Bob Marley Bob Marley & The Wailers
One Love : The Very Best of BM
rate
■永遠に続くヴァイブレーション 
 ボブ・マーリィは初めて聴いた時からグッときた。
 レゲエ初体験はエリック・クラプトンによる「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のカバーだったが、すぐに本物が聴きたくなった。別にクラプトンのカバーが偽物というわけではなく、すごくカッコ良かったからオリジナルを聴きたくなったのだ。とは言うもののクラプトンのそのアルバムを買ったばかりでお金がなかった僕は、当時パラパラと現れ始めた「貸レコード屋」に頼ることになる。借りてカセットに録音しても、レコード1枚買うよりずいぶん安上がりになったからだ。
 カセットで思い出したけれど、やっぱり当時ソニーの「ウォークマン」が発売されたばかりで、のどから手がでるほど欲しかった記憶がある。いや発売されてしばらく経ってたかもしれないけれど、とにかく貧乏人の僕には手が出なかった。今でもカセットを使ってる人っているのだろうか?レコードがCDになりカセットがMDになっても僕の貧乏だけは変らない…。話を戻そう。
 僕が利用していた「貸レコード屋」にはボブ・マーリィのアルバムは1枚しかなく、結局それを借りることになる。「ナッティ・ドレッド」というそのアルバムは、「アイ・ショット・ザ・シェリフ」こそ収録されていないものの「ノー・ウーマン,ノー・クライ」や「トーキン・ブルース」という名曲が収録されていて、僕をしびれさせた。レゲエ独特のあのグルーブ感も新鮮だったし、全体に漂うスピリチュアルに満ちあふれたムードもそれまで体験したことのないもののように思われた。しかし何と言っても一番僕を魅了したのはボブ・マーリィの声
そのものだった。彼の歌声はまさにスピリチュアルに満ちあふれたいた。

 さて今回紹介するアルバムはその「ナッティ・ドレッド」ではなく、マーリィの没後20年を機に編まれたベスト・アルバム「ONE LOVE ザ・ベリー・ベスト・オブ・ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ」だ。
 年代順に曲が並んでいて聴いていて違和感がないし、彼の音楽のいろんな側面を味わえると思う。しかもすべて名曲ときているので言うことない。特に気に入った曲があれば、その曲が収録されてるアルバムを聴いてみるというようなサンプル的な聴き方もできるし、ボブ・マーリィの入門盤としてはちょうど良いのではないだろうか。このアルバムを聴いて、1曲も気に入る曲がない人なんていないと思う。たぶん…。
 彼の歌には激しいレベル・ミュージックもあれば、切ないラブソングもある。しかしどの曲にも共通して言えるのは、本人が「レデンプション・ソング」で歌ったように、救いの歌だということである。すべて救いの歌なのだ。
 ある意味ボブ・マーリィは銃の替わりにギターを抱えて、魂の音楽という弾丸を撃ちつけ続けたソルジャーだと思う。彼の弾丸で胸を撃ち抜かれた人は世界中に何万人もいるに違いないが、僕もその一人だ。今の雲行き怪しい世界の状況を見ていて感じることがある。正義の名のもとに乱射された本物の弾丸が通り過ぎた後に本当に救いはあるのだろうか。マーリィの音楽は永遠に生き続けるだろうけれど、アルバムのラストを飾る「アイ・ノウ・ア・プレイス」(未発表曲)を聴いていると、彼の死はあまりに早すぎたと思えてならない。

リリース 2001 461
おすすめ曲 I Know A Place
これも聴くべき!
Eric Clapton
461 Ocean Boulevard
★ ★ ★ ★
Toc
58
Back
Next
photodelic
Super Bad
59
エブリデイ・ピープル トップ