カジノの本書評


星の数ほどあると言われているBJ本の書評等。日本人がわざわざ英語に挑戦して読むからには、ゴミ本は選びたくないもの。そのまま吠太郎が通読した本の辛口書評である。パワー不足につき今回は以下に留めたが、随時充実予定。ビデオポーカー、ライブポーカーその他カジノ概説書についても書評を追加しました。

なお、BJ本の著者の多くは、将棋で言えば羽生・谷川、マージャンで言えば小島武夫・井出洋介のように、業界で一定の信頼と地位を得ているので、著者名と、どういう本を書いたか等を覚えておいて損はない。

ショートカット:【Blackjack|Other games and Casino general|ゴミ本


BJ本を読むときのモデルプラン

初歩からBJを学ぼうと思う人に一応、お勉強のモデルプランを示してておくと、日本語の本でBJの基礎とcard countingの一手法であるHi-opt1について理解する。そして、同じくレベル1でサイドカウントのないHi-Lowを紹介しているProfessional Blackjackを読む。更に、Million Dollar Blackjackを読んでプロレベルのカウントシステムの世界とプロであることの基準について理解する。そして最後に、Knockout Blackjackを読みUnbalanced Countのメカニズムも学習する。

こんな感じですが、これはあくまでモデルプランですので後は各自の自助努力で頑張って下さい。但し、いずれにしろ、Card countingの全貌は2,3冊の書物でつかみきれるものではありません。下の文章をご覧下さい。

If you are a serious about playing blackjack for profit, no one book can act as a Definitive guide. Card counting is a profession for some players, and as such, is a never- ending learning process.
( Playing Blackjack as martial arts by Arnold Synder)

(もし真剣にブラックジャックと取り組むのであれば、この一冊で完璧だという本はない。実際Card countingのプロも存在するのである。だから、永遠に学び続けなければならないのは当然のことである。!!)


カジノ戦略書は一般書店ではほとんど目にすることもないので(経験則的には、一般書店で手に入るものはゴミの確率が高いようです)洋書に強いamazon.co.jpや、和書の場合は楽天ブックス等のオンライン書店を利用されることをお勧め致します。

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The Best 11 Blackjack Books
このコラムも本の数が増えてきたので、もうちょっとオススメを絞り込んで欲しいという方もいるかも知れません。とりあえず、「BJに関して幅広い見方を身につけ、視野を広げる」という観点からのベスト11ブックをpickしてみました。ベスト10にはどうしても絞りきれなかったので、ベスト11になってます(^^;)。(注:いわゆる「戦術」本だけではなく、理論、法律、いかさま、実践記など各方面から選んでいます。)




Books on Blackjack

(Amazon Books on Blackjack)



○Playing Black Jack as a business: Lawrence Revere

古典的名著。かつてはバイブルと呼ばれていたが、主にone deckの場合に説明が偏ってより、現代ではあまり役に立たない。また、couting 手法としてはRevere 5 count, Revere 10 count, Rever Point count等いくつか紹介されているが、現代主流のcounting手法ではない。自分の手法と他の手法の比較(当然自分の手法をベストと結論つけている)も、1975年時点までの情報であるので、古い。Revereはpit bossの経験とCard Counterの経験の両方をあわせもつので、Counting を理論的に研究しただけのProf. Thorp等をあまり気に入っていなかったようだ。Must readではないが、もっていても悪くない程度。

○Beat the Dealer (2nd edition): Edward Oscale Thorp


筆者は当時UC Ervineの数学教授。この本によって始めて、BJがbeatable gameになったと良く引用されるが、1950年代中期より、Basic StrategyやCountingについてはその原形が開発されているので、正確に言うと、初めて、ほぼ正確なBasic StrategyとBeatableなCounting手法を体系的にまとめ、一般書籍として販売したということになる。もちろん、Thorpの偉業はこの事実によって割り引かれるものではないが、歴史的にはBasic Strategy及びCounting前史がThorp以前にもあったということは知っておいて悪くない。

第2版は現在でも手に入るが、Single Deck向きでありかつEnd Play等現在では通用しない戦術にもページが割かれている、かつ10 count等実際のカジノでの適用が難しいcounting手法にページが割かれているので必読の1冊という訳ではない。ただ、Countingを極めようとする者にとっては、少なくとも書棚の片隅に置いておいてしかるべきであろう。読まなくとも持っているという満足感が得られる。また、現代のCounting本でも必ずこの本は参照されるのでそういう意味でももっておいて悪くない。

第1版は絶版であり、相当高いコレクターアイテムとなっているものと推測される。

○ディーラーをやっつけろ: エドワード・O・ソープ

一つ上のBeat the dealer(2nd edition)の翻訳本。工学社という意外な所から1980年に出版されている。Insurance = 保険はまだしも、Surrender =降伏とか、5 count =5の方法、point count system=点計算の方法とか、訳に苦労している所がほほえましい。

Basic Black Jack: Stanford Wong

Wongの一連のBJ本の中でBasic Strategyに焦点をあてた本。しかしながら初心者には全くお勧めできない。いろいろな特殊ルール(6-7-8 Bonus, Double Exposure, Black Jack の配当が3:2でない場合、その他多数)のBasic Strategyを全て掲載している本である。従って、Strategy ChangeをしないCard Counterがシリアスに戦うためのマニュアルといった方がよい。実は外国のカジノでは特殊ルールを提供している所は極めて希であるので、日本の地○カジノプレーヤー向きと言える。(^^;)また、Tell, Spooking, Warp等の戦術も紹介しているが、現代ルールではほとんど利用できるチャンスはない。Serious Playerの参考書といったレベルか。

○The World Greatest Blackjack Book: Humble and Cooper

名前はすごいが、決してGreatestではない。Counting手法としてはHi-opt1を扱っている。但しAce Side CountのChartの部分で一部不完全な所が見受けられる。もちろんこの本も他の例にもれず、彼らが解説しているHi-opt1が最もよい方法だと喧伝しているが、その根拠は少数のplayerからの報告に頼っているので、統計的にはナンセンスである。また、性別・年齢別のDealerの強さに関してもアンケート調査をしているが、このデータも信頼性は低い。(イロ物としては面白いが(笑))

ThorpのBeat the Dealerやこの本など、1970年代までに書かれた攻略本には多分にdealerのcheat(いんちき)に気をつけろという話が出てくる。Cheatが当時頻繁にあったかどうかは定かではないが、ラスベガスとマフィアの関係はこの頃はまだ一掃されていないので、少なくともcheatがあるのではというある種の「胡散臭さ」がカジノにまだ残っていたことが類推される。逆に、比較的最近の文献では、合法カジノではCheatはまずないと断言している。近年マフィアはラスベガスからほぼ一掃されたことや、ラスベガスのテーマパーク化によるイメージアップなどが影響しているのであろう。

その他に旅打ち日記等も掲載されているし、プレイヤーの収益についてのシミュレーション結果のグラフや表も多数掲載されており、かなり深いレベルまでBJについての知識を得ることが出来る。欠点もあるが、読み物的な部分も含めてバランスが取れているので、総合的にはお勧め。(但し、私はCounting手法としてはHi-Optを勧めない。)

○Blackjack Super/Gold: LanceHumble

内容的にはThe World Greatest Blackjackに書かれているものの中から初歩的な部分のみを抜粋したものに、Julian Braunの、Early Surreder に対するStrategyに関するショートノートを付け加えたもの。The World Greatest Blackjack Bookもそうだが、著者はカナダ出身で、南国Bahamaに行ったのがよっぽど印象的だったのか、くだらない紀行文まがいのChapterがある。間違ったことは書いてなが、初心者向けの本としてもまとまりも悪く、情報も古いので読む必要は全くない。

○ブラックジャック必勝法: 斎藤隆浩

To 吠太郎's best knowledge, Card Countingのレベルまで日本人が日本語で書き下ろした最初の本である。Card Counting法はHi-opt1である。Basic Strategy表が若干不正確だと思われる部分や、Betting EfficiencyやStrateyg Efficiencyの理解が足りないという欠点はあるが、日本語で気軽にCountingの概要について知ることが出来る本が出版されたという成果は偉大である。

但し、中級編の所でCount+-3を超えた場合のStrategy表を出しているが、これは冗長。読み飛ばしてもよい。Strategy changeの簡易化は、単純にindex numberの範囲で決めるよりも、もっと効率的な方法がある。
1999年4月に改訂版が出たが、内容はほとんど同じであるので改めて買う必要もない。言い換えれば、上記の欠点も概ねそのまま引き継いでいる。残念。

○カジノ・ラックジャック必勝法: 川上二郎


1997年に出版された正統的Card Countingの本。内容は、上記「ブラックジャック必勝法」より正確である。惜しむらくは、この本もCard Counting法としてHi-opt1を取り上げているので両方買っても冗長になってしまうこと。記述は平明でしっかりしているのでオススメではある。

○The Theory of Black Jack:Peter Griffin

BlackjackのCounting法は、確率・統計論に基づくものであるから、そのメカニズムを解明するためにはどうしても高度な数学が必要となる。この本は数学的に厳密にBasic StrategyやCountingの理論を扱った本である。従って、この本は「とにかく勝てればいい」というCounterには全く不要である。一方Countingの理論を理解したい人にはmust readである。

具体的に要求される数学的素養は、線型代数、ラグランジェの未定乗数法、多重積分、連続的な確率密度関数に対する理解、正規分布・誤差関数の操作、直線回帰(最小二乗法による線型近似)等であるが、いずれも初歩レベルが分かっていればよい。
日本の大学では理系であれば教養課程+αで一応このレベルのことは扱うので、理系出身者なら読みすすめるのに必要な知識はあるはずである。文系でも統計学・経済学・心理学など数学を使う分野をかじっていれば、ある程度ついていけるだろう。ただ、これらの数学が英語で語られているので、高度な専門書や学術雑誌等を英語で読む訓練を受けていないと相当タフかも知れない。

但し、この本は全般的に冗長な部分が多い上に、言い回しも高級なので、なかなか読み切るのは難しかろう。冗長な部分の例として、あるn次の行列式が0ではないことを帰納的に証明しているが、BJとは全く関係なく、線型代数の練習問題に過ぎない。

なお、筆者はCalifornia州のさる大学で数学の教授をしていると紹介されているが、具体名は明らかにされていない。(ここで紹介した他の本のどこかに書いてあるよ。(←物好きな方は読んで探してみては(^^;)。)この本の192ページにはStanford Wong, Ed. Thorp, Peter Griffinが一同に会した写真が出ている。貴重な写真なのでこれを見るために買うなり立ち読みするのもまたよし。!

Blackjack Your way to Riches: Richard Albert Canfield

扱っているのは、Canfiled's Expet Countというレベル1のCounting手法であるが、Hi-lowあるいはhi-opt1に比べ明らかに劣っているのでout of dateである。著者はpit boss及びplayerとしての両方の経験をもつ所がRevereとそっくりである。初版1977年であり、当時は、RevereのPlaying Blackjack as a Businessと並んでそれなりに支持を得たとの情報をrec.gambling.blackjackで読んだことがある。記述も散文的で読みにくい。但し、随所に出てくる囲み記事は(もし他のCard Counterの背景等をある程度知っていれば)それなりにおもしろい。物好きな人は読んでみればというレベル。

Blackjack Blue Book: Fred Renzey

1996年出版の比較的オーソドックスなBJシステム本。章立てや構成が割とまとまっており、初心者が読むのには悪くない。Composition dependent strategyも若干解説している。counting systemはKey Card Count, Black Ace count, Mentor countの3種類。Black AceはAを-0.5とcountする代わりに、黒のAをー1、赤のAを0とcountするものだが、基本的な着想はRed 7と同じで、独創性は少ない。Key Card countとBlack A countはunbalanced。全般として、戦術を単純化しようという90年代後半の流れの中で出てきた一冊。副題のThe right stuff for the serious playerというほどではない。総じて買っても悪くないけどというレベル。

Blackjack: A Professional Reference - The Encyclopedia of Casino Twenty one: Michal Dalton

BJの用語集+Basic Strategy Chart+Book Review+Software Review 。
この本は何冊もBJ本を読もうというシリアスプレイヤーには、絶対にお勧めできるmust readである。用語集であるので、無味乾燥だがAからZまで順に読む価値あり。各種用語を深く解説しており、その用語が出てきた文献などもクロスリファレンスされている。書評も信頼性が高い。Basic Strategy Chartも正確で見やすく、total dependent strategyに少量のcomposition dependent strategyを加えてあり、まとまりもよい。
 しかし時代の趨勢で紙版の更新は終了し、Blackjack Review Networkの会員専用コーナーでのみWeb版を提供する形式に変更された。

○Professional Blackjack: Stanford Wong

一連のWongの本の中でHi-LowとWong Halvesを用いた場合のStrategy Change表を多種多様なルールバリエーション向きに掲載した本。利用価値は非常に大きい。また、文章の部分も興味ある記述が多い。実戦での収益をシミュレーションにより、常に検証しているので(もちろんシミュレーション誤差についても言及している)非常に信頼性が高い。全てのSerious Player必携の本である。Strategy Change表に多くのページを使っているので読了するのもそれほど難しくない。ただ、一応用語集もついているものの表題から分かるようにBJの基礎用語については一部既知としているので、すぐにこの本に飛びつくことはあまり薦められない。記述は無味乾燥なので読み物としては面白くなかろう。

○Blackjack Secrets: Stanford Wong

一連のWongの本の中でBasic StrategyとCounting以外の側面を中心に記述した本。カモフラージュの方法、CompやTokeに関する記述、その他細かい技術等が網羅的に掲載されている。Wong の本は英語が平明で読みやすいので、買っても積読になる可能性は低いだろうが、この本に関しては実益性はあまりない。

○The Big Player: Ken Uston

ここから3冊はKen Ustonのいわゆる3部作と呼ばれているシリーズ。このThe Big Playerが最も有名であるが、現在では希少本になっており、中古で入手するのにはそれなりに時間とお金を要する可能性がある。内容はKen Ustonの実戦録の一つであり、彼らのチーム結成初期、即ちまだルールが甘かった頃に楽勝した実践記である。この本もhow to本ではないが、読んでいて非常に面白い。Card counterというプロが成立しえたgood old daysを懐かしむ意味でも貴重な本。なお、実際にはRoger Rapoportというフリーのプロライターが記述しているので文章は日本人にとってはやや高級で多少読みにくいことを覚悟する必要がある。(古本で$50−$150程度)

○Ken Uston on Blackjack:Ken Uston

70年代に一世を風靡したCard counter, Ken Uston本人が書き下ろした実戦録の一つ。従って、BJ攻略本ではない。しかしながら、余力があればこの本を読むことを是非お勧めする。
この本では、全うな証券会社のエグセクティブであったUstonがCounterとなり、teamを組んでMulti deckゲームで最終的に勝利するまでの課程が克明に記されている。その中ではteamの中での裏切りがあり、またNevadaやAtlantic Cityでの裁判によってCard countingを合法化させるための戦いがあり、更には、正体不明の人間によって危うく命すら落としかけた話、counting用の隠しコンピュータを利用した戦い、はたまたpit bossとの丁々発止のやりとりありと小説としても十分楽しめる上に、これがすべてノンフィクションなのであるからたまらない。

なお、彼のドンキホーテ的な法廷闘争の結果、ついにAtlantic Cityではcountingが合法化された。残念ながらNevadaでは、「カジノはprivateな建物であるので、どんな人物に対しても入場を拒否する権利がある」といういささか強引な法解釈によって、Counterをつまみ出すことが依然カジノ側に許されている。従ってLas VegasでCountingする際には現在でも細心の注意が必要である。

本の中程に会社勤めの頃の若かりしUston, 変装したUston等の写真があり、それらを見ているだけでも楽しい。Ustonは、19**年パリのさるアパートで死体となって発見されたが、死因は諸説紛々である。未だにUstonの死亡についてnews group等で話題になるほど当時は強烈なインパクトがあった模様。リンク集のどこかを探ると詳しくUsotnのことについて書かれた記事が出てくるので探してみては。

○Two Books on Blackjack:Ken Uston

前半はOne-Third of shoe、後半はHow You Can Win at Blackjack in Atalantic City and Nevadaという2部構成になっている。前半はUstonの実戦録の一つで、Atlantic Cityの創設期にResorts Casinoを徹底的に攻撃した物語。Ustonらしく、例によってCard Counting合法化への奮戦記にもなっている。また、Ustonの父Senzo Usuiを含んだ家族写真、Ustonの変装の数々の写真も出てくるので興味深い。とにかく、Atlantic Cityの極く初期は、Card Counter conventionと言われるほど多数のCounterが稼ぎに来たのだが、あまりに露骨なプレーをするチェコ人に対し、Ustonが諭すシーンもなかなか面白い。余談だが、Knock Out Blackjackの巻末でOlaf Vancuraが自分のことを、Olaf "Czech's Play" Vancuraとシャレで名乗っているのは、Atlantic Cityでのチェコ人のこのような露骨なプレーを皮肉ったものだと思われる。我々も Hoetaro "Japs's Play" Sonomama等と言われないように気を付けたいものである(笑)。このように前半部分は読み物としては最高に面白い。後半部分は初心者レベルであるし、データも古いので冗長。

○Blackbelt in blackjack:Arnold Snyder

副題はplaying Blackjack as martial arts.即ちBlackbeltとは空手の黒帯のことである。

Hi-lowとかHi-opt等のBalanced Countしか知らない人間が読めば、ここで紹介されているUnbalanced Countの Red 7に目からうろこが落ちる思いがするであろう。Red Sevenはrunning countからtrue countへの計算が不要なので、ミスを少なくするという観点からはお勧めできる方法である。

Level 2のZen Countも効率のよいCounting手法であるが、Strategy変更表が完璧はないのでやや使いづらいか。また、countingのカモフラージュプレーの一つである、Depth ChargingはSingle Deckにしか使えない戦法であるが、他書にない考え方であり必読。

決して初心者向きではないが、非常にコンパクトにまとまっており読みやすい。中級レベル以上のプレーヤーは必ず読んでおくべき本。超オススメ。唯、著者はいわゆる「武道」オタクのようであり、BlackjackとMartial artの戦い方を強引に同一視しようとしているのは、ちょっと笑える。

○Blackbelt in blackjack:Arnold Snyder 05 edition
05年に出た、Blackbelt in blackjack98の改訂版。90年代の潮流である、シンプルなカウントへの回帰とindex numberの単純化について詳しく書かれている。どんなカウンティングシステムでもそうだが、実はindex numberはtrueで1,2程度の誤差があっても、実際の収益にはほとんど影響しない。(0.01%のオーダー)。だから、正確なindexを覚えるよりも、単純な4つ程度のindexにまとめてしまった方がよい。
この観点から、hi-lowのindexをまるめたhi-low liteと、自身が開発したZenとRed7について、新しいindexを提示している。その他shuffle trackingについても、旧版に比べ、かなり掘り下げた記述がある。
理論的には、非常に独創的な手法であるdepth chargeについては、もはや90年代の1 deckゲームでは実用性が失われているとの判断であろうか、記述が省略されている。(広義のdepth chargingについては説明があるが、これはまた違った概念であると考えた方がよい)。
明らかに90年代、21世紀を生き抜くシリアスプレーヤーのマストリードであり、旧版をもっている方にも、新版を入手することを勧めたい。98年版に引き続き出版された05年版でもShuffle Trackingに重きがおかれているが残念ながらその使用機会がますます少なくなっているのでやや出版が遅きに失した感じがしなくもない。
旧版に掲載されていた5th National Conference on Gambling and Risk-Takingでの"Bishop" Snyderの説教(演説)の写真とそのときの演説文がなくなっている。BJの戦略には関係ないが、1BJオタクとして、このことは心より残念である(^^;)。

○Beat the 1-Deck Game:Arnold Snyder
○Beat the 2-Deck Game:Arnold Snyder
○Beat the 4-Deck Game:Arnold Snyder
○Beat the 6-Deck Game:Arnold Snyder
○Beat the 8-Deck Game:Arnold Snyder

Penetrationとデッキ数、Bet Spreadが与えられたときに、プレーヤーのアドバンテージを計算するためのチャート集。正確にアドバンテージを知りたいシリアスプレーヤー向き。ちなみに吠太郎は1 Deckと6Deckのバージョンをもっている。中級者程度までの人なら特に求める必要はないが、チャートを眺めるにつけ、表面上のルール以上に、penetrationが大切であることが良く分かる。最近良質のソフトウエアも多く出ているようなので、このような手計算方式でAdvantageを計算する手法はもはやout of dateではある。

○Blackjack Attack:Don Schlesinger

Blackjack Forumへの本人寄稿コラムの特選集。Illustrious 18やfloating advantageをはじめとした重要な概念が詳しく記述されており大変に興味深い。内容はBack counting, Betting technique, 色物ルールの解析、Illustrious 18, Floating Advantage, Team Play,など。内容的には非常に興味深く全てのシリアスプレーヤーには必ず読むことをお勧めする(色物ルールの章は省略も可)。但し、他のBJの成書や著者が非常に多く引用されるので、少なくとも本書評で紹介されている本を10冊以上読破していることが、この本を読むための基礎知識として必要となる。ルール解説やシステム解説などの本ではないことに十分留意された上で購入されたい。

また、この本に掲載されているThe world greatest Blackjack Simulationはhi-lowを対象としているが、1998年現在共同研究者のJohn Austonによって続々と各種counting system(Zen, K-O, Red 7etc) に対するThe world greatest Blackjack Simulationシリーズが発行されつつある。このシリーズもSnyder のBeat the X-deck Game seriesに代わる、シリアスプレーヤー必携の本となるであろう。(但し、自分の興味のあるcounting systemのものだけを購入すればよい)

○The World's Greatest Blackjack Simulation Charts:John Auston
ということで、一つ上のDon ShlesingerのSimulationをJohn Austonが他のシステムに対しても行った一連のチャート集。Red 7, K-O, Zen, Omega 2の物が既に発行されている。吠太郎は今の所Zen Count Editionのみ所有。このチャートをみるにつけ、RuleよりもPen.が非常に大切なことを痛感させられる。シリアスプレーヤーは必携。

○Burning the tables in Las Vegas:Ian Anderson
長く絶版となっていたTurning the tables in Las Vegasの続編。最低ベット$100以上のplayerが、いかにカモフラージュを行い、カジノの対card counter警戒網をくぐり抜けて、「長期にわたって」プレーをする方法を詳しく述べている。理論面は最小限にして、pit bossやhostとの付き合い方、<Front moneyやCredit lineの活用方法の他、card counterの心理面まで多岐に渡って詳しく記述されている。Sports bettingの章と、conditionを保つための食生活の方法など、やや余計なお世話な所まで述べられているが、全体としては非常にまとまりも良く、読み物としても面白い。明らかに21世紀を生き抜くSerious player必携の一冊。

○Blackjack Essays:Mason Malmuth

ポーカー系の著書で有名なMason MalmuthがBlackjackについてオムニバス的なトピックを書いた本。随所に参考となる記述がある。但し、ターゲットとなる読者が中級以上のプレーヤーであると思われるのに、ゴミシステムの批判をくどくど書いている所などがやや散漫。また、Malmuthは「思考」のみによって、ゴタクを述べる傾向があり、Computer Simulationなど定量的な評価を自身でほとんど行わないので(どうもMalmuthって、数学は好きだけどcomputer programmingはあまり得意じゃなさそうな気がする)、ときとして曖昧な結論や間違った結論に陥っている部分がある。これらを除いても、読む価値はあるが、どこが「曖昧」で、どこが「間違っている」のかピンとこない人には危険である。また、card domination (Shuffle Tracking)に関する部分は、単純すぎてもはやout of date.中級以上でBlackjackの理論面を良く理解している人の参考書程度。

○Blackjack for Blood:Bryce Carlson

レベル2のカウントシステムの中で、最近使用者が多いと思われるOmega2が紹介されている。人気の理由は、betting efficiencyとplaying efficiencyの程よいバランスにあると思われる。Aサイドカウントを最終的には必要とする。割と新しい本であるのに、ベット額変更の方法などが70年代風のカモフラージュ法と似ているのは少し頂けない。ダブルダウンの際に、収益の最大化だけでなく、収益の安定性を考えて少し(といってもほんの少し)保守的な戦術を勧めている点は、参考になる。レベル1のシステムのプレーヤーがさらに、上級のシステムを学ぼうと思ったときには、有力な候補となるのでそういう意味では必読。ただし、記述は少し散漫な所もある。

○KNOCK-OUT BLACKJACK: Olaf Vancura and Ken Fuchs

1996年に出版され、一世を風靡しそうな予感のある新しいCounting SystemであるKnock-Out (K-O) Systemについての本。人生を賭けてプロを目指すトッププレーヤー以外の人全てに吠太郎が、今現在で最も勧める本。長く版元品切れであったが、1998年末にrevised versionが出版された。

各種Card Counting Systemは、効率と簡便性がトレードオフの関係にあるのだが、Level 2以上のCount, Ace Side Count, Strategy 変更表の数値範囲を大きくするなどの努力には限界がある。即ち、複雑なシステムは効率が高いのは確かなのであるが、その改善率はほとんどない。複雑さに起因するプレーミスも含めると、結局シンプルなシステムの方がよい。また、シンプルなシステムの方が、疲労も少なく「長時間」プレー出来る。(同様のことはStanford Wong等も唱えている。)
この観点から、出来るだけシンプルなシステムで、出来るだけ効率の良いシステムがベストだというのがこのシステムの背景である。従って勿論レベルは1となる。更に、Running Coung→True Countの変換も相当のスキルが必要なので(残りデック数を正確に推定するためには、相当の練習が必要であるし、また「割り算」というやっかいな操作が必要になる)、これもなしで済ませたい。そこで、彼らは、上述Blackbelt in BlackjackのRed 7からヒントを得て、UnbalancedでRunning →Trueの変換が必要でない条件の下で、最大効率となるシステムを開発したのである。
更に、Strategy変更表も出来るだけ簡略化するために、収益に影響の大きいhandのみに戦術変更を限定した(Illustrious 18)。また、Index number自体も3種類に限定している。
概念としては以前から存在していたものを組み合わせて進化させたシステムではあるが、非常に完成度が高く、読後感は極めて爽快であった。
注意されたいのは、他のシステムに十分慣れている人が無理してまでK-O Systemに乗りかえる必要はないということ。でも、読むだけは読んでおくことを強く勧める。

○The Unbalanced Zen 11: George C.


標題のUnbalanced Zen11カウントシステムの説明書。全部でわずか25ページなので、読み物としては楽しめないが、必要十分な情報が盛り込まれている。発想はK-O Systemと全く一緒で、Unbalancedにすることによる、true countへの変換を省略しした点、及びindex numberの単純化に特長がある。Level 2のカウント。筆者のsimulationではOmega2とK-Oの丁度中間程度の結果が出ている。Level2カウントをスムーズに行えるなら悪くないシステム。本の薄さの割に高いが($19.95)おすすめではある。

○ Million Dollar Blackjack : Ken Uston

Ken Ustonが書いた本の中で、攻略法を主体にしている本。システムとしては、Uston Advanced Plus Minus. Uston Advanced Point Count (Uston APC)など。基礎的な所から、非常に高度なチームプレーやカウントシステムまでバランス良く書かれており、また随所に実戦記も盛り込まれており、300ページ超の大部の割には読みやすい。シリアスプレーヤーから、初心者まで是非読んでおきたいマストリードである。
但し、専業プロレベルプレーヤーのことを意識しすぎており、セミプロあるいは趣味でCountingをしようという日本人プレーヤーには役に立たない部分も多い。この点で、前述のKnock Out Blackjackとは正反対の視点で書かれていると言って良い。また、少し前の本なので情報が若干古いことにも注意が必要。システムそのものの他、spooking, front loadingやcheatについての記述も詳しい。

なお、Uston自身も、Uston APCはあまりに複雑であり、プレーミスを考慮すると、もっとシンプルなシステムの方が結局効率は良いと後に考えを改めている。逆に言えば、Uston APC程度が、人間が実際のカジノプレーで出来るぎりぎりの高度な戦術ということになる。もし、非常に優れた能力の持ち主でありかつ、百時間単位のトレーニング時間を割けるのであれば、一度は挑戦してみても良かろう。

○Fundamenatls of Blackjack:Carlson R. Chambliss and Thomas C. Roginski

歴史からベーシックストラテジー、カードカウンティングに至るまでの文字通り「基礎」を広い視点でかつ、非常に分かり易く記述している本。理論的な背景についても、the thoery of Blackjackjのように数学を駆使するのではなく、事実としてのデータを示すことにより解説するスタイルを取っているので、数学は苦手だがcard countingの理論的な背景を知りたい人にも非常に役に立つ。自らのシステムを解説しているのではなく、既存のシステムを幅広く紹介している。実はこのようなoverviewスタイルの類書は少ないので、非常に評価できる。初級者の方で、card countingのABCを概観したい方には、是非手に取って頂きたい。中級者以上の人に対しては、自分の知識を整理するという観点からの参考書になろう。若干out of dateであるが、良著。

○Julian's No-Nonse Guide to Winning: Blackjack:John F. Julian

Basic strategyとHi-Lo Countの初心者向きガイドブック。Double ExpousureやMulti-Action Blackjackについても紹介。とここまでは無難な解説書であり、間違いもないのだが、7章で急に"Sprint Strategies"なるゴミマネーマネージメント&ストラテジーを得々と紹介している点が頂けない。初級〜中級レベルの本だが、Sprint Strategiesにだまされる読者がいることを考えると、初心者向きとしても御勧めできない。唯一他の本で紹介されてない有益な戦術は、Scan Techniqueと名づけられたSingle Deck用の戦術。(用語集参考)。Scan Techniqueのためだけにこの本を求める必要もなかろう。

○Silver Fox Blackjack System: Ralph Stricker
Silver Fox Systemの解説書。Koko ItaのGreen Fountain Countと同一のシステム。悪くはないSytemだが、書物としてはまとまりが悪く、講習会用のテキストといった感じなので初心者が読み進むのには相当苦労するであろう。また、ISBNもないので入手はGBC経由か、本人のHP経由に頼らざるをえない。しかも、$30とやや高いのが難。ゴミではないが、敢えて求める必要もない。

○Las Vegas Blackjack Daiary:Stuart Perry
東海岸に住む著者が、1994年2月24日から4月22日までの約2ヶ月間、Card counterとしてLas Vegas (+Laughlin)に打ちにいったときの詳細な日記。ただそれだけのことなのだが、Ustonの実録記が、派手で多少の誇張などもある(と思われる)のに対し、毎日・毎セッションの浮き沈み、heat, conditionその他を淡々と記録している分、一度読み出すと却ってのめり込んでしまう面白さがある。Las VegasでのCard counting体験をシミュレートできるという意味で非常に貴重。must readではないが、是非一読を薦めたい。なお、著者が「indexでは1.5以上スタンドの状況で、1.7でヒットしてしまうなどのミスプレーで利益が減った」という感じで悶々と悩む場面があるが、細かいindexの誤差は実はそれほど収益に影響しない。場面付録にHi-opt1の解説あり。

○Blackjack and the Law:I. Nelson Rose and Robert A. Loeb
Card countingの合法性、またCard Counterを出入り禁止(barring)や、別室に連れ行く(Backroom)ことの合法性について、法律の専門家が解説した本。共著者の一人はBlackjack Playerでもあり、ゲームに関しての深い理解を元に法律論を展開しており非常に興味深い。must readではないが、法律的にどういうことが認められているかを確認することは、シリアスプレーヤーにとって、一つの武器になる。また、Blackjackだけではなく、インディアンカジノやインターネットカジノなどに関するトピックもあり面白い。オタク向きだが、お勧め。

○Card Couting For The Casino Executive:Bill Zender
カジノ運営側から見たカードカウンティングについて。前半はカードカウンティングについての解説なので、新味はないが、後半の「カードカウンターへの対処法」については、参考になる部分も多い。Zenderが一時superviseしていた、旧Alladinホテルは真にカジノの脅威となるCard Counterについて非常に厳しかった一方、greenプレーヤー程度は実際の脅威にはならないことも十分理解していた。そのため、card counterの中にも、「正しくcard countingを理解しているカジノ側の人間」として、尊兄しているplyaerもいる。

○How to detect Casino Cheating at Blackjack:Bill Zender
BlackjackにおけるCasino側のいかさまについて詳しく述べた本。how to "detect"というよりは、総合的にcheat関連の話題を扱っている。その中で、Cheatが発覚した実例が多数掲載されており興い。もちろんラスベガスオンリーで勝負するならcheatはほぼ杞憂ではあるのだが、他国、他州で勝負される場合もあるであろうし、万一に備えてSerious Plaerには是非一読を薦める。Zender自身の履歴も分かるほか、A Rainy night in Oregonなど読み物としても面白い記述が満載である。

○Expert Strategy for Spanish Blackjack:Lenny Frome
Spanish 21のBasic Strategyとミニ解説。普通のBJよりベーシックがかなり難しい上に、house edgeも大きいのでシリアスプレーヤーには全く不要だが、あえてカモフラージュのために「たまに」やるときのために知っていても悪くないかも知れない。

○Armada Strategies for Spanish 21:Frank Scoblete
副題にSink The Casino's Hottest New Game。即ち、このゲームをスペインの無敵艦隊になぞらえ、以下にこれを撃沈するかを解説した本。Spanish 21のBasic Strategy(house edge 0.8%)を示すと共に、countingによって勝つことが現実には困難であることを指摘(1-30 spreadが最低必要だそうな)。だから、ゲームで勝つことよりコンプとの合わせ技で、儲けるべきというのがその主張。Comp Cityなどと同じ流れ。著者の他の本についてはあまり良い評判は聞かないがが、この本については、一応Snyderも評価しているので、まあ買って間違いはないだろう。後半部分に、「毎月カジノ貯金をしてカジノ専用バンクロールを作ろう」などと余計なアドバイスもあるが、Spanish 21の歴史なども書かれており(Julian Braunが知恵出ししていたとは初耳)、Spanish21プレーヤーには一応の御勧め。

○Blackjack Wisdom:Arnold Synder
"Bishop" SnyderがCasino player, Card player, Blackjack Forumなどに執筆したコラム集。オリジナルに若干の修正が加えられている。体系的でもなく、戦略書としての価値は低いが、細かい点については参考になる所もある。(BJFはともかく、Card player誌などは、カジノの広告と大量購入が収益源であるので、掲載内容がおのずと制約されてしまう)。Snyderオタクの人と暇な人の軽い読み物として。

○Sklansky talks Blackjack:David Sklansky
非常に評価の高いポーカー戦略書を書いているSklansky(ポーカー本の書評参考)が初心者〜初級Card counter向きに書いたBlackjackの戦略本。本人が序章で述べている通り、新たな戦術を開発したものではなく、hi-low (正確にはhi-low lite)を、分かりやすい切り口で解説しようと試みている。しかし、特に分かりやすくも書かれておらず冗長な記述と必要な情報の欠落の両方があり、Sklanskyの著書の中では珍しく失敗作である。各playerのトータルに対して、hit or standのベーシックand hi-lowの戦術の背景を少し述べている点で、Basic Strategyを覚えようという人の記憶を鮮明にさせるという点で、多少の価値がある程度、もちろん間違ったことは書いてないが、よほどのSklansky信仰者以外には不要。

○Progression Blackjack:Donald Dahl
必死でカウンティングするより、parlay系(勝ったあとで駒を上げる)マネーマネージメントで、負けを少なくしようという本。しかも、Basic Strategyよりもconservative(8,8を9,10,Aに対してsplitしないなど)なstrategyを自信をもって推奨しているなど、全く役に立たないゴミ本。その意味でゴミ本リストの範疇の典型的な本ではあるが、8章のBlackjack Pastの部分に、他の成書に見かけない記述、特にEd. Thorp以前のBlackjackの歩みなどが割と詳しく書かれており、歴史的側面に興味のある超オタクな人にはわずかに役に立つ部分がある。但し、この歴史の部分もかなり信憑性に乏しいと思われる所もあり、注意しながら読む必要がある。ちなみにこの本もCarol Publishingから出ているが、嘗てはRevere, Canfield, Ken Uston等の名著を発行していたのに、今やJohn Patrick本とこの本しか出版出来ないとは全く情けない。ただ、相変わらず販売力はあるようで、この本はバンクーバーの一般書店にて購入。在米の方が一般書店でBlackjack本を手に取るときには、ゴミ拾いをしないよう十分気をつけられたい。

○Blackjack Reality the David H. Morse Method: David H. Morse
カードカウンティングの講習会向けテキスト本のような構成。Wong Halvesを採用。「Chart類を覚えるときに、連想記憶法を用いると良い」と主張し具体的方法を示している。また、Griffin OrderでBS Chart等を書き直すとビジュアルに覚え易いというヒントもある。しかし、初心者にはGriffin Orderの意義はわかり難いし、それ以外の人はBS Chartを暗記していることはあまりに当然なので、結局あまり役に立たないか。。その他では、Signagure Cardsを用いて数枚のShuffleされないカード群を覚えておくと有利であると提唱しているが、現在開発中であるとし、具体的利用法にも踏み込んでいない。 New JerseyのDealerの非常に細かいカードの配り方、回収の仕方等の手続きが掲載されている点にも資料的価値がある。ゴミではないが、中途半端な本であり、BJ本収集家以外の人には全く不要。

○Blackjack Autumn : Barry Meadow
著者がNevada州の全てのカジノのBlackjackを2ヶ月間に渡って旅打ちしたときの旅行記。同じ趣旨のLas Vegas Blackjack Diaryに比べ、Blackjack以外の分野のウイットなどが利かせてあるので、一般書籍としてはより面白い。言い換えればBJ本としての価値は相対的に低い。もちろん山口瞳大先生の草競馬流浪記豪遊記よりは数倍良く書けている(笑)。CBJNに出てこないような場所までわざわざ訪れている所は脱帽物。「BJ Tableがなかったので仕方なくBJ Blitzで遊んだ」など、著者熱意は買うが、ウイット部分まで楽しむためにはそれなりのバックグランドが必要なので、初心者の方にはあまりお薦めは出来ない。娯楽本として熟練者が読むのであればまあまあ面白い。


Books on other games and Casino general

(注:ライブポーカーに関しては私自身、正確書評が可能なスキルはもちあわせていないので、あくまで参考程度にご利用下さい。 )

(Amazon: poker books)


(Amazon: General Gamble games)


○BeatWebCasinos.com: Bill Haywood  

offshore wagerなどとも呼ばれるオンラインカジノで勝つためのノウハウと実戦記を示した本。基本的な考え方はVPなどと同じで、ゲームそのものだけでなくコンプも含めて勝とうという切り口。もちろんオンラインゆえコンプではなく、いろいろなプロモーションのおいしい所だけを狙い撃ちするということになるのではあるが。即ち、いわゆる「サビ抜き」と呼ばれる手法をオンラインカジノで実行するためのノウハウをを詳細に記した著。このような出血大サービスのプロモーションをなぜ、オンラインカジノが行うのかといった経営的な側面からはじまり、送金と勝ち金の回収の方法、信頼性の高いオンラインカジノソフトを判別する方法、信頼出来るカジノとインチキカジノのリスト、インチキカジノに関する情報が集まる掲示板の情報等などが書かれている。もちろんゲーム自体を損失を少なくプレーしたり、勝ち負けの荒れを少なくしてプレーしたりする方法などにも言及されている。カジノの情報については最新という訳ではないということには注意されたいが、考え方の基本を習得するという意味においてオンラインカジノ(スポーツブックを含む)を真摯に攻略されたい方が必ず読むべき好著。なお、出版社がSnyderのRGE publishingであることも本書の正当性の証左の一つである。
(この業界は情勢の変化が激しいので、既に情報としてはobsoleteである。2004年2月追記)


○Gambling Theory and other topics:Mason Malmuth

ポーカーとその他のカジノゲームに関する短編集。著者がSklanskyと共著で表しているポーカーの本は高い評価を得ているし、この本も間違ったことは書いてないのだが、結構当たり前で(少なくとも私には)退屈な記述も多い。ポーカーゲームにおける勝ち負けの「分散」のチャートが掲載されている点に資料的価値がある。後poker touramentの戦術に関する章は比較的役に立つ。しかし、その他の章は陳腐。説教口調も気になる所。巻末に膨大な書評集があり、10段階評価がされているが、この本自身を吠太郎が採点すればせいぜい5か6といった所。特に買い求める必要はない。東条英機をThe World's Worst Gamblersの中に加えているのはご愛敬か。

Beat the Sports Books An insider's Guide to Betting the NFL:Dan Gordon 
長年の通算的中率58%を誇るNFLのスポーツブックのプロが書いた攻略法の本。Arnold SnyderのRGE Publishingが力を入れて売り出している。Blackjackのhow to 本などと違って、これ一冊で戦略が完結する訳ではないので、目からうろこが落ちるほどのことは書いてない。またハンデキャッピングについてそれほど深く記述されていないので、この本から得る物もそれ程は多くない。NFLと真面目に闘う方は読んでおいて悪くない程度。実際問題、Sportsbook、特にNFLは客観的なデータ(stats)も非常に多く手に入れることが出来るので定量的な分析をしやすいゲームであるが、実は一つ一つのプレーの微細な点までをゲームを見て確認する位でなければ有利なあるベットが有利か否かの判断はむずかしく、上級者への道は苦しいものがある。Dan本人も、日曜は「3つ平行してゲームを観戦する」と述べているが、まあそれくらいの不断の努力は必要なのであろう。ちなみに、日本にいながらスカパーのNFL生中継を2契約して毎週「同時に」観戦している吠太郎の友人は、統計的に有意にoff shoreから抜きまくっている。なお、DanのNBA,NFLの有料予想はここから購入出来る。

Sharp Sports Betting:Stanford Wong  
Blackjack攻略の御大Wongが書いたスポーツブックの攻略本(2001年8月出版)。一つ上のGordonの本といい、この本といいBlackjack攻略の大家が21世紀になり同じ年、ほぼ同じタイミングでスポーツブックに乗り出してきたのは非常に興味深い。一方でBJの収益性の低下、もう一方ではオンラインのブッキ―(off shore wager)の普及により、提供されているライン・オッズのうち最も有利なものを家庭にながら瞬時にキャッチ出来る環境が整備されて来たこと等によるスポーツブックの収益性の向上という最近のトレンドを象徴していると思われる。肝心の内容であるが、例えばSan Diego -14とSan Diego-15という二つのラインの差が収益に与える影響や、San Diego -3(Point Spread)とSan Diego -150 (Money Line)はどちらが有利かといった分析のように、二つの賭け方があったときにどちらがどれだけ定量的に有利かを判別する相対的な分析が主であり、San Diego -3というラインが適正かどうかについての分析手法、即ちhandicappingについてはほとんど触れられていない。その意味では物足りないが、有利な賭けををする際の武器として本書は参考になる。NFL関連の分析が半分弱を占めるが、他の種目の記述や、Internetで賭けるときの注意なども書かれており、スポーツブックで闘う人の必読書と言えよう。なお、WongもSnyderと同様にスポーツブック用のサイトを立ち上げている。

○Gambling For a Living:David Sklansky and Mason Malmuth
勝てるカジノゲームの紹介と、その具体的方法を簡単にまとめた本。扱っているのは、Blackjack, Sports Betting, Horce Racing, Slot and Poker machines, Poker, Casino Promotions, Casino Tourmanetsに加え、ごく簡単に勝利戦略のないゲームも紹介。基本的に各ゲームのルールを読者が既知であることが要求されているが、その一方、詳細な部分までは勝利戦略が書かれていない。その意味で、既にあるゲームについて深い知識を持っている人が買ってもプラスαは望めない。米国のカジノ&スポーツブックで勝ちたいが、まだどのゲームも深く研究していない人が、どのゲームにどのような戦略があるのかを概観するのに役に立つ本と言える。カジノ全般に関し、中級者を志したい初級者向きといった所か。あるいは、カジノゲーム攻略者が、ちょっとしたヒントをつかむのにも多少役に立つ。その他では、上級ポーカープレーヤーの時給チャートが掲載されている所に資料的価値あり。また、(多分)Malmuthが書いている部分は、相変わらず傲慢な書き方をしており困ったものである。

○Hold'em Poker:David Sklansky
10-20以上の中〜高レートのプレーヤー向きのTexas Hold'emの戦術本。有名なSklanskyのHand Groupなどが掲載されている。Hold'em playerのmust readだがlow limitのテーブルで戦うならLee Jonesの戦略の方がいいかも知れない。


○Hold'em Poker For Advanced players:David Sklansky
上記hold'em pokerの続編。シリアスにhold'emを戦うなら、絶対に複数回読まないといけない本。膨大なQ and Aがついているので、便利。


○The theory of poker:David Sklansky

ライブポーカープレーの様々な局面での戦術に関して詳細に書かれている本。単なる戦術だけではなく、上級プレーヤーの「思考回路」について非常に良く書かれており、一つ一つの記述がいちいち納得させられる。考えながら読む必要がある本なので、読むのに時間はかかるが記述は平明。邦題をつけるなら「ポーカーの基礎的思考法」という感じがぴったりというところか。今の所live pokerの本の中では個人的なベストブック。


Tournament Poker For Advanced Players: David Sklansky
For advanced plyaersシリーズのトーナメントポーカー編。ライブポーカー自体についてあるレベル以上であり、様様なオッズ(特にpre flop, Heads upでの勝率)についても既知であるプレーヤーを仮定しているので初心者にはちょっと不親切。読みやすくは書かれており、自らのポーカー思考の整理には役に立つ。対象としているトーナメントが比較的高額の、比較的レベルの高いものを想定していることであり、Blind Stealとリスクの最小化にかなりの力点が置かれている。従って、Loose player(なんでもコーラーが)自分の右側ずらっと並んでいるようなLow Limit のDaily Tournamentへの対策は書かれていない。この辺りは"Wiinning Low limit daily tournament"なんてのをLee Jonesに書いてもらうのがいいのかも知れない。

○Championship no-limit & pot-limit hold'em:T.J. Cloutier with Tom McEvoy
標題の通り、no-limit&pot-limitの戦い方、特にtounrmanetの戦い方について書かれた本。この本の価値を論評出来る程の技量は全く持ち合わせていないが、そういうレベルのプレーヤーであっても、かなり納得させられる部分が多かった。もちろんchampionship levelになると、特にno-limitでは相手の観察力が非常に大切となってくるので結局は場数をうんと踏まないとどうしようもない部分が大きいと思う。しかし、場数を踏んでいる最中にどういう点に気をつけるべきかという指針が得られるだけでもこの本は有難い。但し、limit系hold'emの考え方の基礎が分かっていないと読んでも仕方ないと思われる(←個人的感想)。従って初心者向きではない。
また、TJがUC Berkleyにfootballのscholarshipで入学した話とか、その後プロとして活躍した話、ピストルがすぐ出てくるようなTexasのpokerで奮戦していた当時の話なども書かれていて面白い。Tournament pokerに挑戦するならお薦め。

○Winning Low Limit Hold'em:Lee Jones
タイトル通り1-4-8-8などlow limit、言いかえれば「あまい」プレーヤーが多いテーブル向きのTexas Hold'emの戦略本。戦略本として非常に役に立つ他に、例えとんでもないスタートハンドの素人にriverで捲くられても、平静が保てる心構えを確立する意味でも役に立つ(^^;)。

○Winner's Guide to Texas Hold'em:Ken Warren
平凡なHold'emの戦術書。個人的にちょっと納得のいかない記述もある。一応初心者を意識した作りになっているが、「これはちょっとおかしいんじゃない」というところと、「なるほど」と思える所を読者自身が区別しながら読む必要があるので、基礎を固めた人にしか推薦できない。もちろんわざわざ買う必要はない。

Casino Tournament Strategy :Stanford Wong
Blackjack, Craps, Baccart, Keno, Horse Racing等のトーナメントの戦術書。Slot tournament等への対策も巻頭に記述されている。類書がないだけに現在も貴重な情報ソースである。他の参加者のスキルが高くなければ、本書の戦略を知っているだけで大きなアドバンテージとなるので、これらのトーナメントに参加される方はマストリード。但し、ラスベガスの公開高額トーナメントには、本書レベルを前提としている参加者が多い可能性も高いのでプレーヤーの質の確認も重要である。

Video Poker - Optimum Play: Dan Paymar

ビデオポーカーの戦略と関連トピックが書かれている。戦略自体はJack or Better 9/6, Deuce Wild, Joker Wildについてしか記載されていないが、コンプとの関連、リスクの算出、細かい高度なプレーなどについて詳細に書かれている。全てのビデオポーカープレーヤーのmust read。1998年半ばに出版されて以来、12月には早くも品切れ中のようである。

Winning Strategies for Video Poker: Lenny Frome
50種類以上のマシンに対するビデオポーカーの戦略集。全てのビデオポーカープレーヤーのマストリード。但し、正確性を若干欠く所があるので、自分で戦略を作るときなどのスターティングポイントとして活用するのが良いであろう。

Expert Strategy for Five Deck Frenzy: Lenny Frome
5deck frenzyの戦略チャートとミニ解説。Jackpotが臨界点を超えれば、一応positive EVになるが、プロ向きではない。Fromeの偉大な所は、このゲームやSpanish BJ, Caribbean Studなどマニアックでnegative EVのゲームも一応解析しているというところにあると思う。

○Bargain City: Anthony Curtis

バーゲンシティとはラスベガスのこと。ラスベガスをチープに遊ぶためのtipsが網羅されている。ただし、情報はout of dateなところもある。その武器としてもちろんvideo pokerやblackjackもとりあげられているが、それほどディープなレベルにまではつっこんでいない。なお、現在著者が主宰しているLas Vegas Advisorの有料コーナーには、多数の有益な情報がある。

○The Las Vegas Advisor Guide to Slot Clubs- Jeffrey Compton

スロットクラブを最大限利用するためのガイドブック。ビデオポーカープレーヤーにお勧め。(一応、スロットの人も。損は少なくなるから(^^;))。但し、情報は古い。最新情報はやはりwwwサイトなどから取得した方が無難。

○図解:ポーカー入門:竹内健

ポーカーの歴史から始まって、ドローポーカー、スタッドポーカー(ハイ・ロー含む)のルールや戦術について詳しく述べられた本。1997年出版とあるが、弱小出版社にありがちな方法で、表紙を代えているだけで実は1983年出版らしい。但し、写真などから判断すると実はもっと古い本なのかもしれない(情報お待ちしております)。ということもあってか、Hold'emについての記述が全く無い。戦略等について、誤った見方もあると思われるが著者執筆当時は、英語圏でもdefinitive book、良質の本がなかったことや、著者自身の発想で書いている(ように見える)所を評価したい。初台に「本格的ポーカーハウスがあったが当局の取り締まる所となって残念」などという記述もある。戦術書として必ずしも評価する訳ではないが、その昔に日本語で日本人が、独自の着想で書き下ろしたまあまあまともなポーカーの本があったことを記憶に留めておいても悪くはないだろう。

○カジノゲーム入門事典:谷岡一郎・松田道弘
日本語で書かれたカジノゲームの総合的入門書としては、最も(唯一?)良質のものと言って良いと思う。各種ゲームの遊び方、初歩的な戦略が正確な筆致で書かれている。さらに、種目ごとに参考文献が示されているので、よりシリアスに取り組みたい場合の指標になる。
惜しむらくは、Roulette, Baccarat, BJ, Craps, Poker, Carribian Stud, Paigow Poker, Let it ride, Chinese Poker, Sports Betting, Big6, Kino, Bingo, 大小、Game machine, Paigowと多数の種目を掲載したため、種目当りのページ数が少なく、まさに「入門」で終わってしまっている所である。しかし、この本があれば、とりあえずラスベガスで自由に動き回ることは可能であろう。

○The Winners Guide to Casino Gambling-Revised Edition:Edwin Silberstang

Casino Gameの概説書であるが、前420ページ中BJに100ページもの記述が割かれている。Counting手法はHi-opt1。記述が全般に物語り的で散漫なので、Basic Strategyをこの本の情報だけでチャート化することすら難しいなど、欠点が多い。

Shoe Gameにおいてrunning count→true countを近似するのに、off the topで予めcount値をマイナスにバイアスをかけておく方法などは、類書ではみかけないので参考になるだろう。(但し、Red 7の方が、効率はよい。)

BJ編以外にも、随所に織り込まれている挿話は非常に面白い。ただし、古い本なので、今やあまり見られなくなったといわれているjunket tour等にも重点が置かれてしまっている。

Revised Editionではvideo pokerも掲載されているが、こちらもベストプレーが必ずしも分からないという不完全なものである。もし、ゲームルールの軽い確認をしたい人で、英語がすらすら読めるのであれば、買っても悪くないが、それ以外の人には推薦できない。

なお、この本も日本語訳があるという情報をFGAME1で得たが、私は見たことがない。絶版かも知れない。しかし、上述のように日本語訳を求める価値は少なくともBJ攻略本としてはない。

○The New Gambler's Bible:Arthur S. Reber
比較的新しく出たカジノゲームの総合入門書。ルーレット、バカラ、クラップス、スロットetcのような、勝利戦略のないゲームと、ブラックジャック、ポーカー、競馬、スポーツブックなど勝てるゲームを明確に峻別して記述している点に非常に好感がもてる。最低限必須となる確率論などもきちんと書かれており、総合入門書としては非常にお勧め。


○Viva!ラスベガス Viva!カジノ:南部隆之
日本語によるカジノゲームの総合入門書。間違いはあまり書かれていないが、副題の「勝ちに行くラスベガス」は、あまりにも誇張しすぎであり、中身は薄い。量も少なくお手軽なので、初心者があくまで入門編として読む場合にのみ、「買ってもそれほど損はしない」と言った所か。


Gambling Wizards: Richard W. Munchkin
各種カジノゲームで億単位の財をなした人物(Billy Walters, Doyle Brunson, Mike Svobodny, Stan Tomchin, Tommy Hyland etc)をのみを厳選したインタビュー集。通常は表に出てこないような本当の本物の人物のみを対象としており、非常に興味深い。中には以前本HPの掲示板で少し話題になったBJプレーヤーの話も出てくる。彼らの実践種目は当然のことながら、Blackjack, Poker, Sportsbook, (と本HPの範囲外であるが、賭けBackgammon)であり、これらの種目に真剣に取り組めば勝組に回れるということの傍証にもなる。具体的な戦略論の本我々がどのようなdeciplineを確立すべきかという点で非常に参考になる。
 個人的には、ラス・ヴェガスをブッつぶせ! (Bringing Down the House) のような小説仕立てのノンフィクションより遥かにリアリティを感じるのであっという間に読み終えてしまった。なお、余談だが著者のMunchkinはBlackjack Forumにおいて別途Blackjack Wizardsの連載を行っているが、その2002年秋号にMITのBJチームのキーパーソンであるJohnny C.のインタビューが掲載されいている。(例えばここから入手可能)。ラス・ヴェガスをブッつぶせ! を読まれた方や、オタクな方はこちらも入手して「誇張されたノンフィクション」の背景にある「事実」を楽しむのもまた一興であろう。


Garbage Collection

○John Patrick's Blackjack及びJohn Patrick's advanced Blackjack:John Patrick
この2冊は幸いにして読んでいないが「ゴミ」である可能性が99.99%である。理由は、
1. Daltonの書評でも「ゴミ」扱いにしている。
2. 2.私は同著者の一連のカジノ本の中で、Johon Patrick's Crapsというのを読んだことがあるのだが、いわゆるマネーマネージメント法について、長長と解説してあったり、Pass lineに多額の金を賭けるときにはAny Craps に賭けるヘッジベットをせよとかいう馬鹿げた記述の連続である。
等である。
ルーレットなど他の種目もシリーズとして出しているようであるが、この人物の本は買わないように気をつけられたい。ゴミBJ本といえども、販売力がある出版社であれば結構店頭で見かけることもあるので、あえて見本として掲載した。
この本を出しているCarol Publishing Groupは、Playing blackjack as businessを初めとした良書を多数出版しているのに、Patrick本を絶版しないという態度は残念でもある。

なお、Patrickは性懲りもなく、ビデオレクチャーシリーズも発売しており、Gambler's General Storeにはちゃんと売っているので、手を出さないように気をつけられたい。(そういうのが好きな人は、見た感想を私まで教えて下さい(^^;))

○Blackjack for the Clueless: Walter Thomason
初心者向きのBJ解説書。著者曰く、「私はコンピュータ解析などが出来ないので、定評のある13人の著者の著作を調べて、Basic Strategyをまとめてみた」などと戯言を述べている(正直と言えば正直ではある)。従って、「このプレーはヒットという人もいるしスタンドという人もいる。理由は、。。。。であろう」などという謎の解説(もちろん間違い)がついている。で、多数決で判定したsimplifiedstrategy????も載っているのだが、なぜかこれにも結構間違いが多い。

card countingは、難しいのでやっても意味がないと述べている。まあ、初心者向きにはそれでもいいのだろうが、それに続けて「card countingを行うくらいなら、parlay形のベットシステムを勧めたい。martingale系は慎むように」ということだそうだ。他にも、間違いや謎の論理展開が随所に見られる。あげくの果てに、一つ上のJohn Patrickの本を「御勧め参考書」として掲載している所に止めを刺す。30年のプレーヤーとしてのキャリアを自慢している割に、全くお粗末な本。キャリアが長いのに、何も分かってないといことでは、一つ下の黒野十一に匹敵。

この本の出版は、1998年であるが、1997年に出版されたUltimate Blackjack Bookに、少しだけ章を加えて再出版した本。ゴミ本を、微修正で再出版するとはあざとい手口である。ゴミ本を手にしないためにも、John Patrickと並んで、Walter Thomasonの名前も覚えておいた方がいいかも。

○Winning Blackjack: Lyman Hall
 よくある自称プロによる初心者向き解説書。内容もthird baseに座れとか、初心者と一緒にプレーするな等自称プロにありがちなベタなことが書いてあるので今更読んでも仕方ない。2004年にもなってこんな糞本が新規に出版されるとは信じがたい。薄くてサイズも文庫本程度で、活字量も少ないので「オヤジ理論を香ばしく鑑賞する」という再利用の仕方も出来ないゴミ中のゴミ。オマケに結構高い。。

○カジノ:黒野十一
前半は、カジノゲームの概説。後半は旅打ち日記。
元、通信社記者だけあって、後半の旅打ち日記の所は大変に面白くこの部分だけなら合格点。また、所々に出てくるギャンブルにまつわる故事もなかなか読ませる。
しかし、筆者も正直に文中に書いていることではあるが、カジノゲームで、「勝つ」ことに対する認識と、戦略の理解は相当低い。特にBJに関わる部分では、Ken Uston等を紹介し、RevereやUstonの本を参考文献として挙げており、これらを通読しているはずなのに、本人が全く咀嚼出来てなく、非常に間違った記述の連発である。カジノ紀行文だけでまとめるべきだったとつくづく思う。
大手出版社の新潮社から出版されており、また発売当初は平積みにされていた書店も多いことから考えて、この本の影響力は相当期間残るものと考えられるが、このままでは日本人BJプレーヤーはいつまでたっても、カジノの「お客さん」になってしまうだろう。まあ、日本人カードカウンターにとっては、カジノ側の警戒が薄くなることから歓迎すべき事態ではあるのだが(^^;)

賭けに勝つ人嵌る人:松井正就 
ラスベガスでどのように戦ったを通じて、「賭けをモチーフにした比較文化論」を展開しようとしている。しかしながら、実情は「カジノゲームにおけるオヤジ理論的必勝法の考察と実践と自慢話」とでも言うべき本。ラスベガスで決して手を出してはいけない3大種目と言われているルーレット、スロット、Wheel of Fortune(爆)で勝った話が満載されている所がある意味で素晴らしい。わざわざGambler's Book shopまで出かけてHoward Schwartz(GBCのマーケティングディレクター、ありとあらゆる分野のカジノ攻略本に造詣が深い人物)に取材をしている写真が出ているが、一体筆者はSchwartzから何を学んだのであろうか?と小一時間問い詰めたい。。。という気力もうせる程の典型的ゴミ。更に駄目出しをすれば、筆者はいわゆるタカモト方式系の競馬本を多数出版。データハウスのAF氏の本を堂々と引用している。唯一の救いは、オヤジ理論の理解の一助になるという点。

カジノゲーム:田島ムーズ  
ビジュアルなカジノゲーム&ラスベガスガイド(角川文庫)。随所に小話や綺麗な写真がちりばめられており、パラパラとめくる分には良い。ゲームはBJ、ルーレット、バカラ、クラップス、ポーカーを紹介してしる。しかしながら、内容は論外であり、本代を倍付けで返してもらっても気がおさまらない本。「喫煙テーブルじゃないとやる気がしねえ」といった類の単なるオヤジの戯言が書いてあるのみ。デューク三島の「カジノ放浪記」を「お薦めの本」としているだけでも、この本のくだらなさが伝わって来ることであろう。一つ上の松井某の本といい度し難い。

○新・ラスベガスのそこが知りたい〜達人が教えるブラックジャック必勝法:テッド・マトソン、ドロシー・マトソン

最初に最新ラスベガス事情を紹介した上で、後の大部分はBJの戦略について述べている本。マネーマネージメントに力点を置いた、典型的なゴミBJ本の構成になっている。John Patrick本を(全面的に賛成はしていないが)、お薦めとしてあげているところも如何にも、ベタである。付録のBasic Strategy表のみDaltonの表を転載しているので正確な所に唯一の救いがあるが、立ち読みする価値すらない。

○ポーカー教本:アレックスフィーバー
ドローポーカーからカリビアンスタッドまで、ポーカーを広く扱った本(VPは扱ってない(^^;))。完璧なゴミでもないし、日本語で書かれたポーカー戦略本は貴重ではあるのだが、いかんせん記述が散漫で、また戦略の底が浅すぎる。この本を読んでも勝てないという意味でゴミ本に分類。データハウスの本は、この本に限らず編集不足なものが多い。

○勝てるカジノ読本:宝島社スピードブックシリーズ
勝てるカジノ読本というよりは、「世界カジノポケットガイド」と言った方が良い本。ガイドとしては、特に中南米系のカジノの情報に詳しい他、分かる範囲でカジノのHPのURLも記載してある点で便利。その意味ではお勧めできる。しかしカジノゲーム解説の部分は、全くお話にならない。「勝てるカジノ読本」という題にした方が、売りやすいのは確かだが。。。。本HPが96ページに紹介されていることが唯一の救いか(爆)(って、HP紹介してもらった手前あまりネガティブには書けないんですよね(^^;)。別冊宝島は沢山買ってますんで許して〜>宝島社殿)

○カジノ放浪記:デューク三島
Mr.ブラックジャックと呼ばれた男がBJで戦うという小説。巻末に簡単なブラックジャック戦略アリ。筆者自身の経験を元に書き下ろしたものであるようだ。BJを題材にした日本人の小説などめったにあるものではないので(後は「ベガス有情」位かなあ?)、その意味で非常に貴重。小説としてオススメ。但し、著者の文章作成能力は作家のレベルに全く達しておらず、小学生の作文レベル(エッチな場面はあるが(^^;))。戦略本としてはゴミ。正統的なプレーヤーの中には、この本を読んで眩暈がした人もいるらしいが、ゴミ本の中でも特異な存在なので、もし見かければ一読を勧めたい(^^;)。ちなみに吠太郎はデューク氏直筆サイン入り本を所有(爆)。

○地球の歩き方ラスベガス編

以前は劣悪な本であったが、版を改めるに連れ改善されつつあるラスベガスの総合ガイドブック。まあ、良くも悪くも「地球の歩き方」である。


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