キー・オブ・ライフ / スティーヴィー・ワンダー Stevie Wonder
Songs In The Key Of Life
■出逢いと別れの間に…
 時としてよい出逢いというものは突然やってくるものだ。1971年の「Black Expo」というイベントでスティーヴィーとミニー・リパートンが出会ったのもそういう感じだ。当時21才にしてすでに大スターだったスティーヴィーにファンとして声をかけたのがミニーだった。すると彼も無名の彼女の大ファンだったのである。これがきっかけでスティーヴィーのバックコーラス“ワンダー・ラブ”の一員となり、彼のレコーディングやツアーに参加することとなる。スティーヴィーもミニーのソロアルバム「パーフェクト・エンジェル」に2曲提供し、“エル・トロ・ネグロ”という変名でハープやドラムを演奏している。永遠のラブソング「Lovi' You」のエレピも彼のプレイである。

 「トーキング・ブック」、「インナーヴィジョンズ」、「ファースト・フィナーレ」といういわゆる三部作の後に発表されたのが今回紹介する「Songs In The Key Of Life」である。前作「ファースト・フィナーレ」から2年が経過しており、一説によれば、3000曲を作成し、そのうち700曲を録音したといわれている。スティーヴィーなら難なくやり遂げてしまいそうな思わずニヤリなエピソードである。その中からえらびに選ばれた珠玉の21曲。もちろん、『うーんイマイチ』ってな曲はあるはずもない。オリジナルリリース時には2LP&1EPという変則的なものであったが、飽きることなくすんなり聴けちゃいます。そんな大作にふさわしく、1曲目から7分に及ぶ長尺ナンバー。そのほかにもなが〜い曲が多いけど、

その長さを感じさせないところがさすがやね。逆にもっと聴きたいぐらい。
 デューク・エリントンに捧げられた「Sir Duke」やこれに続くファンキーな「I Wish(回想)」のブラスアレンジがカッコイイ。ところで、スティーヴィーって、人のために曲を作るってことが好きみたいで、かの「Superstition(迷信)」もジェフ・ベックのために書かれたものらしい。他の曲でギターを弾いてもらってたからね。義理堅いんだね、スティーヴィー。ちなみにスティーヴィー・レイ・ボーンのために書かれた曲もあるらしい。ええ奴っちゃで、スティーヴィー(ワンダー)。佳曲「Pastime Paradise」はクーリオの「Gangsta's Paradise」のサンプリングネタで一気にブレイク!!再発見でしたね。
 LP-C面(CDだとDisk2)1曲目「Isn't She Lovely」でノックアウト!!!娘のアイシャの誕生を素直に歌ったラブリーな曲。途中で入ってくる子供の無邪気な声はもちろんアイシャ。何だかほのぼのしますな。“トゥー・ル・ル・ル・ル〜”と冒頭から入る「As」。いかにもスティーヴィーって感じで味わい深い。全体を通しても、スティーヴィーのポップセンス爆発の、まさに“ワンダー”な作品なのだ!!!

 時として別れというのも突然やってくる。今作にも参加したミニー・リパートンが79年に他界している。スティーヴィーが見舞いに行った翌日のことである。葬儀の日スティーヴィーの歌う「If It's Magic」が参列者の涙を誘う。
 「もしそれが魔法なら・・・太陽がいつも輝いているように、
    なぜ永遠に続かないの・・・」

リリース 1976 ミニー・リパートン
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