代としては、この「ブルーラベル」とのあまりの違いに、なんとも寂しい気持ちにさせられる。

 

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