川棚温泉物語4-3へ
川棚温泉物語  
(2)それでも、先生の女でいたい

 私は、自分の主人を前にして情夫の浮気の現場を見せつけられる女のような心境だった。私がもしも女だったら、彦太郎も岡山の先生も、ユーサクも力一杯撲りつけてそのままこの部屋から逃げ去るだろうと思った。
 けれども私は、ちろちろと燃える嫉妬に身を焼かれ乍ら、三人を撲るどころか、いくらか媚をふくんだ顔をして三人の仲間に入れて貰うべく、少しづつにじり寄ったのである。ユーサクはともかく、岡山の先生も彦太郎も捨てるには惜しい男だったし、私は正月前からもう二週間も男に抱かれていなかった。

「おお、五郎来たか」

 彦太郎が初めて私に口をひらいた。
 私は少し尖った視線で彦太郎を睨み、その視線をさっと二人に移した。私は何も言わなかったが、これは一体どうした事ですかと目で問いかけた。
 すると彦太郎がこの様な言い方をした。

「どのお方もお前の知ってる人ばかりだ。さあ、こちらに来て裸んなれ。外は寒いがこの部屋は暖房が効いて、まるで真夏だ」

 私は心の中で、彦太郎の無責任な行為をなじり乍らも、二週間の禁欲のあとで好みの三人の裸体を目の前にして、更に好奇心をそそられ、そそくさと着物を脱ぎ越中褌だけの裸体となって三人の男達に身をさらしたのである。

 私は、そのまま自分の欲望のまま行動に移った。彦太郎には少し悪いと思ったが、私は身を低くして先生の太い股に両手を巻きつけた。
 すると私の目にユーサクにくわえられた先生の巨根の根元が見えた。それは捩れた越中褌の横から、目一杯にふくれて反り返ってユーサクの口の中に飲み込まれていた。
 私は、先生のものは自分こそが口にも含もうし体の中に入れるべきだと思う。ユーサク等にこんな行為をされては私の立つ瀬がないと思う。

 ユーサクはそんな私の立場を知っていながら、私の前で先生のものをくわえて、舌と唇で微妙な愛撫をくり返し、私がすぐ近くにいながらその行為を止めるどころか、更に深く先生のものに吸い付いて、これ見よがしに見せつけるのだ。
 然し、よく見ると先生のものはユーサクの口から相当余っている。私は私がちょっと顔を歪めて無理をすればその根元をくわえられると思った。私だったら先生のものを根元迄完全に飲みこめるのだ。
 私はそれを独占したかったが、その想いを断ちきり強引に先生の腹の下に顔を入れて、二つの玉を舌に乗せて含んだり、更にもっと奥の凹んだ部分に舌を差し込んだりした。

 私の額には先生のものを含んだユーサクの口があり、それはねっとり先生のものにからまって、時々口の端から男の精液を交えた強い匂いのよだれが流れた。
 それは正に懐しい先生の精液の匂いだった。精液というよりも先走液の匂いで、先生は私を抱く度、六十歳とは思えない程の多量の粘液を出し、この液が出始めると、少しでも早くバックに挿入し、それからは長い時間をかけて、私を抱くのが常だった。

 私は先生の二つの玉や、陰茎の付け根の瘤になった部分をねろねろ舐めた。そして時々、ユーサクの口に入り切らず外部に露出した陰茎の根元にも手を差し延べて、掬う様な恰好の逆手で小刻みにずるずると撫ぜた。
 そして私は少しづつユーサクの体を押し退けてユーサクのいた位置に移動した。ユーサクよりずっと先生を愛しているという自信があったので、それはこく自然な動作だった。

 先生も私の卓越したテクニックにやっと酔い始めたのか、自分の強大なものをずるずるとユーサクの口から抜きとり、あらためて私の前に仁王立ちして言った。

「今度は五郎がやれ、ユーサクは彦太郎のものを尺八してやれ」

 ユーサクが彦太郎の前に移動した。
 私の顔の前にぐっと反りを打った先生の巨根がぴくぴくふるえ乍ら、太鼓腹を叩いている。私は右手を下から掬うようにして、それにねっとりとからませ、腰を低くしたまま上体だけ少し伸び上って亀頭だけをくわえた。上下の唇でそのくびれを挾み固定し、舌をひろげて先端の全周にぺたりと貼りつかせて、巻き付かせる様な方法でずるりずるりと舐めた。その間、右手は絶えず逆手でゆっくり上下に撫ぜたり揉んだりした。

「五郎は、やはりユーサクよりいいぞ」

 先生が初めて私にだけ分る様な小声でそう言った。
 それだけで私は天にも昇る程嬉しかった。然し先生のものを一旦口から外して、なじる様な目で見乍らささやいた。

「どうして今日は、こんな複数の遊びをなさるのですか」

「たまには、いいじゃないか」

「気が散ってよくありませんよ」

 私がそう言って、再びてらてらに輝いた亀頭を口に含もうとすると、先生は私の頭を両手で押さえたまま体を横にし、それからゆっくり大の字になってから言った。

「今晩はずっとお前につき合ってやるから、たまにはこんな遊びも許して貰うぞ」

 先生が畳の上に大の字に寝ている。
 先生の体は僅かに動いただけだったが、その場の空気を精液の匂いやほんの少しアルコール等の交った匂いに変えて、そよ風の様にさわさわと動くのだった。
 傍を見るとユーサクが、同じ様に寝転がった彦太郎のものをくわえて、顔を上下に動かしていた。彦太郎は、いわば私の主人だったが、ユーサクからそうされているのが少しも嫌だとは思わなかった。

 私は、素早く先生の股の中に入った。先生のものは純白の越中褌の端から起き上っている事に気付き、太鼓腹に巻き付いたひもをほどいて真裸にした。
 根元から亀頭に続く陰茎は全体に丸みがあり、その裏側の部分は尿道と血管が高く盛り上って太鼓腹の方に反りを打ち、それは雁のくびれで一度ややその太さを減らしている。その分を遥かに越えた雁が鋭角に盛り上って見事な冠状突起を作り、それはゆるやかなカーブで亀頭を形造っていた。

 全体が赤紫色で、陰茎を取り巻くみみずの様な血管が青黒く隆起し、くびれでその色彩をいくらか薄め、段をつけて盛り上った亀頭は、朱色に近い濃い紫色で、その背がアーチを作り太鼓腹にぺたりと張りついていた。
 私の喉は久しぶりに味わう御馳走を前にして、ごくごくと鳴り、私の一物も多量の先走液を流して、褌の表面を鋭角に盛り上がらせ、その先端の当る所を濡らしている。

 私は体をおこりの様に震わせ乍ら、左手を双玉の下深くに入れて根元の瘤や、もっと奥の方をやさしく撫ぜた。そして右手で陰茎を握り、くわえ易い様に太鼓腹から一物を離して口に含み、舌と唇をデリケートに動かし乍ら、少しづつ飲みこんでいった。
 先生のものが如何に強カなものであろうとも、私にとっては世界中で一つしかない懐しいものだった。先生のものさえ私の体のどこかに入れている間は、私にとって文字通り天国であり、金も家もいかなる幸福も一切いらないのだ。

 一ミリ一ミリと私は少しづつ飲みこんでいった。私は侵入される感触に全神経を集中して精一杯たのしんだ。そしてそれが根元迄飲みこまれだ時、私の上唇や鼻や目は先生の固い陰毛にくすぐられ、下唇や顎は彼の固く収縮した双玉に押しつけられていた。
 私の喉頭を越えたその奥に、先生の強力な亀頭がぴったりと入りこみ、それは尚時々、ぴくんぴくんと震えながら、もっと奥の方に入り込む様な勢いを伝えて、私を責めた。

 そんな恰好のまま私は蛙のように畳の上に腹這いになり、先生の股間に顔を伏せていた。体の位置では私の方が先生よりもいくらか上位にあり乍ら、私は誰よりも犯されるものの至福の快感につきあげられ動く事が出来なかった。
 先生も決して微動だにしなかったが、先生の亀頭は絶えず私の喉の奥でさっと撫ぜたり激しく突く様な動きを示し、喉の奥に少しでも入り込む気配を感じる度、私は私の一物を畳にこすりつけて、その先端から濃い精液を少しづつ流しつづけた。

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