ホワイトメタル キット 製作記

1/18と1/48サイズのミニカーの塗装を行いました。
ついでにサンルーフを取り付ける改造も行いました。


大阪の方から、ボルボのミニカーを愛車と同じ色にしてほしいとご依頼いただきました。



まずは、メールでの打ち合わせから始めます。
ミニカーと実車の写真を添付して送っていただき、
どのような仕上がりを希望されているのかを伺って、見積りを出します。
その中でサンルーフのご要望をいただき、追加仕様となりました。
内容が決まり、見積りを了承いただいたら、ミニカーを送っていただき、
いよいよ製作開始です。


≪ミニカーの分解≫
写真は、大きな方の1/18サイズのミニカーです。

初めて手にするタイプなので、ビスの位置など、手探り状態で一つずつパーツを取り外してゆきます。
接着されているパーツも多いので、破損しないように慎重に作業を進めます。

このサイズのミニカーになると、使用されているパーツの数も多く、完成度の高さに驚かされます。
今まで、このサイズのミニカーが発売されているような車種に乗ったことがなく、ミニカーを購入したこともないので、軽いカルチャーショックでした。

紛らわしいパーツは、紛失したり、どこに取り付けるのかわからなくなってしまわないように、台紙にセロテープで固定し、名前を書いておきます。


≪ボディ加工≫
パーツを取り外したボディのルーフに、サンルーフの穴を開けます。
同じ仕様なので、1/43サイズも並行して作業を進めます。

送ってもらった写真と、実車を測ってもらった寸法をもとに、ルーフにケガキを行い、糸ノコで少し小さめに切り抜きます。
ダイキャストに使われている亜鉛合金は、それほど硬くないので、切り抜き作業はさほど苦労せずに済みます。

穴が開いたら、所定の形状になるまで精密ヤスリで削り、、紙やすりでフチの部分を整えます。

サンルーフの制作方法としては、周囲に溝を切って塗装で済ませるやり方もありますが、依頼主のご要望で透明のサンルーフをはめ込むスタイルになりました。


≪サンルーフ制作≫
透明のプラスチック板を加工して、サンルーフのガラスを制作します。

サンルーフのガラスは、ルーフ形状に合わせてRが付けられているので、透明プラスチック板に熱を加えて、軽いRを付ける作業から始めます。
適度なRが付いたら、ルーフの穴形状に合わせてケガキを行い、少し大きめに切り抜きます。

切り抜いたプラ板を、ルーフの穴にピッタリになるように調整しながら慎重に精密ヤスリで削ってゆきます。

 穴にピッタリはまっています。 → 形状出しの終わったプラ板。


≪マスキング≫
分解したパーツの中で、ボディカラーを塗装する必要のある物を選び、マスキングを行います。

ドアガラスの枠や、ドアミラー・ライト回りなども塗装されている部分があるので、すべてマスキングを行ってゆきます。
ドアの内装などにも塗装の必要な部分があり、考えていたよりも塗装点数が多くなりました。

エンジンルーム内部にも塗装が必要なので、エンジンヘッドなどの細かい部品をすべて取り外し、プレートなどシールの貼られている部分をマスキングしておきます。


≪ボディカラー塗装≫
ミニカー自体の塗装は焼き付けられており、簡単に取り除くことはできないので、十分に洗浄を行ってから下地塗装を行います。

ボディカラーは、お借りしたカタログの色見本と写真、画像データを送ってもらった実車の写真を総合して調色を行います。
メタリック塗装なので、乾燥させると色合いが変わってしまう事が多く、塗装と乾燥を繰り返しながら色合いを決めます。
実物の塗装と直接比べることができないので、メールに添付してお送りした写真で色合いを確認してもらい、塗装色を決定しました。

ドアなど、可動部分があり、塗装が厚くなってしまうと干渉して剥がれてしまう可能性があるため、塗膜が厚くならないように注意しながらエアブラシで塗装を行います。


≪組み立て≫
メタリック塗装のままではツヤがないので、クリアを塗装してツヤを出します。

次に、再度マスキングを行い、ボディサイドなどのモールの塗装を行います。
もとのミニカーでは、この部分は艶消しの黒で塗装されていましたが、依頼主とのやり取りの中でグレーであることがわかり、黒に近いグレーを調色して塗装しました。

塗装が完了したら、マスキングテープを剥がして、組み込みを行います。
写真は、ドアなど一部のパーツを組み立てた状態。
依頼主のご要望で、リアハッチとカーゴルームの窓には、実車用のグレーフィルムを張りました。

透明プラ板で制作したサンルーフは、表面の周囲に溶きパテで盛り上げ塗装を行い、これをツヤ消し黒で塗装して、ゴムのモールを表現します。
裏面の周囲は、実車同様黒でフチ塗装し、グレーフィルムを張り付けてあります。
今回の制作方式なら、サンルーフが開いた状態で固定することもできますが、ご希望で、今回は閉状態で固定することになりました。

すべてのパーツの準備が整ったら、組み立てを行います。
パーツを元通りに組み立て、必要な個所は接着を行い、ビスでシャーシを組み付けたら完成です。




可動部分も元通り。
それにしても、このサイズのミニカーの出来の良さには、驚きです。