川本真琴の「愛の才能」を耳にしたのはプータローから今の会社に就職してすぐの事だから10年前になる。30歳を過ぎロック・リスナーとしての現役感はすでに遠くOASISにも世代のギャップを感じ始めた頃。あまりに直線的な声と詩とサウンドに久々に体が反応した。普遍的な10代のイラダチを歌った歌。もっと若ければハマれるのになあ、なんて思ったりした。
そんな甘いものではなかった。次の「DNA」は「もうオッサンやから」レベルの自意識を破壊し「今聞かなければ !」なパンクスピリッツを刺激するもの凄い疾走感。ルックスもキュートやし(私感)ええやん。
これはすごいアルバムが完成するんじゃないかという期待と、こんな歌をあからさまに歌えてしまう彼女の存在に危うさを予感したが、はたして完成したアルバムのタイトルは「川本真琴」。
純度100%。後先考えず無添加で真空パックされたアルバムはアナログ(=情緒)感に満ちた、ただただ圧倒的な内容だった。
「他人だよね」
「眠れないのはほっとくだけ」
「ほんとはよく分かんない」
「愛の才能ないの…」ってそんなの未だにねえよ。