冒頭でナレーションが入ります。


「この暗い時代を少しでも明るくしょうと、父の提案で家族の名前はすべて “べえ” をつけて呼ぶことにしています」





監督  山田 洋次   原作  野上 照美   2008年1月26日〜一般公開  上映時間 132分

キャスト  吉永小百合  浅野忠信  壇 れい  志田未来  佐藤未来  坂東三津五郎  笑福亭鶴瓶、
  
 

                        ★ 舞台は、昭和15年の東京です。


    野上家は、「父べえ」・「母べえ」・「初べえ」・「照べえ」と愛称をつけて呼び合う ユーモアのある仲の良い家族です。

    貧しいながら穏やかな生活でしたが、平和を唱える文学者の父が、治安維持法違反の罪で検挙されました。

    この時代、戦争反対は、国を批判する思想犯として投獄されるのです。
   
    やがて 日本は太平洋戦争へ突入し、不安と物資の乏しいなかで、残された家族は懸命に生き抜きます。

    「しげる様 お元気ですか・・・」 「父べえ 元気ですか・・・」 残された家族との絆は、検閲で黒く塗りつぶされた手紙

    でしかありません。 また会えるという明るい希望を持ち続けながら 手紙は綴られていきます。


          「あなたがどんなに この子達に会いたいだろうか・・・」  「父べえの顔が早くみたいです・・・」   

    
    桜の花が散り、蒸し風呂のような夏が過ぎ、雪降る寒さに震えながら、信念を曲げることなく頑張り続けますが・・・・・

    父のいない家庭をやさしく見守る親類や、教え子との別れもあり、戦争の悲惨さを小さな家庭から描いています。
    
    残された子供のために、優しく、強く、懸命に働いた昭和のお母さん! 平成に暮らす私達は本当に幸せです。
    
    希望を胸に明るく懸命に生き抜く姿と、あたたかい絆で結ばれた家族の愛を描いた感動作品でした。
    
    平和・家族の大切さ・・・・・幸せとは何なのでしょうか? 凛とした母親役の吉永さんの演技には涙をさそわれます。
    
    山田洋次監督は、この映画をとおし、戦争の愚かさと、やってはならない戦争の惨めさを訴えられたのです。


                         (TOHOシネマタウン岡南  20.01.28)



     シネマと私へ    明日への遺言へ