ボブ・マーリィは初めて聴いた時からグッときた。
レゲエ初体験はエリック・クラプトンによる「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のカバーだったが、すぐに本物が聴きたくなった。別にクラプトンのカバーが偽物というわけではなく、すごくカッコ良かったからオリジナルを聴きたくなったのだ。とは言うもののクラプトンのそのアルバムを買ったばかりでお金がなかった僕は、当時パラパラと現れ始めた「貸レコード屋」に頼ることになる。借りてカセットに録音しても、レコード1枚買うよりずいぶん安上がりになったからだ。
カセットで思い出したけれど、やっぱり当時ソニーの「ウォークマン」が発売されたばかりで、のどから手がでるほど欲しかった記憶がある。いや発売されてしばらく経ってたかもしれないけれど、とにかく貧乏人の僕には手が出なかった。今でもカセットを使ってる人っているのだろうか?レコードがCDになりカセットがMDになっても僕の貧乏だけは変らない…。話を戻そう。
僕が利用していた「貸レコード屋」にはボブ・マーリィのアルバムは1枚しかなく、結局それを借りることになる。「ナッティ・ドレッド」というそのアルバムは、「アイ・ショット・ザ・シェリフ」こそ収録されていないものの「ノー・ウーマン,ノー・クライ」や「トーキン・ブルース」という名曲が収録されていて、僕をしびれさせた。レゲエ独特のあのグルーブ感も新鮮だったし、全体に漂うスピリチュアルに満ちあふれたムードもそれまで体験したことのないもののように思われた。しかし何と言っても一番僕を魅了したのはボブ・マーリィの声