一枚岩の上に足を投げ出し、その腹の上に女を乗せた大将が、女を貫いたまま静かに湯槽の中に立上った。立上ると大将は両足を大きく開いて、五、六度女を揺するように腰をこきこきと動かして突き上げ、上半身をぐっと反らした。
女の最も深い所に埋めこんでいるらしく、彼はうーというような唸り声をあげ、子供にしっこさせるような恰好で、女の両足を両手で抱きとった。女が訳の分らないことを云って、上半身をくねくねと動かした。
「凄いですね、いったいどちらの方に入れとるんですか」
私のすぐ耳許で先生が訊ねた。
「勿論、バックですよ」
本田はそう答えだが、顔がひきつっている。
「女がよがっていますものね、余程奥まで入っているんでしょうね」
先生がそう言うのと殆ど同時に、女のよがり声が一段とたかくなった。
「女という奴は男よりずっと助平ですよ。バックのあとは前の方に入れて貰って、失神するまでやって貰うのですから……。それに妙ちゃんは今日大将の子種を入れて貰うんです。今日が一番妊娠しやすい日なんです。けど妙ちゃんは、大将に心から惚れているんです。だからあんな太いものが根元まで入るのです。普通の女だったら絶対入りません。何せ大将のものは、妙ちゃんの腕よりずっと太くて長いのですから………」
本田が説明でもするようにそう云った。
女の名前が妙子であることがわかった。女のよがり声があまりに激しいので、ふと見ると上半身をぐっと反らした大将が、自分の腹の上で女の体を百八十度回転させていた。
やがて大将が前向きに女を抱きとり、再びいくらか腰をおとして二、三度腰を突きあげ態勢を整え、又上半身を反らした。女が両手を大将の首に廻して喉をぺろぺろと舐め乍ら尻をくいくいと円を画くように廻した。
「ああ、今の動作で大将が入れかえた。今度は前の方に入っとる」
本田が二人の傍に身を寄せ、更にふり返って言った。
「この態位だと大将のものは深く入り過ぎ、先の方が完全に子宮の壁にあたります」
私は本田の言葉がぞくぞくする程の快楽に結びついているのを感じたが、根が好色で、その対象が年配の肥満した男という私には、大将という男に自分の人生を捧げた女が、大将の精液を受けて子供を生み、大将との絆を一層強く結びつけるという女の理屈に強い嫉妬を感じた。
大将に下から貫かれた女が、大将の前面にしがみついて夢中で部厚い胸を舐めている。大木にとまった蝉のようである。女の鼻がふくれている。女は強い快感に耐え乍らも自然に洩れるよがり声を押さえ、鼻で息をしながら腰をくねくねと動かしている。
大将は両足を踏んばり上体を反らしたまま殆ど動かない。動かなくても大将のものに巻きついた女の襞が、からまってはほどけ又絡まって強く摩擦しているらしい。
何時の間にか二人の股間に本田の頭が入り、大将の袋や尻を舐めており、私はうしろから彦太郎のものを根元まで埋めこまれていた。
私はバックを犯され乍ら、大将達のからまりを瞬きもせず見ている。バックに入った彦太郎のものが前立腺を突き、私の快感が増幅され、喉がからからで、少し唾を飲みこんでも痛かった。
彦太郎が自分のものを埋めこんだまま、私のものをずるりずるりとむきながら、はあはあとよがり声をあげ、私は少しづつ精液を洩らしている。
私のバックに埋めこんだ彦太郎の腰の動きが、何となく何時もと違う。それは彦太郎の意志であるリズムを以て動くのでなく、第三者的な者の意志で動かされている感じだった。
私は何かを察して彦太郎の尻に手を廻すと、先生の巨根が深々と突きささっているのが分った。彦太郎の体がうしろから突かれる度にゆらりゆらり揺れて、時々あーあーあーと断続的なよがり声を出している。
「おーう、おーう、いくぞう」
突然ライオンの遠吠えのような声がきこえた。
大将がどうやらアクメを迎えたらしい。彼は両足をふんばり、腰をひくくして下から突きあげ、両目をかっと開いて天井を睨んで更にうわずった声で言った。
「うーう、あっいいぞ、妙子、今俺の子種を注いどる。どくどく出しとる」
大将の巨根を根元まで埋めこまれた女の体が、太鼓腹の上で小刻みに五、六度バウンドし、そのあと大将の太い首に両手を巻きつけて、毛の生えた部厚い胸に吸いついて声をあげて泣き始めた。
既に女の尻は片時もじっとしていなかった。彼女は夢中で自分の体の中に埋めこまれた大将の巨根を、何層にも重なった肉襞で押さえたり揉んだり扱いたりし乍ら、耐え切れぬ快感に泣き出したのだ。更に大将の精液を受精した満足感が加味されて、女の幸福の海にただよっている。好きな男の巨根を根元まで埋められ受精する快感を全身で受けとめていた。
私はそんな二人の交情を見ながら、うしろから彦太郎に入れられどくどくと精液を吐出した。先生も彦太郎も私と前後してのぼりつめ、相手の体に射精したようだった。
大将が女の体から自分のものを抜き出すと、本田が素早くそれをくわえた。場所が場所だから温泉の湯できれいに洗えばいいものを、本田は口で舐めて清めた。
大将の巨根には女の汚物がこびりついて不潔だろうと私は思った。けれども私が本田の立場でもやはり本田のように口にくわえるにちがいないと思う。あんなに長く丁寧に女を愛し、射精した大将故に、その巨根が抜き出されれば片時も放っておけない気持が、よく理解出来た。
総てが終った女は、まるでぼろ布のように一枚岩の上に捨てられている。受精を終えた魚がしばしの快感に酔いしれているようだった。
私は大将の体をもっと詳しく見たいと思った。女を抱いている時間は長かったけれど、大将の体の前面は殆ど女の体によって隠されていたので、頭の一部や胸と太鼓腹の両端が僅かに見えかくれするだけだった。
それだけで体のもっと重要な部分の型態をあれこれと想像するのは、私にとっては結構楽しかったが、やはり少しも満足出来ないのだ。その上、私が最も見たかった大将の股間のものは、その長い情交の間ずっと女の体の中に根元まで埋めこまれていてとても見られなかった。
私は、総てが終れば必ずそれを見ることが出来るだろうと期待したが、それさえも不可能で失望しなければならなかった。総てが終った時、本田は大将の体を私達から隠すように、大型のバスタオルをかけて一枚岩の上に横たえたのである。そして大将の股間のものは何時でも自分の両手か口によって、私から見えないような細工をしたのだ。
私は、それが不満だった。いくら大将から寵愛されているといっても、こうまでして私の目から遠ざけることはないのだ。その反面、あまりに並外れて立派なものは危険人物の前では、一切見せたくないという受け身の男の心理はよく理解出来た。
本田がそのような行動に出ると、大将に対する私の恋情は一層燃えさかり、本田に対する嫉妬心や闘争心をかきたてた。
私は何時の日か、必ず大将を本田から奪い取り抱いて貰おうと思う。それは三ヶ月前、卓三やユーサク達と隣室で交わる大将の体を覗き見した時から決めていた私の強い願望だった。
私は、彦太郎や岡山の先生、博多の人形師や大阪の柔道教師等々、忘れ難い男達に時々抱かれはしたが、ここ半年程大将の超肥満体だけは、ひとときも私の心から離れたことがなかった。私は、彼の体を触るどころか見ることさえも出来ない故に、尚更恋いこがれて過した。
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