POCKET

イラストを描くかたわらで気になったこと、気に入ったものを時折ポケットから取り出してためつすがめつ綴っています。
In this page ,I want to talk about my favorite things.But sorry,japanese only.

©Hiromi Suzuki All rights reserved 2003-2004 禁無断転用転載

バス通り

私の部屋は、バス通りに面していて、窓の下を一日に何本ものバスが行き交います。打ち合わせなどの急ぐ用事でなければ、新宿も渋谷も、ほとんどバスで出かけます。バスの路線は、いずれも神田川を越えて中野とつながっています。

中野には家族が住んでいることもあり、買い物がてら、たびたび訪れます。丸井の本店には屋上遊園地があって、モノクロで撮ってみました(前回のブラックプールから一転して中野!)。

平日の夕暮れの閑散としたデパートの屋上は、なんか懐かしいのです。ウサギの楽隊も、子どもたちを待ちわびてカラ元気、という感じですね。休日になれば、催事ステージの前はTVのヒーローショー目当ての家族連れでにぎわうのでしょう。

私も子どもの頃、スーパーのウルトラマンショーに、一度だけ楽しみに行きました。がっかりしたのは、エレキングが人間と同じ大きさだったこと、ウルトラセブンの背中にファスナーを見てしまったことは仕方がないにしても、大好きなウルトラセブンに近づいてそっと触れてみたら、表面が起毛した素材で、なんとも妙な生々しさがあったことです。

そして人混みに押された私は、あやまってセブンの足を踏んでしまったのですが、異常に痛がっていたのには、まったっくもって失望しました。弱すぎ。
しかし、そのことを、すかさず友人や家族に吹聴してまわったのは子どものイジワルさですね。

子どものイジワルさ、というか、しんどさ、みたいなものを書いた、岩波少年文庫のイギリス子ども詩集「木はえらい」に、『列車に乗って』(マイケル・ローゼン作/谷川俊太郎訳)という作品があって気に入っています。

「ぼく」は走る列車の窓から、背中を見せるさまざまな家々を眺めています。ひげを剃る人、政治を愚痴ってる人、犬をからかっている人、誰でもない誰かが窓のむこうに過ぎ去っていきます。そして反対に「あそこで誰かが窓から私を見てるわ」と、こちらを眺めてる人がいることに気づきます。

「そうぼくも誰かだ、窓から外を見てる誰かを見てる・・・・そうしてそれもみな過ぎ去ってしまう」という内容です。この詩集は、子どもが書いたものではなく、何人かの著名な詩人が、日常を綴った詩を収めているもので、仕事の合間にパラパラと読んでいます。イギリス人らしい、ユーモラスかつシニカルな視点で書かれていて、クスッ、と笑ってしまうものがいくつかあります。

机の上のPCに、小さなオレンジ色のスピーカーをつないでみました。夕方、宅配便の、原稿の集荷を待つあいだ、そこからVirginRadioを流しています。放送されている曲名やアーチスト名がすぐわかって便利です。この局で、ヴァン・モリソンの「Brown Eyed Girl」を知りました。ミック・ジャガーの声にそっくりだったので、夏になる前「ローリングストーンズの曲でこんなの知ってる?」と人に電話口で鼻歌を歌って聞かせたのは、マヌケでした。

冬の晴れた寒い日は、バス通りの我が家の窓からは、富士山が夕焼けにくっきりとシルエットを見せます。通りには、家路を急ぐ人々を乗せたバスがあわただしげです。バスの窓ガラスごしに、物憂げな顔が通り過ぎて行きます。



屋上遊園地の夕闇に、むやみにはしゃぐウサギの楽隊。Sgt.Rabitt's Lonely Hearts Club Band on the roof top of departmentstore in Nakano-ku,Tokyo.

偽りミッキー。ここはTDLでは、ありません。He is not Micky Mouse.-the same place.

ミニチュアのロンドンバス。リビングルームのかたすみで。The[DAYS GONE].

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