ARARA - 21-46

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雲景のあららARARA
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2011年2月25日、流派を超えた勉強会の晩だ。
いつもより早めに最寄りの駅に着いた。
改札口を出ると、毎度のことながら、右に引っ張られるような錯覚に陥いる。
学生時代に東山魁夷の展覧会を観るように薦めてくれた坂崎 坦教授の自宅は、右側に
あったからだ。
西洋美術史を習った。新聞部の顧問でもあった。
授業のあいだには、今までに収集した西洋美術のコピーの絵が何十枚もまわってきた。
講義を聴くよりも興味があった。

勉強会の場所を提供してくれるY花道のビルは、改札口を出て左側にある。
不思議なご縁というのはあるものだ。
坂崎教授が雲景の大学に来る前は、W大の教授だった。話をしてみると、その当時の
教え子が、Y花道のS家元先生だった。

7年前の雲景がいけばなの壁で悩んでいた当時、若い家元さんたちが勉強会を開いていると
教えて下さったのは、K先生だ。パソコンでいろいろな流派を調べてみた。
ゆきあたったのが、U家元先生の勉強会だった。
会場の最寄りの駅は坂崎教授の自宅があった最寄りの駅と同じだった。
今では天国にお住まいの教授が、雲景を学生時代に引き戻してくれたような廻り合わせを
感じたものだ。

街中をぶらぶら歩いて、勉強会が始まるほんの少し前に建物の入り口にはいった。
ロビーをぬけて、教室の扉をあける前に、立ち止まった。
背筋を伸ばして深呼吸をした。息を思いっきり大きく吐きだした。

その晩の雲景は緊張していた。
強い苦情のメールを送ってあるから、家元は恥ずかしくて来られないでしょう。
会いたくない。
身体が半分入るぐらいに細めに扉を開けた。

中をそぉ〜っと覗くと、雲景が来たことに気がついた家元が、雲景の顔をみて微笑んでいる。

えっへぇ〜 ! どぉ〜ぉ〜して〜 ?

怒りをかみ殺しているのは雲景だけのようだ。

先月に続いて、今月の講師は、ピラミッドの講義をしたN先生だ。
連絡係りから前もってお題の説明メールが入っていた。


                                  続く(編集未完)
どる
づく