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川棚温泉物語  
(3)網膜に焼きついた大将の肥満体

 私のうしろから尻をかかえた卓三が、私のバックに指を入れて何かを塗りこんでいるようだった。指全体にぬりつけた潤滑油を私のバックに入れ、ぐるりぐるりと廻して残していったのだ。
 何時の間にかユーサクが私のものを握ってずりずりとむきあげている。男同士の遊びを覚えて一、二年しかならないというけれど、手指がやわらかい故か、それとも心がこもっている故か五、六分もそれをされると思わず声が出る。

 ユーサクは私の体にぴたりと貼りついて耳に口をつけて小さな声でささやく。

「私がこの遊びを覚えて一番最初に抱かれた男が大将じゃった。まだ校長しとった」

 私は黙ってユーサクを見た。

「けど抱かれただけで、その時はわしの穴が小そうて開いとらんかったからとても入らん。大将はいい男でほんとに一つになりとうて我慢したが、一センチも入らへんかった。ほんまに惜しい事じゃった」

「そんなに大きいのですか」

「うん、見たら誰でもびっくりする」

 私は又黙った。

「今なら何とか入れられる」

 ユーサクはそういって又、隣室を覗いている。私は顔を前よりももっと低くして壁の隙間に目をつけて一心に覗いた。
 今度は大将の太鼓腹と、それに押さえつけられた男の太ももが見える。男は体を二つに折られて押さえつけられている様だった。じっと目をこらして見ると、ほんの僅か大将の腰が動いているのか、組みしかれた男のももがかすかにぴくぴくふるえているのが分った。

 何時の間にか私のものがかちかちに固くなっている。それをユーサクが私の腹の下にもぐりこんで口にくわえてずるりずるりとむきあげねぶり廻し始めていた。と殆ど同時にうしろから私を抱いた卓三が二、三度亀頭をあてがって腰を動かしていたが、前もって軟膏を塗りこんでいた故か、ずるりと根元迄入れてしまったのだ。
 私は声を出してはいけないと思い乍ら、思わずあっと叫んだ。前と後から快感が増幅され、腰の中枢で収斂され、泣き出したい程いい気持だった。

 私は、そうされたまま意識的に又違った穴に顔を近付けた。ほんの僅か位置がずれただけだったが、今度は抱かれた男の横顔が見えた。短髪の白髪をきれいに刈りあげ、血色のいい丸顔がまるで少年のように可愛いかった。鼻下にちょび髭をたて、丸くて小さな目がまじろぎもせず上方の一点をみつめている。ああ大将の目を見ているのだと思う。後頭部に回した大将の肥った腕が見える。男は上から大将に抱きこまれ、頭がふとんより十センチ程あがっているらしい。

 私の体は二人の男に責められている。卓三のものは私のバックの中で量大限に大きくなって、動くことを止めている。時々亀頭がくいくいと小刻みに動くのと同時に雁が私の直腸を掻くような動きをする。多分私の腹の下にもぐりこんで私のものを吸っているユーサクが両手で卓三の尻の穴や双玉や一物のつけ根を時々ぐりぐり揉んでいるからに違いない。その故かもしれないが、私のバックに根元まで挿入されたものが彦太郎のものよりずっと太くて長いような気がする。

 卓三が彦太郎より背丈がいくらか低いので、私は両股を百八十度位にひらいて尻の位置を低くしている。みだらな格好であるが、そんな姿勢になると卓三のものが一番深い所にあたるし、私のものがそれに連動されて腹にあたる程勃起する。
 ユーサクは私の雁の下を唇ではさんで亀頭に舌をまきつけて、ずるりずるりと舐めるかと思えば、まるでうどんでもすするように喉の奥迄のみこんで、陰茎や亀頭の全周を長い舌で巻きしめ乍ら舐める。

 私はあまりの気持よさに、うしろに突き出した尻をゆっくり前後にゆする。するとバッ
クの中の卓三のものを刺激するらしく、卓三はふうっという様な声で一声呻いて、小刻みに動く私の尻を両手で絞りこんで再び根元迄入れこみ固定する。
 私の下半身はうしろと前から、この世のものと思えない快感を与えられ乍ら、動く事を止められ、いたずらに快感のみが増幅されて腰の中枢に貯えられるようだった。

 私の中枢は極度の快感に、卓三がもう一度ずるずると抜き出して又入れこんでも、ユーサクの舌が亀頭を一回ぺろりと舐めただけでも射精しそうだった。その射精は過去の如何なる性交より密度も快感も高いもののように思われた。私は早く出したいと思った。私がみだらに股をひろげてうしろに突き出した尻をくいくいと動かすだけでも、ユーサクの口の中に射精する事は分っていたが、うしろから卓三に固定された私の尻は、動かす事が出来ないのだ。

 私は再び壁の隙間に目を近づけた。
 大将の腕に抱かれた男の唇から舌が出て、唇の周囲をゆっくり舐めるのが分った。いやに赤くて官能的な唇だった。その唇が大きくひらいた。真白な歯や赤黒い口の中がかすかに見えた。突然男の口の中にぽとりと音でもしそうな液体が流しこまれた。男はそれをさも美味しそうに口の中で味わって、喉の中に流しこみ、又舌を出して唇の周囲を舐めた。 大将が抱いた男に自分の唾液を飲ましているのがすぐ分った。声まできこえてきそうだった。

 二、三回その様にして唾を飲ませた後、大将の部厚い唇がいくらか男の口に近寄った気配がした。すると下の唇がどんどん大将の口に近付いて二人の唇がぴったり合わされたのである。
 最初は大将の大きな口が男の口をくわえて総て飲みこむ様な動作だった。それが、男の舌が大将の口の中に入って、ねろねろと歯や舌や粘膜を舐めとり、尚奥に入って喉迄舐め回している様だった。その間四、五分間大将は男のするままにまかせていた。

 私の覗き穴からは上の端に大将の部厚い唇が見え、下の端に抱かれた男の後頭部に回した大将の腕が見えるだけだった。然し、男の唇や舌の動きにつれて美しく刈り込んだ鼻髭がぴくぴく動いたり、丸くて可愛いい目が情欲に潤んで大将にすがりつく様な視線を投げるのが強調されて私に伝わる様だった。
 私は彼等の全身を見たくてたまらなかった。全身は見えないけれども限られた範囲の抱かれた男の表情を見る事によって下半身の事を想像するのは、又何にも変え難い快楽だった。

 抱かれた男があれだけ欲情しているのは、きっと下半身の快感が極限に来たからに違いないと思う。
 大将の一物は誰でも見ただけで精を洩らすという程の巨根で、色艶、型、太さが並外れているとユーサクは云う。
 それに先程の覗き穴から見た背中の肉付きから想像する肥満体、多分大将の巨根は男の体内に根元迄入りこんで、こつこつとあちこちをノックしながら妙なる快感を送りこんでいるに違いない。

 覗いている私の目に、突然抱かれた男の顔が大将から離れて下におちて行くのが見えた。丸くひらいた目を閉じ、形のいい唇を真一文字に結んでいたが、大将の口と男の口を結びでもする様に二人の唾液が粘りついて糸を引き、それは暫くの間そのままの状態を保っていたが、男の顔がおちてしまった時その糸はぷつりと切れて男の頬に散ったのである。

 それと時を同じくするように、うしろの卓三が腰をずるずると引き、ユーサクがくわえた陰茎を雁のつけ根迄舐め下げた。
 私の尻は卓三のものについてゆこうとややうしろにさがったけれど、既に限界を越えた快感に耐え切れず、次の瞬間、ユーサクの喉に向け力一杯腰をゆすってありったけの精液を吐き出したのである。

川棚温泉物語3-1につづく


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