ARARA - 21-41
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雲景のあららARARA
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あららARARA Web劇場ー名前の検索
ホームページのトップページに三行目を書き込んだ。
忠告: 「塚口雲景」 の名前を利用することは、ご遠慮ください。
容認しがたいブログが、18件ヒットしました。
Web界の礼儀作法やモラルを学びましょう。
家元は雲景を、先生と呼ぶ。勉強仲間は「さん」で呼んで欲しいといっても聞き入れてもらえない。
電話をすると「まぁ〜あ、せ〜んせ〜い」 と一段と華やかな明るい声が返ってくる。
勉強は先生ごっこではないので、きまりが悪い。
家元という職種は社会的な資格審査がないそうだ。誰でもなれるそうだ。独立はできるけれども、
流派にどれほどの弟子を集められるかとか、いけばな界でどれほどに認められるのかは
家元の実力と信用による。お家芸として何代も続いている流派はそれだけの信頼を得ている。
勉強会では、時折、不安そうな心細い表情をみせて家元は雲景の顔をみた。大きな流派に
対応するのには並大抵でない苦労がある。メンバーが活けあげた花は、すべてカメラにおさめて
資料にしていた。雲景をどこか頼りにしている節があった。やさしい顔立ちの奥に負けじ魂が
潜んでいるのを見抜いてはいたが、助言を素直に聴き入れてくれるので、雲景もSS流が成長する
のを心底楽しみにしていた。
2011年2月19日。
雲景の流派のK先生の稽古の日だ。
朝から、いけばな道具をとりそろえたバッグの前に座り込んでいた。
検索侵入が始まってから一ヶ月以上が経過していた。毎日がパニックと困惑の連続である。
心の置き所が定まらなくなっていた。
今朝は身体がどうにも動かない。
ストレス梗塞だ。
クラスの幹事仲間のSさんの携帯番号を押した。
遠方から通っているSさんは、電車の中なのだろう。通じなかった。
かなりの時間がたってから、ベルが鳴った。
テーブルの上に置いてある子機をとりあげた。Sさんからだった。
Sさんは家元を知っている。検索侵入のトラブルで雲景が悩んでいることも知っている。
「お休みをします」
「花を生けにいらっしゃ〜い。今日はきぶしよ」
続く(編集未完)