ARARA - 21-70
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雲景のあららARARA
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あららARARA Web劇場ー名前の検索
2011年4月22日、勉強会の晩だ。今月から6回続く。
U家元先生は、3年ぐらい前までは、勉強会にも懇親会にも毎回参加していた。
主催者でありながら、他流の講師をむかえて、同人の一人として習作の講評をうける姿勢に、
雲景は好感を持っていた。最近はお忙しいらしく顔をみせていなかった。
そこに責任を感じるとおっしゃられているのでしょう。
数ヶ月ごとに講師がかわる勉強会は、そのたび新鮮な気持ちになる。
講師の流派の花を習おうとするのではない。講師個人のいけばなに対する姿勢とか、どのように
いけばなと関わって表現活動をしているのか、とか、教授法を学ぶことに関心があった。
U家元先生が講師になるのは初めてだ。
教室の扉を開くと、「うっ・・・っ」 と息がつまった。
もしかしたら今晩は来ていないかもしれないと、密かに期待もしていた。
「貴女はここにいる資格はありませ〜ん 」 と言いたいけれども、言えなかった。
言えない自分に戸惑ってしまう。
退会を望むほどの怒りの底に、まだ哀れみが残っていた。
今日のU先生のお題は 「線と線」のうちの 「直線と曲線」 だ。
「線」とくれば「線・面・マッス」 の表現が一般的であるが、花材を変えての「直線と曲線」の
課題に関心をもっていた。
それなのに気持ちがまったく入らない。
雲景の講評が終わって一団が隣のメンバーの花の席に移動したあと、SS流の家元は一人
だけ離れて雲景の花の写真を臆面もなく撮っている。
この人変だわ。Web劇場で自分が置かれている立場をまったく理解していないようだ。
「貴女には、私の花の写真を撮る資格はありませ〜ん」
と言いたいけれども、仲間がいる手前、U先生の講評の進行を乱すことも出来ず、両腕を
伸ばしてデジカメを構え、シャッターを押しているその姿をただながめていた。
勉強会が終わって、夕飯をかねた親睦会の宴席に移動するまえのロビーでのことだ。
采配人が、メンバーにきつい拒絶の言葉を投げていた。何事がおこっているのだろう。
規約改定のお願いの件で「裏切りですか ?」 と電話で心配してくれた善人にだ。
どうやら二人には意見の対立があるようだ。
采配人が威圧的に相手を黙らせて、自分を押し通そうとしている様子だ。
頭ごなしにピシャリと押さえつけられた善人は、困惑した表情をうかべていた。
電話では 「悪いほうの味方をするのですか ?」 と伝えた。
雲景に「一本気だわね」 と言ったけど、ヒットする意味が解らないと食い下がった一途な気持ちを、
雲景はうれしく心に残していた。
嫌な思いをさせて申し訳ないと思ったけれども、その場をそうっと離れた。
この場で二人の間にはいれば、問題はロビーで加熱する。これから始まる懇親会で、
規約改定の話し合いならできる。
続く(編集未完)
いけばな界とWeb界に、善き栄えあれ。