「紅葉賀」の巻と「花宴」の巻
〜 朧月夜と源典侍、末摘花 〜



                                         
                   〜 末摘花 (すえつむはな) 〜
                   赤い色をした 紅花(べにばな)のこと

       末摘花は、故常陸宮(ひたちのみや)の娘で、天皇家の血をひく高貴な女性です。
       父亡き後、名門貴族の没落で、寂しい毎日を送っていました。

       そのころ源氏は、はかなく世を去った夕顔が忘れられず、心のなごむ女性に巡りあいたい
       と思い続けていたので、その噂に興味をそそられました。
       
       ひそかに琴の音を聴き、心を動かします。 逢ってみると純真な人柄とは反対に容姿が個
       性的であるのに驚きます。鼻が象のように長く伸びて、先の方が少し垂れ下がり、赤く色

       づいています。
背丈が高くて曲がったようにもみえるので、源氏は胸がつぶれる思いです。
       
       醜女で、不器用な女へのあわれみと、没落した宮家を目の前にみて自分の屋敷に引きと
       り面倒をみるのでした。   (源氏18歳の春から19歳の春))


       源氏が須磨に退去の後、困窮に耐えながら待ち続けます。再会の時、彼女の献身さが源       
       氏の心をうち、後に二条院の女主人として迎えられ、親王の女に相応しい生活を送ります

                                              
              〜 「紅葉賀 (もみじのが)の巻 

      紅葉の美しい神無月(かんなつき)に、朱雀院(すざくいん)の御賀がもようされます。

      朱雀院の行幸(ぎょうこう)をさして「紅葉賀」といい、源氏物語で最も華やかな巻です。
      
      行幸当日の源氏の舞は一段とすばらしく、源氏は加階して「正三位」に任じられました。
                           (源氏18歳の秋から19歳の秋)




                 〜 源典侍 (げんのないしのすけ) 

      57歳の好色な老女のお話です。                 (源氏20歳)

       
源典侍は、内裏のトップクラスの女官です。人望も品格もある女性ですが、色恋の面で
       は軽かったようです。 
       
       この歳で、20歳の源氏に誘われても応じ、又、源氏の義兄とも関係を持っています。
       若者達は競って争いました。 うろたえたのは、源典侍だったといいます。
       
       若者達は笑いあって競ったのではないでしょうか? 

                                                     
                  〜 「花 宴 (はなのえん)」の巻 

      3月〜4月の頃、南殿のの宴が催されました。       (源氏20歳の春)

       源氏の舞や詩のみごとさは、人々の賞賛をあびました。
       宴の終わった春の夜、名前を聞かぬままに「扇」をとりかわした女性が、源氏の心を動
       擁させます。
       
       この女性こそ、東宮の妃として、この4月にあがる予定の右大臣の姫「
朧月夜」です。

       この出会いが、源氏の須磨流離の原因にかかわっていくのです。




                    朧月夜 (おぼろつきよ) 

       朧月夜との出会いは、春の月夜のこと。花宴の後のほろ酔い加減の出会いでした。

      この女性は、右大臣家(源氏にとっては敵対勢力)の娘で、東宮(源氏の兄)の婚約者
       でもあります。 源氏は悩みながらも、こうした女性にのめりこんでいくのです。
                                              (源氏20歳)

       兄が即位し、后となった朧月夜との関係はまだ続きます。出会いから4年後、右大臣の
       知るところとなり、源氏は中央政界から、遠い須磨に流離されることになりました。


       源氏の胸の奥底には、藤壺の宮(義母)への面影がいつもあるのです。




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