土地改良区とは

土地改良事業のみを行う団体

3分の2の同意

事業地区内の農業者は当然加入

費用の強制徴収

税制の優遇措置

土地改良区の組合員

 土地改良区は都道府県知事の認可により成立する。土地改良区の成立と同時に土地改良区の定款と土地改良事業計画(維持管理計画を含む)が定められ、その土地改良区の地区内の3条資格者は、すべて土地改良区の組合員となる。

 土地改良区の設立に同意しなかった3条資格者、3条資格を有する私法人、国又は地方公共団体も組合員となる。国籍の限定がないので外国人も組合員となり得る。

土地改良区の業務

土地改良事業

 農業用用排水施設の新設・変更、農地の整備等工事を伴う事業や、土地改良事業によって造成された施設の維持管理を行っている。

 土地改良区の事業態様は、75%が維持管理主体で、基幹的な土地改良施設の約60%を管理している。

参考資料農林水産省 > 農村振興 > 土地改良法制度・土地改良団体について > 土地改良区・土地改良事業団体連合会

参考資料全国土地改良事業団体連合会 土地改良とは


八戸平原土地改良区とは

 八戸平原土地改良区は、国営八戸平原土地改良事業により造成された施設の維持管理を行っています。

名称
八戸平原土地改良区
認可番号
青森第278号
設立年月日
昭和59年2月16日
受益面積
1,303 ha
組合員数
1,121 名(R2.9.30現在)
総代
定数32名
理事
定数10名
監事
定数3名
職員(臨時職員含む)
3名
関係市町村
八戸市、階上町
事務所所在地
青森県八戸市南郷大字島守字熊堂20

国営八戸平原事業とは

 八戸平原地区は、青森県東南部と岩手県北東部に位置し、青森県八戸市、階上町及び岩手県軽米町にまたがっています。受益地は二級河川新井田川の両岸に広がる、北上山系最北端の標高20m~310mの比較的起伏の少ない、丘陵台地一帯に展開する畑作地帯です。

 この地域の農業は、従来から畑作を中心とした複合経営が行われてきましたが、既耕地と未墾地が錯綜し、年平均降水量が1,000mm以下と少なく、また圃場や農道、水利施設が未整備であったため、全般的に生産性の低い畑作営農を余儀なくされてきました。

 このため、国営総合農地開発事業により、山林・原野等の未墾地の農地造成と既耕地の区画整理を一体的に行うと主に、併せて、かんがい施設(ダム、頭首工、揚水機、用水路)、排水路、農道等の整備を総合的に行うことにより、経営規模を拡大し農業生産性の向上と農業経営の安定化を図っています。

 国営事業は昭和51年度に着手し、平成15年度に完工しました。

 事業は農地造成・区画整理工事、農道の整備から推進し、完成した農地・農道等については、順次供用しながら、平成8年度からは用水路工事(用水路、受益地内の給水栓等)、平成10年からは水源である世増ダム本体工事に着手、その後、巻の下頭首工、世増揚水機場、用水管理施設等の用水施設の整備を行い、平成15年度の世増ダム完成をもって完工しました。

参考資料一般社団法人農業農村整備情報総合センター 水土の礎「八戸平原開拓建設事業

事業の経緯

事業経緯(工事中)


施設概要

 国営事業で造成された施設の概要

貯水池(世増ダム)

 二級河川新井田川水系を流域とする世増ダムは、青森県八戸市南郷大字島守に位置します。昭和40年代から調査が始められ、平成10年からダム本体工事に着手し、平成15年度に完成しました。

 世増ダムの基本的な役割は、青森県八戸市・階上町・岩手県軽米町の畑に必要な水を安定して供給する「かんがい用水の供給」、新井田川沿川地域の洪水被害の軽減と流水の正常な機能を維持するための水量を確保する「洪水の調節(治水)・河川流水の正常な機能の維持」、八戸圏域水道企業団(青森県八戸市ほか10市町村)と岩手県種市町へ飲み水を安定して供給する「水道用水の供給」の3つがあります。

 ダムによって出来上がった人造湖は「青葉湖」と命名されました。世増ダムの建設によって水没した地域には、平重盛公が父清盛公への諫言がいれられず、この地に逃れてきたという伝説が伝えられています。青葉湖は、平重盛公が持参したとされる青葉の笛に因んだ湖名で、人々から喜ばれ、親しまれる湖の愛称として340人の応募の中から選出されました。

堤体
位置 青森県八戸市南郷大字島守
河川名 二級河川 新井田川水系新井田川
型式 重力式コンクリートダム
堤高 52m
堤頂長 247.0m
堤頂幅 6.5m
堤体積 220.0千m3
堤体法勾配 上流側 鉛直(フィレット1:0.6)
下流側 フィレット1:0.76
堤頂標高 115.0m
貯水池
集水面積 398.0km2
満水面積 1.8km2
湛水延長 9.4km
総貯水容量 36,500千m3
有効貯水容量 33,100千m3
堆砂容量 3,400千m3
設計洪水位 113.0m
サーチャージ水位 110.1m
常時満水位 97.7m
制限水位 94.4m
最低水位 80.7m
取水・放流施設等
取水施設型式 堤体設置型直線多段式ゲート
取水量 農業用水 1.31m3/s
水道用水 1.20m3/s
放流施設型式 ジェットフローゲート
放流量 20.0m3/s
小水力発電施設 ダム式水車1台

頭首工

 頭首工とは、河川から取水するための取り入れ口で、小さなダムのような形をしています。堤体とゲート、取水口、魚道などから構成されています。

 ここから取水し、揚水機場(ポンプ場)に水を供給します。

名称 巻の下頭首工
位置 右岸 青森県八戸市大字是川字白蛇久保
左岸 青森県八戸市南郷大字島守字帳塚
形式 フィックスドタイプ
堰高 2.1m
堰長 固定部 24.0m
可動部 6.0m
30.0m
取水標高 EL32.7m
取水量 0.58m3/s
付帯施設 取入水門 1.8m×0.6m×1門
土砂吐 5.0m×2.3m×1門
魚道 一式

揚水機(ポンプ)

 揚水機とはポンプのことで、八戸平原の場合は電動機を使って回しています。揚水機は各系統に2台づつ設置されており、交互運転することにより、継続的な送水が可能となっています。

 頭首工、世増ダムから取水された水は、揚水機によって高台にある吐水槽(タンク)へと送水され、そこから用水路に配水されます。

名称 世増揚水機場 巻の下揚水機場
位置 青森県八戸市南郷大字島守字崩向 青森県八戸市大字是川字白蛇久保
揚水量 0.51m3/s 0.06m3/s 0.49m3/s
揚程 実揚程 204m 163m 163m
全揚程 223m 188m 173m
揚水機 型式 渦巻型 渦巻型 渦巻型
口径 400mm
300mm
125mm
125mm
400mm
300mm
原動機 型式 電動機 電動機 電動機
動力 1,050kw
560kw
85kw
85kw
770kw
410kw

用水路(パイプライン)

 揚水機(ポンプ)によって吐水槽(タンク)に蓄えられた水は、用水路(パイプライン)によって、各地の給水栓へと配水されます。

構造 DCIP管、VP管 備考 幹線には送水路を含む
()は幹線の内数
区分 水路名 通水量 延長 主要構造物
幹線 右岸1~3号幹線 0.58m3/s 19.3km 水管橋、吐水槽
左岸1~5号幹線 0.67m3/s 22.5km 吐水槽
支線 右岸1~7号支線 (0.32)m3/s 20.0km 給水栓31カ所
左岸1~10号支線 (0.32)m3/s
0.06m3/s
32.5km 給水栓37カ所
1.31m3/s 94.3km

給水栓

 給水栓は各用水路の最末端に設置されている施設で、大きな蛇口のような形をしています。ハンドル操作により、最大15リットル毎秒の水を給水可能で、トラックに積んだタンクへも給水しやすいよう、布ホースが取り付けられています。

排水路

水路名 排水量 延長 構造
3号幹線排水路 6.9m3/s 2.1km コンクリートフリューム
ブロック積工
柳平幹線排水路 2.6m3/s 2.1km コンクリートフリューム
フトン篭工
4.2km

道路

道路名 路線名 延長 構造
幹線道路A 第1~4・左岸 22.6km アスファルト舗装
幹線道路B 第2~18号 17.7km アスファルト舗装
支線道路A 52.5km 砕石舗装
支線道路B 15.3km 砕石舗装
108.1km