タイトル未定#2
《数時間前…とあるBAR》
薄暗い店内には週末の夜だというのに客は1人もいない。顔に傷のあるマスターが1人グラスを拭いている。
男の名はキング
表向きにはBARのマスターだが、裏の顔は、この国随一の特殊部隊【poker】の1人である。
(ガチャ)ドアが開き3人組が入ってきた。
エージェント:『久しぶりだなキング。元気そうでなによりだ』
真ん中の男はキングの前に座った。2人のエージェントはプロジェクターの準備を行っている。
キング:『いったい何の用だ。』
拭き終わったグラスを差し出しブランデーを注いだ。男はブランデーを飲み干すとプロジェクターの起動と同時に口を開いた。
エージェント:『3日前、大統領と、ある製薬会社の科学者が開発中のウイルスごと誘拐された。』
プロジェクターは赤道直下の島を映している。
エージェント:『一昨日ホワイトハウスに犯行声明が送られてきたよ…昨日救出ミッションを行ったが部隊は全滅、手には入ったのはこの映像だけだ。』
キング:『要求は?』
エージェント:『得に無いそうだ。ただ…(私は世界を支配する)だそうだ。』
キング:『何で製薬会社がウイルスなんか開発してるんだ?』
空になったグラスにブランデーを注ぎ尋ねる。
エージェント:『全く未知の病気が蔓延し…そのウイルスの薬を持っているのが1つの会社だけだとしたら?…薬を売る為に、企業がウイルス自体を作っているんだよ。』
キング:『そんなバカな…』
エージェント:『十数年に一度新型のウイルスが発見されている事はお前も知っているだろう!?マスコミは、〜の突然変異や彗星接近の影響と世間に表明しているが、製薬企業の販売戦略なのだよ…』
そこまで言いきると男はブランデーを一気に飲み干した。
キング:『そのウイルスとは?』
エージェント:『鼻水・咳・熱…こんな症状がでたら君はどうする?』
キング:『風邪だな!ほっときゃ治るだろ!』
プロジェクターは咳をする特殊部隊員を映し出す。
エージェント:『それが風邪によく似ているだけで、まるっきり未知のウイルスによる初期症状だとしたら?感染後12時間は風邪の初期症状しかし12時間以内にワクチンを打たないとゾンビと化すんだ』

プロジェクターに目をやると撮されている男がゾンビと化していく…

ゾンビ化は怖ろしく急激なもので、1分前まで仲間と極普通に会話していた隊員が突然仲間に襲いかかる様子が映されていた。仲間の首に噛みついた所でプロジェクターは止まった。
エージェント:『恐らく先発部隊は全員ゾンビ化しているだろう…頼めるのは君達だけだ!』
そう言うとエージェントは立ち上がった。
キング:『行くのはいいがそれなりに準備がある。』
エージェント:『今頃、他のメンバーのところへエージェントが着いているはずだ。先程全員のICチップを起動しておいた。出発時には体内通 信・ホークアイが使用可能になるだろう!我々は無線と映像を基にバックアップさせてもらうよ。午前0時ポートで待っている。』
そう言い残すと男は背を向けた。 【poker】彼等の頭の中には小型のチップが埋め込まれている。そのチップを利用して無線通 信や映像を送ることが可能になる。映像はホークアイと呼ばれるハエ程の大きさの小型カメラが常にチップ所有者の周りを飛び回り撮影する仕組みとなっている。 エージェントがドアに手をかけようとしたその時
キング:『待てよ!忘れ物だ!』
振り返るエージェントに向かってキングが何かを投げつけた。エージェントが受け取った物には紙が挟んであり何か書かれている。 “ブランデー2杯…5000ペタス”
エージェント:『何だこれ!?ふざけるなっ!!何でブランデー2杯が5000もするんだ!』
クールだったエージェントが豹変する。
エージェント:『大体、頼みもしないのに勝手に出したんだろ!?』
怒鳴るエージェントに対し冷静そのもので
キング:『ウチは、そういう店だ!』
キングの手に握られたベレッタのレーザーポインターはエージェントの腹部の辺りから舐めるように駆け上がり眉間で止まった。
エージェント:『わかったよ!どこまでガメツイんだ!この非常時に…』
バンッ!!カウンターにお札を叩き付けてエージェントはBARを後にした。キングはお札を拾い上げるとポケットに突っ込んだ…

□タイトル未定
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