13月13日 #第四話《不幸》
『いいか?ゴールドマン。今から言う事はすべて信じるんだ。』
とマルコヴィッチは強く言った。ゴールドマンも強くうなづいた。
『昨日、・・・いや、一昨日から昨日にかけての夢だ。変な夢をみたんだ。妻がの頭が床に転がりその生首がしゃべったんだ。今日は13月12日。明日は13日と。』
『!!・・。』
ゴールドマンが少し驚いた。
『どうした?』
マルコヴィッチは不安そうな顔で言った。
『いや、なんでもない。続けて。』

『・・・そこで夢は終わったんだが、起きて壁を見ると13月のカレンダーがかかっていたんだ。でも妻に聞いても不思議そうな顔をするだけだ。おかしいだろ?見えてるのはおれだけらしいんだ。』
『ふむふむ、続けて。』
『でその日は何も起こらず寝て次の日起きて部屋をでたんだ。そしたらこの世のものとは思えない怪物が立ってたんだ。そいつは何か言いながら歩いて来たんだ。おれは銃を持って急いで家から逃げたんだ。そしたらそいつ追い掛けて来やがって、・・・おれはそいつめがけて銃を撃ったんだ。3発撃った。それで怪物は動かないから死んだと思ったんだよ。で家に帰って窓から見たらまだ生きてやがったんだ。おれはとどめをさしに行こうとしたんだがそこで救急車が来たんだ。誰かが呼んだのか、勝手にきたのかわからないが・・・そしたらそいつら倒れてるのはいかにも狂暴な怪物だっていうのに普通 に救急車に乗せて行きやがった。・・・変だろ?』
マルコヴィッチが口を開く。
『キャサリンはどうした?家にいたんだろ?無事なのか?』
『それが・・・いないんだ。たぶんキャサリンも怪物から逃げたんだと思う。襲われた形跡もなかったし・・・』
マルコヴィッチは不安そうな顔だ。
『怪物の事や救急車の事はわからんが、・・・こんな言い伝えを聞いたことがある。13の月に足を踏み入れた者には、必ず不幸が訪れる。たとえば・・・。』
ゴールドマンの口がとまる。
『なんだよ・・。』
マルコヴィッチはさらに不安そうな顔になる。
『たとえば・・・例えばだ。例えばの話だ。・・・最愛の人を失うとか・・。』
『!!!』
マルコヴィッチは固まる。

・・・・・・・・・・・・ガタッ!!

マルコヴィッチは走ってゴールドマンの家から出ていった。
『お、おい!マルコヴィッチ!』
もうマルコヴィッチにはなにも聞こえていなかった。

『キャサリン!!!・・・・生きててくれ!』

□13月13日
第五話《本》

戻る