川棚温泉物語2-3へ
川棚温泉物語  
(2)貫かれたまま隣室を覗く

 ユーサクは、つい最近四十年間つとめた小学校教師を定年退職したばかりだった。やめる迄八年間校長をつとめている。この様な男同士の遊びを知ったのは、ここ一、二年の間だった。こんな遊びを知ったのと同時に彼はすぐ可愛いい女に変身したのである。だから彼を抱いた男役の男は、一様に彼の器官がよく締まって適当に固くて適当にやわらかいとほめるのだが、裸で見ていると彼程男性的魅力を備えている男を私は知らない。

 彼は今迄もこの様な態位で、後と前を同時に責められて泣いた事が何度かあったに違いないと思うが、激しく体をふるわせて泣き乍ら、こんなにいいのは生れて初めてだと何度も訴えては、歯をかちかち云わせて体中をふるわせた。
 私は強く射精してはいなかったが絶えず少しづつ洩らしていた。そして彼の濃い液を口一ぱい頬張って味わい乍ら飲みこんだだけで満足だった。
 それで私は卓三に、このふとんの上にお休み下さい、按摩をしてさしあげますと頭をさげた。

「そんなもんかまへんよ」

 卓三はそう云い乍ら、私を手招きした。
 私は彼の傍ににじり寄った。
 すると彼は越中ふんどしをはらりと落して、だらりと伸びきったものを揺らせて見せた。ユーサクの様なボリュームはなかったが、長くて亀頭冠の立派なものだった。今迄一時間以上もユーサクの中に入っていたにしては黒紫色に輝いて少し私がさわれば、すぐ勃ち上りそうだった。

「わしはまだ出しとりゃせん」

 彼はそう云って私を見た。男が男を襲う時の目だった。私は、こんな目で睨まれるとすぐその気になってしまう。私は右手で彼のものを握った。みるみるうちに血液が流れ込み硬化するのが分った。

「わしゃ、まだ出しとりゃへん」

 彼はもう一度そう云って腰をくいくいと動かした。
 私はゆっくり顔を寄せていった。私には彦太郎というパトロンがいた。それがユーサクに惚れ、今又卓三に身をまかせようとしているのだ。男の前で女になる事を悲しく思う事は過去一度もなかったが、三人の男に遊ばれる事は何となく低抗もあり悲しかった。然しこれはあくまで彦太郎の命令だと思えば、救われる気がするのだ。
 むしろ、この様な性癖をかくして広島の家族と過すよりどれ程人生を正直に生きたことかと思い直すのだった。

 何気なく部屋の隅を見ると、ユーサクが腹這いになって壁の隙間に顔を寄せている。私と卓三はそれに同時に気付いた様だった。

 ユーサクは私達の方をふり向いて、人差指をぴんと伸して口の上に直角にあてた後、やっとききとれる声を出した。

「やっとる、やっとる、大将がやっとる」

 私と卓三は思わず顔を見合わせた。大将がやっとると云われても、私にはそれが誰なのかまるきり分らなかったが、ユーサクは勿論卓三もどうやらよく知っているらしかった。

 ユーサクは顔を壁に向けたまま手だけ私達の方に向けて手招きした。私がユーサクの傍に行こうとすると、卓三が自分のものを私に握らせたまま私の耳に口を寄せて囁いた。

「大将いうたら、この川棚は勿論、山口県から北九州一帯の大ボスげな。何でもヤクザの親分いう人もおるし、右翼のえらい人云う人もいます。色が少し黒くて男前でいい体してますよ。体重なんか九十キロ以上は十分あります。それに背中には刺青入れて顔は布袋さんみたいに優しい人やが、ここが太くてなあ、誰が見てもあんな太いものは見た事がない云います。何でも雁首だけ握っても手の中に入らん云います。それに大将は可愛がる時は男も女も猫の様にやさしゅうしますが、あまり可愛いいと、太マラを口の中に入れて突きさしたり、それで顔中真赤になる位叩く云います。あれはエスエムでしょうなあ。けどいい男ですよ。あんたなんか見らん方がええ。見たら生命もいらん程にすぐ惚れてしまいます。あんたは彦太郎さんいう旦那がついとりますから浮気したらいけません」

 私は卓三の話をきいただけで、すぐ隣の部屋を覗きたくなった。それで卓三のものを握ったままユーサクの傍ににじり寄った。どうした事か卓三のものは私の手の中に入ったまま何の抵抗もなく私と一緒に壁ぎわまでついて来たのである。
 壁と柱の間に僅かな隙間があり、こちらは電気を消しているので隣りの明るい部屋がよく見えるらしかった。腹這いになって覗いていたユーサクが感に耐え兼ねた様な声でひそひそと私の耳許で云った。

「ほんまに凄かったのう、抱かれた男が痛がって仲々入らへんかった。けどもう大将の体が丸くなって抱きしめて動かんようになったんで、多分根元迄入ってしもうた筈や」

「見えたんですか」

「大将の太った背中から腰が見え、太鼓腹もよう見えた。まるで相撲取のようだった。受けの男が又、色が白うてぽってりして可愛いいお父さんでなあ、お父さん口を一杯にあけて大将のものを飲みこもうとしとったが、大き過ぎてとても入らへん」

「そんなに大きいのですか」

「そりゃ、彦太郎さんや卓三さん達のものもよう使いこんで大きいけど、大将のんは格が違う。茎が丸くて反りが入り、手で握ってまだ余る程じゃ。それに雁がでっぱって亀頭がよう発達しとる。そのくせ、色がピンクで美しいんや。あれだけ使いこんでも、ぴかぴか光って美しい」

「一度だけでいい、見たいですね」

「見るだけなら見れるかも知れんけど、大将のは仲々さわられへん。何せ五、六人の愛人が何時も傍にいるし、女も奥さんの他に二、三人はいるやろう」

「そうですか、ふーん」

 私はそう云って、腰をつき上げ顔をひくくして隙間に目をあてた。私の位置からは、大将のぼってりした背中から尻にかけての体のカーブが見えるだけだった。
 鯨の様に大きく厚い皮膚の貼りついた体だった。それは下のものを抱きこんでみじろぎもせず静止したままである。
 ああもっと違った角度から見たいと思った。私は別の隙間を探して目を押しつけた。その時うしろから卓三が立ったまま私の尻をかかえて固く勃ち上ったものを私のバックにくりくりと押しつけた。私は、そのままの姿勢を崩しもせず、尻をじっと上方に持ちあげつき出して開いたのである。


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