※「あ〜わ 頭文字お題<台詞編>」より。名前変換なし。
クラスも委員会も違い、共通するのは同じテニス部だったということだけ。
しかも、ダブルスを組む様になるまでは、ろくに言葉を交わした事もない。
優等生然とした柳生と、素行不良にしか見えないオレ。
たまたま方向が同じだというだけで、いつの間にか一緒に帰る様になってから、数週間が経った頃だった。
はっきり言って、間抜けな顔をしているだろうオレに向かって、いつも以上に表情を変えず柳生は続けた。
「ですから……私と、契約しませんか?と、言ったのです。」
「言っとる意味が、ようわからんがよ…契約て、一体なん…?」
訝しげなオレの視線に気付いたのか、柳生は口元に小さな笑みをのせた。
「あぁ、すいません。それほど堅苦しいものではありませんよ。
ただ…了承してくださるだけでいいんです。」
「何を?」
「……私が、あなたと共にいることを………。」
この時オレは、ダブルスのパートナーとして、という意味の言葉だと思っていた。
相手の2・3手先を読み、翻弄させるオレのプレイスタイルは、完全にシングルスにしか向かないものだ。
何度かダブルスを組んでみたが、誰一人オレのトリッキーなプレイに合わせられる奴はいなかった。
だが、立海大には3人の化け物がいる…シングルスの枠に入り込むのは、至難の業。
レギュラーを狙うには、ダブルス枠も視中にいれなければ…。
そんな時、柳から言い渡されたのが、柳生とのダブルスだった。
今までの奴等以上に頭が固そうな柳生の事、すぐにオレとのダブルスなんて解消するだろうと思っていた。
それなのに、組んでみればそのコンビネーションは絶妙で。
オレがどれほど突拍子も無い動きをしようとも、望んだ場所には必ず柳生の姿があった。
どんなに不足の事態でも、完璧なフォローで立て直す。
ダブルスも満更では無いと思うようになれたのも、柳生と組んでからだ。
それならば、この申し出はオレにとって願っても無い話…断る理由は無い。
『契約』なんて堅苦しい言い方も、柳生なら納得できる。
だから…。
「ええがよ…そがぁなこと、わざわざ改まって言わんでも……。」
「………本当に…よろしいのですね?」
柳生が、念を押すのがわからなかった。
苦しげな表情を見せるのが、わからなかった。
一緒に組めと言っておきながら、そんな苦痛な顔をするのは何故だ?
『契約』なんて単語を、わざわざ使うのは何故だ?
オレはもっと、慎重に行動するべきだったのだ。
今さら、もう、手遅れだけど。
END
<2008.4.27>
タイトルの通り、PSゲームソフト「星のまほろば」の設定をふまえたパラレル。
設定といっても、ホントに用語とかが少し出てくる程度。
内容は、変わってくる…はず…(苦笑)
しばらくメモのまま放置してあったのを、引っ張り出してみた。
まだ、タイトルの台詞すら出てこない(汗)
なんとか仕上げる努力をする!…ためにあげます(^_^;)
が…がんがれ、自分…。
次へ
戻る