Velleman の定理について

定理 12.31 (Velleman). 写像 f: E^n --> E^n が連続であるためには, 任意の連結集合の像が連結で,任意のコンパクト集合の像がコンパクト であることが必要十分である. (『はじめよう位相空間』180 ページから)


上の定理は D. J. Velleman によって文献 [2] で証明されましたが,2001 年夏のプラハ位相シンポジウムにおいてもっと以前から知られていたという議論があり,その歴史と最近の研究が文献 [1] に発表されました.
それによると,n=1 の場合がすでに1926 年に C. H. Rowe によって証明され,1970 年代には n 次元ユークリッド空間 E^n だけでなく,より一般的な空間の間の写像について同様の定理が成り立つことが知られていたようです.文献 [1] の中からいくつかの定理をご紹介します.

以下,任意の連結集合の像が連結で,任意のコンパクト集合の像がコンパクトであるような写像を保存写像とよびます.連続写像は保存写像です(「はじめよう位相空間」系11.9,系12.7 参照).Velleman の定理は,E^n の間の写像に対してはその逆が成り立つことを主張しています.

定理 (D. J. White (1971)). 任意の局所連結でない完全正則空間 X に対して,連続でない保存写像 f: X --> [0, 1] が存在する.

定理 (E. R. McMillan (1970)). 任意の局所連結 Frechet 空間から任意のハウスドルフ空間への任意の保存写像は連続である.

定理 (J. Gerlits, I. Juhasz, L. Soukup and Z. Szentmiklissy [1]). 連結な線形順序位相空間の直積空間,または,連結,局所連結,第1可算空間の直積空間から正則空間への任意の保存写像は連続である.

次の問題は,文献 [1] で提起された未解決問題の中の1つです.

問題. いま X をハウスドルフ空間とする.このとき,もし X から任意の T_1 空間への任意の保存写像が連続ならば,X は離散位相空間であるか?

[1] J. Gerlits, I. Juhasz, L. Soukup and Z. Szentmiklissy, Characterizing continuity by preserving compactness and connectedness,
Topology and its Applications, vol. 138 (2004), pp.21-44.
[2] D. J. Velleman, Characterizing Continuity, Amer. Math. Monthly, vol. 104 (1997), pp.318--322.


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