ホワイトメタル キット 製作記

バンダイの1/1000「宇宙戦艦ヤマト」を製作しました。
エンジンノズルや波動砲など主要部分にLEDを組み込み、発光状態にすることができます。


アニメ宇宙戦艦ヤマト2199の宇宙戦艦です。
子供の頃にテレビ放映されていた「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク版です。
当時発売されていたプラモデルと比較すると、隔世の感があります。
ただ、色分けされたパーツ構成になっているため、おかしな分割になっている部分があり、一般的なパーツ構成よりも造りにくいように思います。
メインエンジンと補助エンジンを全開にした、「最大船速」状態を再現します。
資料には、ビデオ録画と設定資料集を用意しました。




まずは、秋葉原の部品屋さんで、適用なLEDを探すところから始めます。
今回は、ヤフオク出品用も含め、1/1000二隻とメカコレ二隻を並行製作しました。
それでは、製作を始めましょう。

≪電子部品調達≫
今回は、さまざまなLEDを用意しました。
  φ5高輝度広角アイスブルーLED :ワープエンジン用
  φ5高輝度広角黄色LED :メインエンジン用
  φ3高輝度黄色LED×2 :補助エンジン用
  φ3高輝度白色LED :波動砲用
  φ5高輝度緑色LED×2 :各窓照明用
  高輝度白色チップLED :格納庫照明用

高輝度LEDは電圧が高いので、電源は単三乾電池3本(4.5V)とし、各LEDの適正電圧に応じた抵抗を用意します。
この他には、電池ボックスとコネクタ、各種スイッチが必要になります。


≪展望室窓の製作≫
ブリッジと艦長室の窓は透明パーツが用意されていますが、せっかくなので、ポイントとなりそうなブリッジ背面と舷側展望室の窓も光るようにします。

まず、窓部分のパーツに粘土状のシリコンを押し付け、外形の型を取ります。
シリコンが固まったら、ピンバイスとカッター・精密ヤスリを利用してキットの窓部分をくりぬきます。
塗装時の手間を省くため、くりぬいた窓の外側を軍艦色に、内側を艶消し黒で塗装しておきます。

窓部分の準備ができたら、シリコンの型を押し当てて固定し、内側から透明エポキシ接着剤を気泡に注意しながら流し込みます。
型取り用のエポキシ樹脂と異なり、エポキシ接着剤は粘度が高いので、細い部分に入り込むことがなく、精度の良くない型でも流し込みが可能です。
また、少量での作業が可能なので、無駄がありません。
接着剤が固まると、元の形状どおりに透明の窓が出来上がっています。
透明度には多少の不満がありますが、光の通りに問題はなく、小さな窓なら十分利用できます。

ブリッジ背面の展望室ドームも同様に作業を行います。


≪補助エンジンの製作≫
補助エンジンには、ノズルの内径に合わせてφ3高輝度黄色LEDを使用します。
LEDが直接見える構造になるので、明るくなりすぎてメインノズルとのバランスが悪くならないように、抵抗値で電圧を調整します。

砲弾型のLEDは、先端の半球を削って平面にし、消灯時に暗く見えるようにスモークグレーで塗装しておきます。
補助エンジンノズルのパーツは透明ではないので、底の部分にφ3の穴をあけ、ノズル内部をガンメタで塗装しておきます。
ノズルの穴にLEDを差し込んで接着し、光漏れ防止の塗装を行います。
電圧調整用の抵抗を、左右のLEDそれぞれにハンダ付けしておきます。

エンジンカウルと後部船底パーツにも、配線が通るように必要な大きさの穴をあけて組み立てを行います。


≪艦橋の製作≫
艦橋には、上下二段のブリッジと、艦長室・背面展望室の4つの窓があります。
以前テスト製作した時には、それぞれの窓にφ3LEDを組み込みましたが、組み込み位置を工夫すると一つのLEDですべての窓を光らせることができることがわかりました。
各窓に十分な光が行き渡るように、φ5高輝度緑色LEDを使用することにします。

艦橋のパーツは、LEDを収めるスペースと窓まで光が通るように、内部のリブなどを極限まで削り取ってしまいます。
LEDを組み込んで仮組みし、光の通りを確認したら、光漏れを防ぐため、内部をシルバーで塗装します。
また、窓の周囲は、軍艦色で塗装しておきます。

LEDには光が拡散するようにシリコンキャップをかぶせ、抵抗を取り付けて固定します。
艦長室は窓が大きく、内部が見えてしまうことで消灯時に白っぽく見えてしまいます。
消灯時に黒っぽく見せるため、透明パーツをスモークグレーで塗装しました。
また、窓全体が光って見えるよう、光の出口となる床面に光拡散シートを追加します。

すべてのパーツが揃ったら、接着組み立てを行い、通電して光の状態を確認します。
パーツの合わせ目から光が漏れるので、隙間の残る部分はパテで埋めておきます。


≪メインエンジンノズルの製作≫
メインエンジンは、黄色く光る波動エンジンの全開状態と、青白く光るワープエンジンを切り替えられるようにします。

エンジン部分の各パーツは、LEDを組み込めるように穴をあけ、邪魔になるリブなどは削り取っておきます。
必要な部分は、光が通らないようにシルバーで塗装しておきます。

ワープエンジンは、なるべく明るくしたいので、φ5高輝度広角アイスブルーLEDを、光が直接見えるように、船体最後部に後方に向けて取り付けます。
広角のLEDを使用することで、ノズル内面に光が反射して、全体が光っているように見えます。

波動エンジン用には、φ5高輝度広角黄色LEDを使用しますが、既にワープエンジン用のLEDが組み込まれているので、設置場所がありません。
ノズルコーンは透明のパーツになっているので、この中に組み込むことにします。
コーンの内側を先端から半分程度までシルバーで塗装し、光漏れを防ぎます。
LEDは、影ができないように細いエナメル線をハンダ付けし、コーンの内部にノズルの底を向くように接着します。
このコーンをエンジンノズルに取り付け、ノズルにあけておいた小さな穴からエナメル線を通しておきます。

光が反射しやすいように、ノズル内部はメタリックで塗装しておきます。
船体にエンジンノズルを取り付けると、アイスブルーLEDと黄色LEDは向き合う形になります。
それぞれの光は、コーンの塗り残した透明部分を通ってノズル内部に出てきます。
広角LEDを使用しているので、光がノズル内部に広がって反射し、それぞれの色でエンジンノズル内部が光っているように見えるようになります。


≪コネクタ組み込み≫
波動エンジンとワープエンジンの切り替えなどの操作のために、スイッチが必要になります。
前作では、砲塔の中に切り替えスイッチを設置しましたが、操作性が良くないので、外部からコントローラーで操作できるようにしました。
複数の配線が必要になるので、5端子のコネクタを使用することにします。

コネクタは、外形に影響が出ないように、右舷のアクションベース用アダプター取り付け部分内部に組み込むことにしました。

配線をハンダ付けした小型のオスコネクタを、アダプター取り付け穴の前方に接着して取り付けます。
細い隙間の中にセットするので、無理なくメスコネクタを差し込めるように、慎重な位置決めが必要です。
コネクタ自体は接着できる材質ではないので、外れることがないよう、エポキシ接着剤で包み込むように接着しておきます。

取り付け部分を隠す蓋は、そのままではコネクタピンに干渉してしまうので、必要な部分を削り取って薄いプラバンで補強し、取り外ししやすいように差込部分の形状を整えておきます。


≪舷側展望室窓の製作≫
透明にした舷側展望室窓にLEDを組み込むためのユニットを製作します。

艦橋用と同じφ5の高輝度緑色LEDを使用するので、一個で十分明るくなります。
船体内部にちょうど納まる箱をプラバンで作成し、抵抗を取り付けたLEDを前向きに取り付けます。
この光を左右の窓に振り分けるため、前方にV字型の壁を作り、内部にアルミテープを張って、光が左右に反射するようにします。 (広角LEDを使用すれば、V字型の反射板は必要ないかもしれません。)
更に、窓全体が均一に光るように、窓の手前に光拡散用の表面が凹凸になった透明プラスチックを取り付けます。
この透明プラスチックには、CDケースの側面のギザギザの部分を切り取って使用しました。 (使えそうなものは、なんでも利用します。)

窓が均一に光っていることを確認したら、上蓋を取り付けて船体内部に固定し、隙間やLED背面に光漏れ防止用のアルミテープを張り付けておきます。


≪波動砲の製作≫
波動砲には直進する強い光を再現するため、波動砲の内径に合わせた、φ3高輝度白色LEDを使用します。

砲弾型LEDの先端のドーム状部分を削って平面を作ってから、キットの透明パーツをエポキシ接着剤で接着します。
LEDには、電圧調整用の抵抗を取り付けておきます。
LEDの側面・背面はシルバーで塗装し、さらにアルミテープを巻きつけて、光漏れを防ぎます。

透明パーツは、スモークグレーを軽く塗装し、シャッターの造形が浮き出るようにしておきます。

展望室窓LEDを組み込んだ船体前方内部は、LEDと干渉するリブなどを削り取って、シルバーを塗装しておきます。
波動砲内部は、ガンメタで塗装しておきます。
船体先端部分に、完成した波動砲用LEDを組み込みます。
この部分は、甲板の隙間から光が漏れやすいので、更にアルミテープを張っておきます。


≪格納庫の製作≫
キットでは、艦載機の格納庫は、取り外せるようになっていますが、外形を重視するため、外板パネルは接着してしまいます。
せっかくの格納庫なので、ハッチを開いた時に内部の艦載機が見えるように、内部照明用のLEDを組み込みます。

リン青銅を細く切って接点を二枚製作し、格納庫前方の隔壁に取り付けることで、自作スイッチとなります。
先端がヒンジの部分に来るように設置すると、ハッチが開いた時に押されて通電します。
リン青銅板が完全に固定されたら、適当な角度に折り曲げて、スイッチON/OFFのタイミングを調整します。

照明には、窓部分と同じ緑色LEDを使用することも考えたのですが、コスモファルコンの色がわかりにくくなってしまいます。
格納庫内部は狭く、十分なスペースがないので、高輝度白色チップLEDを使用することにしました。
チップLEDは熱で壊れやすいので、リード線のハンダ付けは手早く行います。

格納庫内部をまんべんなく照らし、なおかつ開いたハッチの内面を照らすことができる位置を試行錯誤して、チップLEDは艦載機ハンガーの最後部のこの位置に決めました。
さらに、拡散シートをかぶせて、格納庫内部に光が行き渡るようにします。

コスモファルコンとハンガーなどの内部構造は、あらかじめ塗装して、組み立てておきます。

周囲のパーツを組み立て、LEDとスイッチの配線をつないで、抵抗を取り付けます。
電源をつなげてハッチを開けると、格納庫内部に照明が灯って、ハンガーのコスモファルコンが浮かび上がります。

点灯状態を確認したら外壁を接着して、後部船体の完成です。


≪メインエンジンの製作≫
完成した後部船体に、製作しておいたメインエンジンのノズルを取り付けます。

メインノズルをしっかり接着したら、配線を行います。
取り外し式の外壁を接着してしまったため、キットのエンジンパーツは使用しません。
このため、格納庫後方には大きな空間ができるので、ここを配線に利用します。
波動エンジン・補助エンジン・格納庫照明それぞれ個別に配線が必要なので、間違わないようにリード線を色分けしてハンダ付けし、ショートしないようにきちんと絶縁しておきます。

電源をつなげて、点灯テストを行います。
波動エンジンと補助エンジンを点灯させると、最大船速状態が再現されます。
ワープエンジンを点灯させると、ノズル内部が青白く光ります。
狙いどおりの効果です!

ワープエンジン発光時は、補助エンジンは点灯しないように配線します。
完全に組み立ててしまうと、配線の修整ができなくなってしまうので、ステップごとに点灯テストを行いながら、慎重に組み立てを進めて行きます。


≪船体の製作≫
完成した前・後部船体を接着し、配線します。

コネクタもつなげて、所定の端子に電圧をかけた時に所定のLEDが確実に点灯するかどうか、確認を行います。
格納庫ハッチも開閉して、スイッチがきちんと作動しているか、確認しておきます。
配線が確認できたら、LEDとコネクタの配線をハンダ付けして、それぞれの配線を熱収縮チューブで絶縁しておきます。
艦橋用の配線は、甲板の艦橋部分に穴をあけ、リード線を通しておきます。

すべてのギミックの組み込みが完了しました。
ここからは、通常のキット製作の手順になります。
接着した船体は段差などがあるので、パテで修正しておきます。
その他、形状のおかしな部分なども修正を行い、バランスを確認しておきます。


≪船体の塗装-1≫
船体の組立と形状修正が済んだら、エンジンノズル内部や波動砲・窓など塗料が付いては困る部分にマスキングし、サフェーサーを塗装します。

細かい凹凸が多く、塗装のしにくい艦橋は個別に塗装して後から取り付けるため、配線用のリード線を穴から出した状態で塗装を進めます。

好みで、アニメの設定とは異なる旧日本海軍戦艦「大和」の色合いで塗装を進めます。
今回は、艦底色→甲板→軍艦色の順にマスキングを行いながら塗装を進めました。
船体は、それぞれ少し濃い色合いの塗料を作って、パネルの異なる部分を塗り分けしました。
塗料が乾燥したら、スミ入れを行います。

艦橋・砲塔・安定翼などのパーツ類も、並行作業で塗装します。


≪船体の塗装-2≫
基本的な塗装が終わったら、デカールを貼り付けます。

製作中に、「コスモリバースVer」が発売されたので、当初にキットには入っていなかったデカールや安定翼など、必要なパーツだけを購入して使用しました。 (バンダイさん、両方買わせようったって、そうはいきません!)

デカールの白や黄色は、暗めの軍艦色ベースでは浮き立ってしまうので、貼った後にスモークグレーを塗装して、トーンを落としておきます。

デカールが完全に乾燥したら、半ツヤのクリアを塗装して、全体のツヤを整えます。
さらに、ノズル部分や外板の継ぎ目などに、水性カラーの艶消し黒を吹き付け、ウェザリングを施します。

すべてのパーツに同様の処理を行います。


≪艦橋の取り付け≫
塗装が完了したら、船体に艦橋を取り付けます。

船体から出ているリード線と、艦橋のLEDからのリード線をつなげて電圧をかけてみます。
点灯が確認できたら、リード線をハンダ付けし、熱収縮チューブで絶縁を行います。

リード線は、船体側の穴に押し込んでから、船体に艦橋を接着します。
さらに、兵装などの小さなパーツを接着して、主・副砲塔を取り付ければ、「宇宙戦艦ヤマト」の完成です。


≪ディスプレイスタンドの製作≫
スタンドには、電池ボックスとLEDコントロール用のスイッチ類を組み込みます。

電源は4.5Vに設定したので、単三電池3本を使用します。
スイッチは、メインのON/OFFスイッチと、波動砲用のプッシュスイッチ、エンジン用の切り替えスイッチを用意します。

スタンドのベースは、裏側に補強のリブが十字に入っているので、邪魔になる部分を削り取り、スイッチとリード線の通る穴をあけます。
リブを削り取ってできた平面にタミヤの電池ボックスを接着すると、ちょうど良い高さになります。

艦載機ハンガーのスタンドは不要なので、取り付け穴をパテで埋めてから、ガンメタで塗装しました。
ヤマトを載せるスタンドには、船体を傷付けないように黒いフエルトを張り付けました。
船体に差し込むコネクタには、取り外ししやすいように小さなグリップを作って、同じように塗装します。




「ヤマト、発進!」


≪オマケ≫


同じ色に塗装するので、メカコレシリーズの「宇宙戦艦ヤマト」も並行して製作しました。
電池ボックスの都合で電源は3Vなので、電圧の高い高輝度LEDは使用しません。


メインエンジンには、外形形状をノズルに合わせて旋盤加工したφ5黄色LEDを使用しました。
先端にノズルコーンを接着してから、ノズルにあけた穴に差し込みます。
左右の補助エンジンノズルには導光丸棒を組み込み、一つのφ3黄色LEDで発光させます。


スタンドと船体底面には、2極のコネクタを取り付けます。
スタンドは、市販のスイッチ付き電池ボックスの上に接着し、配線します。


このキットは、上部と下部がスッキリ分かれているので、個別に塗装して最後に組み立てます。
ノズルのマスキングには、シリコンチューブとゴムひもを利用。
コネクタには、塗料が入らないように抵抗の足を突っ込んでおきます。
塗装が完了したら、配線をつなげて上・下船体を接着すれば、出来上がり。