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■エンタの神様
 「エンタの神様」という番組がある。毎回、何組かの若手のお笑い芸人がネタを披露する。観ていると、テレビ的に短く編集されたり、小分けされたりもしているようだ。だって、あのベース弾き芸人が輪島功一に質問してボケさせるネタも、毎週、毎週1ネタだけじゃぁ、割に合わないもんね。熱狂的なお笑いファンによれば、この番組に限らず、テレビでは十分に面白さが伝わってこないのだそうだ。やはり、芸人はライブでの面白さで“なんぼ”なのである。

 さて、音楽業界に目を転じてみても、やはりライブなのである。テレビやビデオ、DVDで観ても何かものたりない!!とは思いませんか?そこの貴方、自慢の50インチプラズマ+5.1CHシステムでソファに寝そべりながら観ても何かが違うとは感じまいか?その圧倒的な音圧、雰囲気、一体感・・・これこそが、ライブを観る醍醐味なのである、と思う。

 92年頃に観た「ザップ & ロジャー」のライブもまさにそういう感じであり、さらに、面白さ=エンターテイメントを体感できるものであった。ザップの中心的人物であるロジャーの動き、表情、ギター、ベース、キーボード、トークボックスを自在に操り、時にはコミカルに演出するサービス精神。そう、まさにエンターテイナーなのである。そこには説教じみたメッセージなんかいらない。ただ、“I Can Make You Dance”と観客を興奮のるつぼへと誘うグルーヴやショーマンシップがあるだけだ。

 ザップの記念すべきファースト・アルバムである。ロジャーとの共同プロデュースがブーツィーで、さらにジョージ・クリントンとも関わりがあるのでPファンク系と見られがちだが、オハイオプレイヤーズ直系ファンクなのである。(どこが違うの?と聞かないでね。)まぁ、オハイオ州出身で、ザップも彼らを敬愛してるからね。
 1曲目「More Bounce to the Ounce」で一発KOされちゃいます。ブリブリベースにシンプル&パワフルドラム、大きめのハンドクラップにギターカッティングが入り、トークボックスボーカルが大きな展開のない10分もの大作を彩っている。まさに完璧!ファンク好きが「うわ〜っ」と飛びつくナンバーであります。ちなみにトークボックスをヴォコーダーと同じだと思っている人が多いけど(俺も!!)、違うようです。ロジャーはトークボックス使いです。ファンならお間違えなく!!(俺やん)
 2Pacが『Keep Ya Head Up』でサンプリングした5曲目「Be Alright」も秀逸。この曲も最後の「Coming Home」もそうやけど、何かザップってブルースに通じるものがあるね。エレクトロニクスを駆使した80年代的ブルースやね。

 『California Love』でロジャーと共演した2Pacが凶弾で倒れたように、ロジャー自身も1999年4月、兄ラリーによって射殺されてしまう。メンバー2人を失った(ラリーも自殺してしまった)ザップは紆余曲折を経ながらも、現在も活動をつづけている。ロジャーはもういないが、そのグルーヴやショーマンシップは健在なのである。

リリース 1980 Unlimited!
おすすめ曲 More Bounce to the Ounce
これも聴くべき!!
Roger / Unlimited!
★★★★★
Super Bad
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