ARARA - 21-48
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雲景のあららARARA
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あららARARA Web劇場ー名前の検索
自画像の実験がおわると、場所をかえて夕飯をかねた懇親会に移った。
夜の9時を過ぎている。家元は加害者側の責任者だ。
懇親会の席で談笑していられる態度はどこからきているのかが不思議すぎる。
顔を会わせているのに、先月と同様に、一言の謝罪も釈明もないのが不愉快だ。
Webの不正侵入が増えている事は、画面の中でのSS流の恥さらしも増えている事になる。
普通の人なら平気ではいられない。
もしかしたら、勉強仲間の誰かに相談して、心強くなっていることはないのだろうか。
まさか、面白がってSS流をバックアップしている人がいるのではないでしょうね。
「心配しないでいらっしゃ〜い」 と煽り立てている人がいるのではないでしょうね。
いやいや、そんな事はないでしょう、と否定をしてみるものの、家元が同じテーブルで飲み
食いをしていられる強気の姿を見てはいられない。
悪事を、そそのかしたり、悪事を犯す人を精神的に激励したりすると、法律では罪になる。
加害者側と被害者側が、同席して懇親会だなんて、不気味だ。
長居をしていたら、雲景の気分はまた悪くなる。居た堪れなくなって早めに退席することにした。
翌日は、小学校でのいけばな教室の日だった。
出かける前に鏡をのぞくと、昨晩の怒りが収まらないで、顔がこわばっていた。
両目の目じりに、両手の人差し指をあてて引き下げた。何回も何回も引き下げた。
鏡の中の顔はおかしな面相になるのに、こころは笑えない。
小学校は歩いて12・3分の距離にある。
子供たちには笑顔を見せたい。
心の中で、すまいる、すまいる、と呟きながら歩いた。
そのうちに、呟きは掛け声に変わった。
小さく声に出して背筋を伸ばしてリズムをつける。
すまいる、すまいる。いっち、にぃ、さ〜ん !
すまいる、すまいる。いっち、にぃ、さ〜ん !
10分も歩くと小学校の校舎が見えてきた。
子供たちの顔が浮かんでくる。いけばな教室は3階にある。
1階に集合している子供たちは、スクールの先生の始まりの合図に、先を争うようにして
いっせいに階段を登って来る。いつもの元気な足音まで聞こえてくるようだ。
雲景の顔がほころんだ。もう、大丈夫 。
教室に入ると白板に 「たてるかたち」 と書いた。
「お花はあなた。あなたの心を正しく立てましょう」
今日のいけばなで説明しよう。
東山魁夷の「道」の絵のように、真っ直ぐな道を歩んで欲しい。
大人の社会に入って、迷った時には思い出して欲しい。
続く(編集未完)