8年前のワールドカップでコカコーラのCMにブロンディの "Atomic" が起用されたが、その選曲センスに感心すると同時にノスタルジーにならないブロンディのカッコよさを再認識した。良質なポップチューンはいつの時代にも通用するのだ。すぐ後に発表された再結成アルバム「NO EXIT」もラップからジャズ、どポップまで相変らずの振り幅の広さで遜色のない内容だった。
ブロンディが大ブレイクしたのはデビー・ハリーのルックスだけではない。テレビジョンやリチャード・ヘル等ニューヨークパンクスと同期の連中だけあって、ギターでコンポーザーで彼氏のクリス・ステインを始め全員がセンスとテクを兼ね備えている。特にバンドの求心力ともいえるドラムのクレム・バークはキース・ムーン直系のダイナミックなプレイで個人的にベスト3に入る好きなドラマー。
で、この4thアルバムはTHE KNACKのプロデューサーとしても有名な仕掛人マイク・チャップマンを起用しディスコで大ヒットした "Heart of glass" を含む前作「Parallel Line」の延長線にあるのだが、時代のアイコンとなったデビーにバンドものりのりで恐いものなしの充実ぶり。
1曲目の"Dreaming"からバンドのテンションの高さがガンガン伝わってくる。クレム以外全メンバーが作曲、バラエティにとみながらロックアルバムとして成立してるのは、"Accidents never happen"や“Living in the real world"などの強力ナンバーが要所でフックをきかせているからだ。