序章 まほろばの記憶



 「……ハァ……ハァ、ッ…ゥ、ァッ……!」

布団を乱暴に跳ね除け、比呂士は飛び起きた。
全身には、嫌な汗が纏わりついている。
荒い息を整えるため、ゆっくりと呼吸を繰り返した。
窓の外は、まだ闇に覆われている。

最近は、いつもこうだった。
まだ夜も明け切らぬうちに、うなされて飛び起きる。
目覚めてしまえば覚えてすらいないのに、嫌な感覚だけが残る悪夢のために。
薄暗い部屋を見渡し、ボンヤリと滲むデジタルの時計表示を確認すると、なおさら倦怠感が身体を包んだ。
あと数時間もすれば、ハードな練習が待っているというのに…。
だが、名門と呼ばれる立海大付属中等部のテニス部に所属している比呂士には、寝不足だからといって練習を休むわけにはいかない理由がある。
体調管理が出来ない、すなわち、即レギュラー落ちという事態にもなりかねないからだ。

 「まったく…いったい、どうしたというんでしょう…。」

額に手を当てて項垂れながら、深く息を吐き出した。
こんなことでは、練習に身が入らない。
少しでも眠りにつこうと、比呂士は再びベットに身体を横たえて瞳を閉じた。


深い深い記憶の底から、呼び起こされる遥かな記憶が、少しづつ浮かび上がる。


END

<2008.4.27>

立海メンバー in 『星のまほろば』
☆ Cast ☆
大月埴史(商社マン)…柳生比呂士

大月は、眼鏡スーツの商社マン。
まんま、比呂士だよ…ってのが、始まり(^_^;)
需要がないのは、百も承知。
これはむしろ、自分のため(^_^;)
まほろばのキャラと立海のキャラが、
当てはめやすかったから…(苦笑)
まぁ、行き当たりばったりは、いつもの事さ♪

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