川棚温泉物語4-1へ
川棚温泉物語  
(3)何時かは大将に抱かれたい

 年末がいよいよ差しせまった暖い日の午後、彦太郎が私の部屋に来た。この前来た時から丁度二週間が経っていた。彼は部屋の隅に敷いてあるふとんの上に坐ると着物のすそをひらき越中ふんどしを見せて云った。

「もっと早う来てあんたの中に入れとうてむずむずしたが、おそうなってしもうた。ゴローも入れて貰いたかっただろう」

 長い間の習性で私は彦太郎のこんな言葉や純白のふんどしを見せられるとすぐ昂奮して女になりきるようになっていた。まして二週間も彦太郎から抱かれていなかったので、ひたすら彼の巨根が恋しかった。

「おとうちゃん、何んで来てくれんかったんですか、もう二週間になる」

「色々と忙しゅうてなあ、旅館組合の会合で岡山から大阪迄行っとった」

 彼はそう云って、ぎらぎら光る眼で私を見た。彼がこの様な目をする時は十分欲情している時に限られていた。
 然し、彼は大阪や岡山に行った時は必ず複数の男と遊んで来る事を私はよく知っている。漠然と知ってはいるが、どんな人とどんな遊び方をするのかはっきり分らない。

 然し彼は私の生理をよく知っている。例えば二週間前に私に自分のものをくわえさせ一度口の中に精液を飲ませ、夜私のバックの中に一度吐き出すと共に、私のものから一度絞り出した事等をよく覚えている。そして少くとも五日に一度位はそうしてやるのが、自分の務めだと思っている様だった。

「長う来てやらなくて悪かったなあ」

 私の目が潤んで自分のふんどしを見つめているのを知っていて、彼はそう云い股を掻くような仕草をする。旅館の主人らしい紬の着物の下の襦袢がめくれて、越中ふんどしがよじれ、太ももの境に黒々と陰毛がはみだしている。

 私は耐え切れずに彼の体ににじり寄って、ふんどしの下で息づいているものを右手で握りしめた。と同時に私の上半身はがっしりと肥った彼の体に抱きしめられ、あっという間に口を吸われていた。彼の唇や舌が私の唇や舌をねぶり、かみ、這い廻ると私はすぐ昂奮して女になって狂うことを彼はよく知っている。
 私の一物を鷲掴みにして云うのだ。

「もうこんなにべちょべちょに出して。お前を飢えさせて悪かったなあ、ゴロー、今日はたっぷりわしの精液を飲ませてやるからなあ」

 彦太郎は両足をひろげて前に伸している。私に握られたものが石の様にこちこちに固くなって反りあがり、ふくれた亀頭が大鼓腹に届きそうだった。

「わしゃ、大阪に行ったけど遊んではおらん、こんなにぴんぴんじゃ」

 彼はそう云って私の手の中でぴくんぴくんと動かし、実際に私の手の中のものをまるで棒が倒れるように一度反ってうねらせるのだったが、精力の強い彼の言葉程あてにならないものはないと思っている。彼は朝一発ぬいても昼になるともうこちこちに勃起させる事が出来るのだ。それに反りをうった巨大なもののぬめる様な黒紫色の艶等を見ていると、遊べば遊ぶ程彼のものは逞しくなるようだった。

 私はそんな彼のものを見ていると、彼の浮気等不思議に気にならなくなるのだった。彼の肥満体や股間のものは、私が過去出会った如何なる男のものよりも男性的で愛しいものだった。
 私はためらいもせず顔を股の中に突っこんで彼の双玉や尻の穴附近の体臭をかいだ。彼の香水にも似た体臭は、私にとって又とない栄養強壮剤だった。
 私は目をとじ口を一杯にあけて双玉や蟻の戸渡りを舐め、陰茎のつけ根をくわえ、顔を横にしてハーモニカでも吹く様に少しづつ上の方に舐めあげ、おもむろに雁の周辺をずるりと一舐めして亀頭を頬張った。

「やはり、ゴローが一番上手いよ。あー」

 彦太郎が私の頭を両手で押さえてそう言った。
 私は、彦太郎が好きでたまらなかったので、自分の快楽の為に彼を愛することで彼がそうなるのがうれしくてならなかった。彦太郎のものからは先走液が、じわじわとにじみ出し、私の舌や口はそのにがさや甘さを楽しみ乍らねろねろと何時迄もくわえていた。

 彼は極度に昂奮すると腰の動きをぴたりと止め、私にあお向きに寝るように命令する。既に私のものからは彦太郎のものを口に受けているだけで精液がちょろちょろと絶え間なく洩れ、尻の穴からも潤滑油の様な液体がにじみ出て、彼の巨根を受入れる態勢が出来あがっている。
 私はあおむきに寝ころがる。するとすかさず彼は私の両足を肩にかけ私の唾にまぶされた巨根の先端をバックの入口にあてがい、上下左右に小刻みな動きで押したり叩いたりする。

 この感触が好きだった。私の尻は一秒でも早く入れて欲しいのに、入口だけを私の一番好きなものでノックされるのは気が遠くなる程気持のいいものである。

 私は、尻をふって女のような声を出して訴える。

「とうちゃん、早く、早く入れて」

彼は私のこの言葉をきくと一層周囲だけを亀頭の先端で丁寧に突きまくる。突き乍ら軟膏を反り返った陰茎から特に鉢巻の様な亀頭冠の周囲にべっとり塗りつける。
 私のものから精液がたらたらと洩れ始めている。入れられる前から私の精液が出る様な時は、最高の結合が約束されるのだ。
 さんざんじらされてどうでもなれと思い始めた時、彼は敢然と行動をおこすのだ。

 反りの入った巨根がうねり乍ら私の中に入って来る。過去にさんざん堀られているので痛みはない。私はうれしくて尻をふる。

「雁が入った」

 彼はそういった後、まるで私の油断した隙をついた様に腰に体重をかけ、ずるりずるりと入れてくる。長大な陰茎を送りこむ彼の顔は正に男である。私は肉体的にバックを犯され、視覚的に彦太郎さんの男に完全に女にされる時間をめくるめく想いで楽しんでいた。

「根元迄入ったぞ、ゴロー」

 彼が私の後頭部に腕を入れ上体をかがめると、太鼓腹に私のものがあたり、たらたらと精液がこぼれた。
 私は抱かれたまま彼の目をじっと見ている。私はこのまま死んでもいいと思った。私の心の中には生きて行く為の人間関係も、按摩のことも、季節の事も、家族の事も何も彼も空白だった。ただひたすら彦太郎と一つになっている、それだけの感覚の真只中でひたすら彦太郎の女でいたかった。
 
 突然、彦太郎が言った。

「大将が本田さんと三階のあの部屋に来てるぞ、わしが呼んだのだ」

 私はだまって彦太郎の顔を見乍ら、大将の事、本田さんの事をぼんやり考えた。
 彦太郎の体が、少しづつ動き出した様だった。彼の腰使いはいつでもこの様に静かに動き出す。私は両手で彼の太鼓腹からはみ出した脇腹をかいた。

「本田さんは、警察署長迄つとめた人なんだ。男役専門で来た可愛いい人が、今では大将の愛人になっとる」

 彼はそういい乍ら、腰の動きを少しづつ早めていた。
 私は、十日程前壁の隙間から見た大将と本田の情事をはっきり思い出していた。隙間の小さな空間から見る限られた二人の体故に、想像力が働いてあれ程強烈な刺激はなかった。私は本田さんよりも大将の体により多くの興味があった。然し、彦太郎は大将よりも本田の体に興味があるように思われた。
 彦太郎の顔が鬼の様に赤くなり、私の腰を抱き込んで腰をうねらせ乍ら、もっと奥を突き始めた。私も彼と一つになって快楽の波にもまれている。
 その時、彼がうわごとの様に言った。

「本田を抱きたい。可愛いい顔して大将に抱かれて……可愛想に………」

 私は、びっくりして彼を見た。

「けど大将の体に惚れこんで馬鹿な奴。いや、あんな大きな馬の様なもので、きっと本田のバックは裂けたんではないかなあ」

「そんなに大将のは大きいのですか」

 私は、息の止りそうな快感をこらえて訊ねた。

「ゴローの片手では握られん。それにあの人の雁は尖っとる」

「おとうさんより太いのですか」

「うーん、格が違う。本田さんが惚れるのも無理ないか」

 彦太郎はそんな事をいい乍ら、凄い力で抽送を始め、私の体は大波にゆられる様に彼の体の下で動かされていた。

「大将のものを見たい」

 私はやっとそう云った。
 彦太郎はひときわ強く差しこみ私の首に右腕を巻きこんで巨根の先でとんとんと強力なパンチを叩き乍ら私の耳に大声で伝えた。

「ほんとにわしも二週間ぶりじゃよ、濃い精液を全部叩きこむぞ」

 私は彼の精液を受け乍ら、彦太郎の体と大将の体がだぶって感じられた。

川棚温泉物語4-1につづく

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