飼育方法 「器具をセットしよう 〜金魚を飼えるようにするまで〜」
いろいろ悩んで買ってきた飼育器具。「水槽に水を入れれば良いのはわかるんだけど、残りのものはどうすればいいのかな?」ここでは、飼育用器具を飼育ができる状態までセットする流れを解説します。なお、本稿は、あくまで私が行っている方法に基づいた例であることをお含み置きいただいた上でお読みいただくようお願いいたします。


★水槽の設置場所について★

まずは水槽を置く場所を考えなければなりません。飼い主から見れば、いつも金魚が観賞できて、インテリア的にも納得できるところ、というのが希望ですが、金魚も生き物ですから、どこにでも置けばいいというわけにもいきません。また、重量の問題等もあったりします。次に挙げるポイントを参照して、設置場所を検討してみてください。

●物音、人の出入りができるだけ少ないこと
玄関や部屋の扉のすぐ横などでは、物音で金魚へストレスがかかります。

●一日の最高・最低気温差が少ないこと
一日の気温較差は水槽の水温格差にあらわれます。あまり温度差が激しくなると金魚がカゼのような症状になったり、白点病などの病気にかかりやすくなります。

●水槽の重さに耐えられる場所であること
標準的な60センチ水槽の場合、水が50〜60リットルで50〜60kg。それに水槽自体や底砂、濾過器等の重さを加えると、70〜80kgくらいにもなります。普通の下駄箱や本棚の上に置くと、天板が曲がって水槽に無理な力が加わり、長い間には水漏れをしたり最悪の場合水槽にヒビが入ったり割れたりするおそれがあります。防災上の観点からもよくありません。設置にあたっては、十分な強度のある床の上に、できれば水槽専用台を設置して水槽を置くようにしましょう。

●水道の蛇口、電気コンセントが近くにあること
最初は見落としやすい点です。実際に飼育を初めてから失敗に気づくことが多々あります。蛇口やコンセントが遠いところにある場合、水換えのときに水の入った重いバケツを持って何往復もしなければならなかったり、延長コードを何mもひいたりしなければならなくなります。できればこういった点も考えて置き場所を考えましょう。

●水をこぼしても掃除しやすく、また家族に迷惑がかからないこと
水槽を設置すると、いろいろ作業をするうちに、どうしても水が少しこぼれたりしやすいものです。床が畳や絨毯ですと、掃除がたいへんですし、最悪のケースではカビが湧いたりしますので、できれば床はフローリング等のほうが良いでしょう。

水槽の設置場所を選ぶにあたっては、以上のような事に注意しておきたいものですね。



★水槽のセット★
飼育に必要な道具については、「金魚飼育方法 器具を準備しよう」を参照してください。ここでは、すでに揃えた道具をセットしていく手順を解説します。

@器具の洗浄
水槽はもちろん、それ以外にも水に触れる飼育器具は、すべて水でよく洗ってください。洗剤は使用しないように。洗剤を使用すると、どうしても隅のところやつなぎ目部分等に残留してしまい、これが後々、金魚に害となります。洗浄にあたっては、あくまで水だけで洗うこと、これがポイントです。
また、底砂を入れる場合は、これも洗っておきます。バケツに入れて米を研ぐような要領で洗えばOKです。よく飼育本等には「水のにごりがでなくなるまで洗う」というようなことを書いていますが、天然の底砂ですと、かき回せばかき回すほど削れてきて、いつまでも濁りが完全に取れることはありませんから、ひどく濁らない程度まで洗っておけばいいです。水槽セット当初、しばらく水がにごることがありますが、そのうち自然に濁りはとれます。また、「大磯砂を使用する場合は酸処理(酢酸や塩酸等に浸ける)して、貝殻等を溶かしておくように」というような記述を見かけますが、私はそこまで神経質にならなくてもいいと思います。

A底砂セット&水を半分入れる
 
水槽に洗った底砂を入れ、カルキ抜きした水を半分くらい満たします。底砂を敷く厚さから必要な底砂の量(kg)を算出する方法は、「金魚飼育方法 器具を準備しよう」の「底砂」の欄を参照してください。なお、底面フィルターを使用する場合は、この段階でフィルターを設置してから底砂を入れます。

B水草や器具のセット
水草を植える場合はこの段階で植えておきましょう(丈の長い水草は、水を全て満たした後でもOKですが、短いものはこの段階のほうが植えやすいです)。またヒーターや投げ込み式濾過器や水温計、アクセサリー等、水槽内に入れるものはこの次点でセットします。流木を入れる場合は、アク抜きをしてからにしましょう。

★参考:流木のアク抜き
流木のアクは長い年月をかけて芯から徐々に溶け出してきますので、完全に抜いてしまうことは無理です。ただ、アク抜き処理によって表面に近い部分だけでも抜いておけば、水が汚れる(茶色になる)のをずっと遅らせることができます。アク抜きは基本的にバケツに張った水に浸けておくだけですが、次の2つの方法を紹介しておきます。

(方法1)
常温のバケツに水を張って浸けておき、水が汚れてきたら水を入れ替えます。1ヶ月くらい要するので、当初から設置することは不可能です。
(方法2)
流木をバケツに入れて、「熱湯を注いでそのまま浸けておき常温まで冷ます。水をすべて捨て、また新たに熱湯を注ぐ」という手順を何回か繰り返します。熱湯の温度が下がるのに伴い、アクがよく抜けるようです。煮詰めるよりもこの方法のほうがよく抜けるということです。(実際に私も実感しました。この方法ですと瞬く間に水が真っ茶色になります。10回程繰り返したら、ほとんどアクがでなくなりました。要した期間は2日ほどです。これで当初のアク抜き作業が完了しました)

そもそも、流木のアク自体が金魚にとって有害ではないという意見もあるので、アク抜きにさほど神経質になることもないかとは思いますが・・・。


C水を満たす
上記Bでセットしたアクセサリー類が乱れないように注意しながら、残りの水を入れて水槽を満たします。水が落ちる部分に陶器製の皿やボール等を敷いておくか、水面に発砲スチロール等を浮かべておくと、底砂が掘れずに良い具合です。

Dガラスフタ、ライト等の設置
 
フタ、ライト、上部濾過器等、水槽の外に設置するものをセットします。

E各電気器具類の作動チェック
濾過器やヒーター、ライト等のスイッチを入れ、きちんと動作するかどうか確認します。(ヒーターは空焚きすると温度が急上昇して危険ですので、必ず水に入れてからチェックしてくださいね)。全てきちんと稼働すればOKです。また、水の周りで電気器具を使用するということは、常に漏電等の危険を伴います。「コードが水槽内におちたりしないか」「水槽内の管理をしている最中に電気器具類に水しぶきがかかるようなことになっていないか」等を厳重に確認し、必要なら設置場所の再検討、配線の工夫、防水対策などを徹底して、漏電対策を行いましょう。

以上。初めて水槽をセットする場合の器具類セットの方法を紹介させていただきました。なお、重ねて申し上げますが、ここで紹介したのは、あくまで私が行っている方法です。手順は人それぞれですし、人によってはもっと違った効率の良い方法を行っている場合もあると思います。よって本稿はあくまで参考としてお読みいただくようお願いします。

ここまで済んだら、いよいよ金魚を水槽に入れることになります。すでに買ってきた金魚のトリートメントが終わっていれば、すぐ水槽に入れてやればOKです。もしまだトリートメントが終わっていない、あるいは金魚を買ってきていないという場合は、金魚を水槽に入れる数日前から濾過器のスイッチだけ入れて水を回しておくとようでしょう。わずかではありますが濾過バクテリアが活動を始めると思います。


(※)お断り
一般的な飼育本や金魚飼育関係HPでは、水槽立ち上げ当初に、濾過バクテリアを繁殖させるために、水槽に水だけ入れた状態で濾過器を1週間くらい回しなさいというような記述が見られます。しかしながら、私は次のような理由から、この作業行程は特に必要無いと考えております。それ故に、水槽立ち上げと金魚の購入を同時に進めるような記述となっておりますことを了承ください。
 ★[金魚購入前に濾過器をあらかじめ稼働させておかない理由]
(理由1)
濾過バクテリアは、エサ(金魚の尿やフン等の有機物)が水槽内に無い状態では十分に繁殖せず、カラの水槽でいくら濾過器を回しても、バクテリアはほとんど定着しないと考えられる。
(理由2)
仮に繁殖するとしても、1週間程度の運転ではアンモニア→亜硝酸への濾過を行うバクテリアがほとんどで、亜硝酸→硝酸塩への濾過を担うバクテリアは増殖スピードが遅いため、この程度の期間ではいずれにしても繁殖は不十分であると考えられる。

もし私の記述をご覧になって、少しでも不安を覚えた方は、1週間ずっと空の水槽で濾過器を回すことをオススメします。アクアリウムというものは、自分の満足感が第一という側面があります。要は、正しいかどうかは別として、空で水を回しておくことは別に金魚にとって害にはなりませんし、そのほうが納得できるという方は是非そうして下さい。私としては、自分の考えを強制するつもりは一切ありませんので。なお、この点については、本サイトの「うんちく 濾過のお話@&A」に詳しくとりあげておりますので、よろしければご覧ください。

さて、器具の準備が整ったら、いよいよ金魚を水槽へ入れます。(以下、次項へ・・・)
 
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