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江塚経営研究所


価格政策
価格設定のポイント    → コストの積上げ優先の価格体系は時代遅れです
1.価格設定の一般的な3つの方式
 @コスト積上げ方式 A競争優先方式 Bその他方式 の3つの設定方式があります。 この中で、Bのその他方式は、「名声」や「慣習」による高価格設定方式、新製品で競争のない独占価格、複数のプライスラインのある商品の方式など、イレギュラーなものです。  @の「コスト積上げ方式」は、企業の論理で価格を設定します。コスト(製造原価+仕入原価)に一定の利益を上乗せする方式です。この方式は、作れば売れる時代には主流を占めた価格設定です。製品のコスト回収を最優先する方式ですので、わかりやすく採択しやすい価格方式であり、企業優先の方式と言えます。  次にAの「競争優先方式」です。これは、競合他社の価格や一般的な標準価格を参考にして、自社商品の価格をまず決めてから、製品開発や商品仕入れを考える、という方式です。消費者やユーザーの購買ニーズから価格を決めていく方式と言えるでしょう。  たとえば、通常7万円程度の洗濯機にユーザーニーズを取り入れ、価格5万円というターゲット価格を設定し、次にこの価格で消費者の必要とする機能を可能な限り加え製品化するというプロセスになります。  生活水準や企業の装備、環境インフラが高度化し、「もの余り」の現代では価格も厳しいチェックを受けるようになってきています。コスト積上げ方式の価格設定では、消費者のニーズに合わせにくく、価格競争で敗退してしまう恐れがあります。ユーザーに納得性の高い価格をスタート台にするAの価格設定方式の方が望ましいと考えます。
2.留意事項
 製造業ではユーザーの希望価格調査からスタートします。これは、顧客から直接ヒアリングする場合と、競争状況から推定する場合があります。価格がほぼ絞り込まれましたら、次はその価格での製造可能性です。設計段階からコスト計算を厳しく実行します。部品点数の絞り込みや、部品共通化・外部購入価格の引き下げなどによる設計段階のコストダウンが決め手となります。大企業では、部品メーカーの集約化を進め、モジュール生産方式として大幅なコストダウンをしているケースがあります。  卸売り、小売業については仕入れ価格低減と代替商品探索がポイントです。インターネット仕入れ、共同仕入など従来方式を改革することにより、仕入れ価格の大幅な低減をしているケースも多くなっています。また、従来商品にこだわらず、代替的で安価な商品を探索することも効果的です。  わが国では、コストの積み上げ方式による価格設定が一般的でした。これに対し、「売れる価格」を設定しその価格をスタート台として製造し、或いは商品仕入れをするという「逆の発想」を行う意識改革によって、ユーザーに近づくことが大切です。