ARARA - 21-47
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雲景のあららARARA
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2月のお題は、
「初春一本立ち・いけばな自花像点」 −らしさの採点−
自分らしさの表現ということで、自画像を作ります。
材料: ドラゴンヤナギ 4本/一人
その他、自画像を作るために取り合わせる材料は各自持参です。
と、書いてあった。
当日、N講師は、自画像を立てる木製のスタンドと、金属製のパイプを用意していた。
木片のスタンドは高さ18cmほどの長方形だ。大きな節がついていた。木目が面白い。
台座となるスタンドには穴が空けてあった。そこに円柱のパイプを差し込む。
パイプの穴にドラゴンヤナギの枝を挿して固定させてから、自画像の作成は始まる、という
仕掛けになっていた。
「自花像の文字は、『花』 の文字に『濁点』をつけて 『が』 と読みます」
N講師は説明した。
濁点、濁点、濁点かぁ〜。なんとなく、濁点の言葉が身じかに感じた。
塚口雲景と検索しているのに、画面に出てくる華道SS流のタイトルは、雲景にとっては
『濁り』 でしかない。
馥郁と香るような美しい理想の女性像を描きたいところだが、今晩はそのような心境ではない。
今は勉強の時間なのだ。周りの仲間を考えて、平静を装ってはいるけれども、こころは
かっか、と怒りに燃えている。怒りの濁点を表現に織り込もう。
新聞折り込の厚手のチラシと、荒縄を持ち込んでいた。
ドラゴンヤナギをパイプにさしこんだ。
その他のドラゴンヤナギの枝を、初めの一本に絡ませて顔もどきにした。
折り込みチラシは美容エステの広告で色彩豊かだった。きれいな色は避けた。
プリントの黒い部分を選んで、両手でびりびりと引き千切った。二枚だ。
大きないびつの三角の両目が出来た。
荒縄をほどいて髪の毛にした。チリチリカールの女性らしくみえる。
パイプが少し長めだった。顔の輪郭と台座との間に空間がありすぎる。
パイプの長さは色々にあったけれども、長い物を選んで失敗したようだ。みどり色のストールを
首に巻いて、間抜けの空間を埋めた。
出来上がった自花像は、チラシに写っているエステ美人とはほど遠い。
N講師は、直感の鋭い先生だ。講評では三角に攣りあがった黒目に気が付いている筈だ。
三角眼をさけて、頭の位置から立ち上がっているドラゴンヤマギの枝に注目した。
ドラゴンヤナギには横枝が多くついていた。
枝の芯先と根元を合わせてくるりと輪にすれば、横枝は頭の天辺で立ち上がった。
「角に見える」
すかざす答えた。「 『角』です」
はっきりと言ってから、SS流の家元の顔を見た。
響いているのやら、いないのやら・・・。表情に変化がなかった。
怒りの角の意味がSS流の家元に、通じていない。
他のメンバーは、一様に顔の表現に集中していた。花を添えたり、葉っぱを生かしたり、
花冠をつけた自画像もあった。
SS流の家元の自画像は、ドラゴンヤナギで顔の輪郭を作っているけれども、のっぺら棒に
見えた。その他のドラゴンヤナギの枝は台座の左右に肩の表現として、密に使っていた。
見方によっては面白い。
「どうしてそんなに肩をいからせているのですか」 と言いたいけれども言えません。
N先生は、さすがだ。
「他の人の自画像には肩がないけれども、肩がある」 と評していた。
これは・・・誉めて・・・いるのでしょうか。
続く(編集未完)