氷雨  
今まで日本で紹介されることのなかった韓国の話題作品です。(2004・韓国作品)  

  シネマ・クレールにて   (05・7・4)       105分


雄大なアラスカ山脈を舞台に、若者達の愛と勇気を、壮大なスケールで描いた、韓国初の本格的
な山岳映画として、注目を集めた作品です。

雪山で遭難した主人公と先輩は、死との恐怖と、朦朧とした意識の中で、お互いが、かって愛した
女性の記憶を語り始めます。しかし、その女性こそが、主人公が、幼い頃から思いを寄せていた、
初恋の人であり、先輩にとっては、真剣に愛した不倫の相手だったのです。

過去と現在とを、丹念にダブらせながら、雪山の過酷さと、恋愛のほろにがさを、甘く、切なく、そし
て、悲しく、伝へてきます。

約5億円の巨費をかけて、8ヶ月にわたり撮影が行われました。「秋の童話」の人気者、ソン・スン
ホン(現在、兵役中)が、登山に挑む、男っぽい魅力を披露しています。

私は、この映画を見ながら、以前読んだ、井上靖氏の「氷壁」を思い出しました。生死の瀬戸際に
自ら進んで、自分のザイルを切り、相手を生かす、という箇所です。 山男達の暗黙のマナーなの
でしょうか?    2人に愛された女性は、それを選んだのです。  悲しい場面でした。

死していく者、生きていく者。雪山は、両者ともの悲しみを受け入れて、今日もまた、山男達を雪懐
に迎えいれています。何事もなかったかのように。。。 山がそこにあるから。。。


監督: キム・ウンスク  出演: ソン・スンホン、 キム・ハヌル イ・ソンジェ 他


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