ARARA - 6
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雲景のあららARARA
2009年1月1日(木)
あららARARA 元旦の富士山、はじめまして。
6時に目が覚めた。外はまだ暗い。
朝刊を取りに行く。毎年のことながら元旦の新聞は、折りこみチラシがずっしりと重い。
一面の記事に目をとめた。「平成の時代になって、20回目の新年を迎えた」とある。
平成と命名された20年前、「平らに成る」と読んだら、「そうならないから、平成なのだ」
と言った人がいる。見事に的中ですね。
百年に一度と言われるどん底経済に陥った平成は、20歳の成人式を迎えられない、
などとつらつら思いながら活字を追っていると、窓ガラスが白み始めた。
自宅のとなりは五階建てのマンションだ。昨年、住人から富士山が見えると聞いた。
子供の頃から住んでいる地域から富士山が見えるとは初耳だった。
「あなたが生まれた所は富士山がよく見えて、近くには松林があってきれいだった。
庭には松葉ぼたんが咲いて・・・」
父親が転勤中の出生地の景色を、母は大切な記憶に残していた。
エレベーターで隣のマンションの五階に昇った。外の廊下から彼方を見ると、
あらら、富士山が早朝のお空にくっきりと浮かんでいらっしゃるではありませんか。
雪化粧した不動の山は、うっすらと紺色に染まった連峰を台座にして、その上に
白い雄姿を現していた。
「はじめまして。元旦の富士山」
静かな感動だった。
あの麓から、今立っているその距離に私の人生がある。
一度訪ねてみたいと思っていた所。番地も知っている。
行かなくても良いのかもしれない。
母のきれいな思い出の景色や土地は変わっていて、重なることは無いでしょうから。
富士山は東京から遠くにあると思っていた。今日からは、私の傍にいる。
うれしい平成21年元旦の朝。