< 帳簿書類の保存期間 > (平成18年5月以降)
平成18年5月に、会社法が施行されたことにより、一部改定
− 改訂前の文章はこちら! −
関与先から、
「領収書や請求書などを、いつまで保管しなければならないの?」
「もう置き場所に困るんだが・・・」
と、過去によく尋ねられたので、ここでは保存期間について書きます。
商行為に関する法規の旧商法においては、
旧商法36条で商人は10年間商業帳簿や営業に関する重要書類を保存する旨を定めていました。
現在、旧商法36条については、
商法19条(商人(=個人事業者)の商業帳簿に関する規定)
商法は、商人の営業、商行為その他の商事
会社法432条(会社の会計帳簿に関する規定)
会社法は、会社の設立、組織、運営及び管理
に引き継がれております。
いずれにおいても、保存期間については、帳簿閉鎖の日から10年間と変更はありません。
また、保存期間の目的が商法・会社法と税法では違うという認識が必要と思われます。
ですが、
「会計帳簿などは、税法の規定にかかわらず10年間保存してください。」
「領収書や、請求書については、重要性で判断しますが、税法に規定する期間保存してください。」
と答えています。
ただし、業種によっては、他の法規で規定されているものもありますので、
それらのうち一番長い期間ということになりますが・・・
決算書・申告書、その他以下のものについては、
たとえ保存期間が定められていても、重要書類として永久保存すべきと考えます。
● 定款、登記関連書類、免許許可関連書類、不動産関連書類
その他重要な契約書・申請願・届出書 等
上記で、会計帳簿や決算書類について税法の規定にかかわらずと書いたのは、
税法上で規定する保存期間はもう少し短く7年間となっているからなんです。
【税法で規定する保存期間】
T.法人税・所得税に規定する青色申告者の保存期間は、以下のようになります。
(参考:TKC資料(一部修正))
帳 簿 |
現金出納帳 |
|
|
|
|
固定資産台帳 |
売掛帳 |
買掛帳 |
経費帳 等 |
決 算 書 |
損益計算書 |
貸借対照表 |
棚卸表 等 |
|
●現金の収入・支出、預貯金の預入・引出に際して作成された書類 |
領収書 |
7年 |
7年 |
7年 |
5年 |
預貯金通帳 |
借用書 等 |
●有価証券の取引に際して作成された書類 |
有価証券受渡計算書 |
5年 |
社債申込書 等 |
●棚卸資産の引渡、受入に際して作成された書類以外のもの |
請求書 |
7年 |
注文申込書 |
契約書 |
見積書 |
手形控 |
仕入伝票 等 |
●棚卸資産の引渡、受入に際して作成された書類 |
納品書 |
7年 |
送り状 |
貨物受領書 |
入庫受領書 |
出荷依頼書 等 |
※ 大法人 : 資本金等の金額が1億円超の法人
中小法人 : 資本金等の金額が1億円以下の法人
小規模個人 : 前々年の事業所得及び不動産所得が300万円以下
その他個人 : 小規模個人以外
また、法人の
■■の部分については、
平成16年度の税制改正により、欠損金の繰越控除期間が5年から7年に延長されたことに伴い、
5年から7年に保存期間が延長されることになりました。
結果的に法人については、
保存期間が一律7年(平成13年4月1日以後に開始した事業年度のものから)となっています。
※ 白色申告者も事業を行い申告する限り、
帳簿書類を備え付け保存する義務がありますので、
保存期間は、青色申告者の保存期間と同様となります。
U.消費税の課税対象となる場合
消費税の課税事業者については、
帳簿及び請求書等を7年間保存しなければなりません。
特に個人事業者の場合、請求書等は所得税では5年間となっていますが、
消費税の納税義務者であれば7年間保存しなければなりません。
(ただし、6年目・7年目に関しては、
帳簿又は請求書等のいずれかを保存すればよいことになっています。)
また、 消費税の納税義務者の場合には、
請求書等については、「課税期間の末日の翌月から2月を経過した日から7年間」と規定があります。
(消費税法施行令50条)
V.帳簿保存等の税法上の取扱い条文
税法には各種優遇措置が設けられていますが、
大部分の優遇措置を受けるためには
まず、
青色申告をする必要があります。
(法人税法121条) (所得税法143条)
そして、
青色申告には帳簿書類の記録・保存の義務があります。
(法人税法126条) (所得税法148条)
これをうけて、
保存期間7年間(個人については、一部5年)が規定されています。
(法人税法施行規則59条) (所得税法施行規則63条)
また、帳簿書類に関し同条において、
1.帳簿並びに資産、負債及び資本に影響を及ぼす帳簿(略記)
2.棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類(略記)
3.取引に関して、
相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書
その他これらに準ずる書類及びに
自己の作成したこれらの書類で写しのあるものはその写し
(全文)
と規定されています。
帳簿書類の保存場所に困っている場合には、
電子帳簿保存法の成立により、
自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使って作成した帳簿書類(仕訳帳、元帳、売上に係る請求書控・納品書控等)については、
電子データ(CD−ROM)等による保存が可能となりましたので、導入を検討するのも一つの良い方法と思われます。
(なお、この方法を導入するには、
電子帳簿の保存承認申請及び一定要件に該当する方法による保存が必要となります。)
このページの最初へ