ダーティー・ブギ / ブライアン・セッツァー・オーケストラ The Brian Setzer Orchestra
Dirty Boogie
■文化祭のヒーローになるはずが…
 高校3年の文化祭を控え、僕らのバンドはステージ発表に参加するためのオーディションを受けた。そのオーディションでのことだ。2年生のあるバンドに僕はちょっとした衝撃をうけてしまった。
 まだ流行り出したばかりだったストレイキャッツの曲を、彼らは見事にコピーしていた。おまけに髪形もブライアン・セッツァーばりのリーゼントできめている。当時は、「バンドやってる」といえばほとんどがハード・ロック。ほかのヤツらはほとんどがディープ・パープルとかレインボーとか、そんな時代である。ブライアン・セッツァーみたいなギターをこんなに弾きこなせるヤツが、もうすでにいたなんて!やられた!

 当時、リアルタイムで興味のある数少ないバンドがストレイ・キャッツだった。夜中のミュージック・ビデオ番組で、僕が心待ちにしていたのが「ストレイ・キャット・ストラット」のビデオ・クリップだった。アメリカでのブレイクのきっかけとなったビデオ・クリップだ。ちょっとした革新的なバンドの例にもれず、彼らもやはりまずはイギリスでブレイクし、見事にアメリカに凱旋帰国を果たすこととなった。
 ストレイ・キャッツはほんとにカッコよかった。「ロカビリーって古くさい」(とくに日本では、平尾昌晃とか、誰かとか、懐メロ番組で観る音楽だったので、よけいにそう思っていたのかもしれない。)そんなイメージを吹き飛ばすインパクトがあった。リー・ロッカーのウッド・ベースに

スリム・ジム・ファントムのスタンディング・ドラム、こんなんあり?それになんといってもブライアン・セッツァーのギターだ。ハード・ロックとはまた違った速弾きのフレーズは、ロカビリーを完全に新しいサウンドに昇華させていた。
 
 ストレイ・キャッツを解散後、一時は低迷していたブライアン・セッツァーだが、(ちょっと失礼か?)念願のビッグ・バンドを結成して、コンスタントにアルバムを発表している。さてこの「ダーティー・ブギ」は、ブライアン・セッツァー・オーケストラ名義の3枚目のアルバムである。ひそかに、ジャケットのデザインも、今までにくらべたらなんとなくあか抜けしてるではないか。
 彼はかつてロカビリーを再生したときのように、今度はスウィングを新しいサウンドに昇華してしまった。ビッグ・バンドがスウィングする中に、何の違和感もなく彼のロカビリー・ギターが溶け込んでいるではないか。それに歌もいい。ストレイ・キャッツの時からの歌って弾きまくるスタイルは今も健在だ。相変わらずカッコいい!とにかくこのアルバム、なんの先入観もなく聴いてほしいと思う。

 例の下級生バンドは、みごと文化祭出場を果たしました。リーゼントやのに。審査員は先生やったのに。くそー。しかし、ほんまにカッコよかったなあ、あいつら。えっ、僕ら?だいたいわかるでしょ?ドラムが悪かったのかもなぁ…。
リリース 1998 ザ・ストレイ・キャッツ
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