パルーカヴィル / ファットボーイ・スリム Fatboy Slim
Palookaville
■楽しくないことはやらない主義
 今から10年ほど前か、DJバトルに出たことがある。イシ○シ楽器主催のヤツで、店の片隅に告知ペラ紙1枚貼ってるだけで、しかも店員が「参加者少ないのでぜひ是非!」とススメるものだから。会場がクアトロということもあり、「じゃ、記念に」なんてかる〜い気持ちで♪
 その何年か前に当時まだ珍しかったラップのバンドをやるという話があり、「DJどう?」と誘われたのが始まりだった。単に「面白そう!」ということで、ふたつ返事で引き受けた俺。以前からヒップホップという音楽やサンプリング、DJという手法・存在が気になっていたのだ。まさに渡りに舟!である。
 で、バトル当日。楽屋入りして、他の参加者との顔合わせ、サウンドチェックなどを経るうちに何か違う雰囲気が・・・。
え〜っっ。スクラッチャーばっかりやん。ほんまもんやん。やばいやん、俺。マジやん、みんな。記念て・・・。
 映画『 ジュース (JUICE) 』 とまでは言わないが、1対1のガチンコ勝負。オーディエンスの反応で優劣が決まる真剣勝負のステージ。「腹いてて」と仮病を使う間もなく、対戦相手を決める抽選が始まる・・・。1回戦シードやん俺。満を持しての登場やん、俺。どうなる?俺!!

 その頃はクラブDJとしてヤりたいというより、サンプラーやシーケンサーなんかで曲を作りたいという気持ちの方が強かった。その音ネタレコードとして有名なのがサイモン・ハリスや『ビーツ・インターナショナル』のノーマン・クックだった。

 『ビーツ・インターナショナル』解散後、ピッツァマン、マイティ・ダブ・カッツなどレコーディングによって名前を使い分け、95年『ファットボーイ・スリム』に至る。
 Fatboyといえば、【ビック・ビート】にジャンル分けされている。それはテクノ、ハウス、トランス、ファンクにヒップホップ、それからロックまで・・・あらゆるジャンルの「おいしい」部分をミックスした音楽なのである。『ケミカル・ブラザース』も同系ではあるが、Fatboyの方がよりファンクやロックに近いように思える。それはノーマン自身が元々バンド出身ということもその理由のひとつとして挙げられよう。今作でもブラーのデーモンを起用したり、『スティーブ・ミラー・バンド』の『The Joker』をカバーしている。他の曲もまさにごった煮状態。いろんなジャンルの目白押し。
 「楽しみたい人集まれ!」なのである。

 バトル本番。もち時間2分が長いような短いような・・・おいおい、目の前でビデオ回してるオーディエンスがいらっしゃる。しょぼしょぼスクラッチも収録済み?速攻消去しといてね。
 結果は当然負け。それでも何人かは拍手してくれた。(拍手の多さ、大きさで決まるのです。)司会者『ぜんじろう』の「普通に曲をつなぐのはうまいっすよ」っ的なフォロー発言もあったしね。やれやれ終わったよ、大役こなしましたよ。
 楽屋に友人が来て「こっちが見ててハラハラしたわ」と陣中見舞い。「いやいや楽しかったっすよ。わはは・・・」と、高らかに笑うも束の間・・・「敗者復活戦行きましょーっ」と司会者ぜんじろう。楽しい思い出がまたひとつ増えたのだった・・・

リリース 2004 プロペラヘッズ
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